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舞台男子

第11回 鈴木拡樹の真摯 前編

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舞台男子 鈴木拡樹

 

その人は、花のような笑顔と静かな佇まいで、そこにいた。
けれど秘めているのは、まぎれもなく暴れ狂う激情。
己の内を焼きつくし、なおほとばしる芝居への熱を抱き
心を、身体を、苛烈にあでやかに燃やしながら
緻密に、静謐に、自在に操り、役へと挑む。
その姿に目を耳をすべてを、うばわれる。

 

鈴木拡樹 すずき・ひろき

1985年6月4日、大阪府生まれのAB型。現在、30歳。
2007年、テレビドラマ『風魔の小次郎』で俳優デビュー。
2008年の舞台『最遊記歌劇伝ーGo to the Westー』の玄奘三蔵役で初主演を務める。
その後も数多くの舞台に出演を続け、2012年には舞台『弱虫ペダル』の荒北靖友役をはじめ、実に年12本もの舞台に出演を果たす。
2014年には『最遊記歌劇伝ーGod Childー』、舞台『弱虫ペダル』箱根学園篇 〜野獣覚醒〜と主演作品に出演。
今年、2015年8月上演の舞台「戦国BASARA vs Devil May Cry」で人気ゲーム『Devil May Cry』初実写化となる主人公のダンテ役に挑むことが発表され、注目を浴びる。
10月には主演舞台『幻の城〜戦国の美しき狂気〜』で宇喜田秀家役、12月には『スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE〜さよなら絶望学園〜』狛枝凪斗役が控えている。

 

・リンク

鈴木拡樹オフィシャルブログ「拡言 -KAKUGEN-」
鈴木拡樹 (@hiroki_0604) | Twitter
Awesome Inc. 株式会社オウサム

最遊記歌劇伝
舞台『弱虫ペダル』
水木英昭プロデュース『ホンキートンクブルース』
舞台「戦国BASARA vs Devil May Cry」
舞台「幻の城~戦国の美しき狂気~」
ダンガンロンパ THE STAGE

舞台「戦国BASARA vs Devil May Cry」公式

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・鈴木拡樹さんサイン入り写真を抽選で1名にプレゼント。
 応募は、こちら、からどうぞ。
 締め切りは、9月30日(水)23時59分まで。感想などお寄せください。

 ちなみに、気になるポラロイド写真はこちら。
 30歳を迎えた機に、サインを漢字のフルネームに変えられた、とのことだったので、ここに掲載!(禁無断転載)

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舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

 

30代を迎えました

 

──今年、6月4日に誕生日を迎え、30歳になりました。おめでとうございます。
鈴木:はい! なりました。実は27歳くらいから取材で「30歳になったら?」と聞かれることが多かったので自分でもだいぶ意識していたと思うんですが、当日は全然、実感がありませんでした。
 ただ、舞台『眠れぬ夜のホンキートンクブルース第二章〜飛躍〜』に出演していたので、ありがたいことに板の上で迎えさせていただいて……ものすごく感激しました。板の上に立てていたことはもちろん、劇場いっぱいの観客の方々からお祝いしていただいて、とてつもなく幸せでした。SNS系でもたくさんコメントをいただいて、ありがたかったですね。
──いつごろ実感したのでしょう。
鈴木:その後も地方公演があったので、すべて終わって落ち着いてから少しずつ「ああ、こういうことなのかなあ……」と感じることはありました。書類に年齢を書く機会があったんですが、そこで初めて年齢を記入して「30」と書くべきところを、つい「2」と書きそうになっちゃった(笑)。そういえば二十歳になったときも「1」って書きそうになったなあ……と、久しく忘れていた感覚が蘇りました。
 小さな日常ではそんなところですが、大きなところでは今まであまりできなかった、たとえば親孝行といったことが以前よりはできるようになって、ささやかだけれど人を支えることができるようになったのかなと改めて思えて、幸せですね。
──支える、という話では、舞台『弱虫ペダル』で「お母さん」的役割だと言われていますね。
鈴木:それは、舞台『弱虫ペダル』が自然とそう動かせてくれる座組だったからです。
──そういった共演者の声とともに、座長公演はもとより座長を支える立場での出演でも周りを見回し、常に視点の位置が高い印象があります。
鈴木:これは自分の特徴で、癖だと思うんですが、人を観ているのが好きなんですよね。変な意味じゃなくて(笑)、「この人はどういう人なんだろう?」と知ることが好きなので、舞台の座組でも最初にそこを意識します。それって意外と舞台の上でも役に立つし、どんなふうに自分が居ることができるのか? 居たほうがいいのか? といった空気感もつかめるし、相手にとってどういう支え方や接し方がいいのかも考えられるから。引っ張ったほうがいいのか、意見を仰いだほうがいいのかとか……共演者との距離や空気は大切なので、そこはいちばん心がけます。
 あとは舞台の座組は大人数なので、この座組で足りないのはどこだろう……という視点で見ます。場を明るくしてくれる人がいて、場の空気を締める人がいて、それぞれの役割があるから。ただ、ぼくは場の空気を締めることが苦手でこれまでは先輩に託していましたが、30代になったのでそういったこともやるようになるのかなと思っています。
──もしかしたら、誰かを叱る、ということも求められるかもしれません。
鈴木:ああ、それはありますね。ただ、ぼくは叱るにしても少しちがった方法を取るかもしれません。もともと自分が怒ることもピリピリした空気を出すことも苦手なので。

 

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

 

その日、早くからの撮影で、伸びてみたり、叫んでみたり。
カメラに向かってたくさんの表情を。

 

 

一歩、一歩、登ること

 

──実は以前に『GOOD COME』 Vol.28(東京ニュース通信社)での、撮りおろし文藝企画で太宰治『人間失格』を誌面で表現していただきました。
鈴木:覚えています。あの撮影は楽しかったですね。
──そのとき、最初はアパレルの世界を目指していたというお話を伺いましたが、洋服がお好きだったのでしょうか?
鈴木:いえ、もともとは美容師をやっていました。稼業が美容院で、家を継いだというわけではないんですが、幼稚園児の当時から親父の仕事を見ていてずっと憧れていたんです。
 それがあるとき、その親父が「おまえ、もっとやりたいことがあるんじゃないのか?」と言ってくれて……その、美容師って一見、派手なイメージがありますが実はとても地道なんですね。ただ、親父の姿を見ていたから、そういったところもすべてわかったうえで目指したので好きな仕事ではあったんです。でも、親父の一言で「もっとちがう可能性があるのかな」と思って、そのときに興味があったのがアパレルでした。店にファッション誌がたくさんあって、いろいろなコレクションを眺めては、こういう感性ってすごいな、楽しいなと思って。ブランド名を調べて、デザイナーなの名前を知って、その人達がどういう道を歩んできたのか調べていったら、服飾系の学校を卒業していると知り。
──学校を探し始めた?
鈴木:はい。かなり真剣に考えていたので、地元の大阪からそれこそ海外まで、幅広く探していって。語学もできないのにフランスの学校について調べたりしていました。そのうちに、きっと東京もそういった学校は多いんだろうなと思って、もともと得意ではなかったんですがネットを駆使していろいろ検索したんです。
 そうしたら、ある服飾系の学校からいろいろなところにリンクが張ってあって、辿って行ったら芸能系の学校の紹介があった。そこは俳優だけでなくファッションモデルのコースもあって、こういう世界もあるのか……と、また新たに発見をして。芸能界やモデルなんてそれこそスカウトでもされないと入れないと思っていたので、そこで初めて、この世界に興味を持ちました。
──そこから、俳優に?
鈴木:目指したのは学校に入ってからなんです。ある先生が「舞台はおもしろいものだから、観に行こう」と誘ってくださって。
 それまで舞台なんて観たこともないし、そもそも美容師だったので、ゴールデンタイムと呼ばれる時間帯にテレビを観る生活をしていなかったからドラマもまったく知らなくて。ぼくにとってのドラマはもっぱらお客さんから聴く話のなかにある世界でした。
──学校に入った時点で、そういったものに触れていたのではないでしょうか。
鈴木:実は芸能にも興味があったけど、アパレルに近い場所にいたくてモデルコースを目指したんです。でも、入ったときに勧められたのが芸能コースで、自分のなかで迷いもあり、いろいろ模索していたところでした。だから演じるということに対しても戸惑いがあって……きっと、それで誘ってくれた、というのもあると思うんですけど。ぼくもそうだったからわかりますが、舞台ってなにかの後押しがないとなかなか観に行かないものなんですよね。ぼくの場合はその先生が後押しとなってくれて、そこで舞台の魅力である生の迫力に触れ、すっかり心奪われてしまいました。ドラマも映画もあまり観たことがなかったところに、生身の人がすぐそこで演じる姿はものすごい衝撃でした。
 そこで初めて演劇に興味を持ち、俄然やる気になって、演技をやる、と決め、ようやく一段階前に進むことができましたが、すぐに次の壁にぶち当たってしまいます……当たり前なんですが、演じることは難しかった。その場で「自然に居る」ってどういうことだ? とものすごく悩んで。そもそも、台本を完全に覚えて手放す、ということが全然できなかった。だから在学中はずっと「自分は役者に向いていない」と思っていたんです。それでも卒業して、事務所に入ってすぐに仕事の初オーディションを受ける機会があり、ありがたいことに合格しました。それが、デビュー作となる『風魔の小次郎』(2007年秋、TOKYO MXほか放送)の麗羅役です。
──オーディションがどうだったのか、気になります。
鈴木:「絶対に受かるぞ!」とものすごい勢いで臨みました。きっと初めてだからこそあの勢いが出たんじゃないかと思います。
 なんの方法論も特技も持たなくて、ほかの人はバック転をやってみせたりしていましたが、ぼくはなにもできなかった。でも、がむしゃらではありました。なにも持っていないけれど「今、出せるすべてはこれです!」と、ぼく自身を全力で伝えようとはしていました。今思えば……ですが、その勢いを買っていただいたのか、ドラマでも自分と近い役をいただきました。
──初仕事はいかがでしたか?
鈴木:現場がほんとうに楽しかったんです。共演者に同期もいれば先輩もいて和気あいあいとしていて、さらにスタッフさんもぼくらのような未経験者がいることをわかっていてくれて、いろいろなことをすごくていねいに教えてくださった。「ここがバミリ(立ち位置を示す目印)と言ってね、ここから動いちゃダメなんだよ」とか「撮影のカットがかかっても、いいって言われるまで動いちゃダメだよ」とか、基礎の基礎から用語の意味までわかるようにしてくれて。今なら多少は自分の判断で動くこともありますが、指示の意味や内容、理屈を知るまで面倒見てもらったいい現場でした。
 人間は知らないことをやっているときって楽しいんですよね。だから、初現場で初仕事でしたがとても楽しくやることができました。ただ、その「楽しい」という気持ちが、一生懸命だったけれども、ともすれば「プロ意識」というものから離れてしまった瞬間もあったかもしれなくて……もっとできることがあったかもしれないという反省というか思いもあって。でも、一方であのときだからこそできた演技で、創ることができた作品だったとも感じます。
──とてもすてきな経験です。
鈴木:そうやって少しずつ、この仕事は楽しいと思い始めたところで、ものすごく大きなキッカケに出会うんです。
──なんでしょう。
鈴木:初めて手紙をいただきました。事務所に届いたんですが、ぼくの演技をものすごく細かく観ていてくださっていて、この場面はどうだったとか、あの表情が良かったとか感想がたくさんあって……最後に「がんばってください」って書いてあったんです。
 すごく当たり前のことばかもしれないんですが、響いたというかびっくりしちゃって。美容師をやっていたときに、お客さまから「がんばってください」なんて言われたことがなかったから。それからも、お手紙をいただくようになって、そこにも「がんばってください」と書いてあって。こんなに人から応援してもらえる仕事ってそうそうないんじゃないかと感動してしまって。観ていてくれて、応援してくれる人がいる……その心に応えるためにはどうしよう、と考えるようになりました。それが第二段階で、どこかで演じることに正面から向き合えないでいた自分から変わろう、もっと演技の勉強をしようと決めたのが、このときです。
──届けられたことばはそれほどまでに大きかった?
鈴木:だって、なかなかないと思うんです。「がんばってください、応援しています」と言われる仕事って。特殊だなあ、と思います。

 

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

 舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

 

その先に待っていたのは、挫折と希望

 

──2008年、『最遊記歌劇伝ーGo to the Westー』で主演の玄奘三蔵として、初の座長公演を経験します。
鈴木:ようやく「舞台とは?」と考え始めたところだったので右も左もわからないというほどではなく、自分なりに「座長」という存在について、チームをまとめる柱なんだな、と位置づけていましたが……やっぱり力量も技術も理論もなく。
 衣裳さばきも、銃のアクションも初めてでしたが、いちばん苦労したのは座組作りでした。もともと人見知りで、むしろ輪の中に入らないタイプの人間だったので関係を育むことが苦手で。振り返ってみれば、先輩方がなんとかして、こいつを真ん中に立たせてやろうとしてくれていたと思うんですが足りませんでした。
──とはいえ、翌年の2009年には『最遊記歌劇伝ーDead or Aliveー』が上演されます。
鈴木:この2つの舞台で主演、という立場の立ち方をものすごく考えるようになりました。……ただ、残念ながらその先へと続けることができなかった。続かなかった理由はそれこそいろいろあったと思います。本当に悔しかったし、自分の力の無さを痛感して辞めようと思った瞬間もありました。
──辞める……。
鈴木:はい。……やっぱり続けていると、そういうときもありますよ。なによりも『最遊記歌劇伝』が続かなかったことは大きな挫折で、改めて演じることについて考えました。もともと自分が不器用なことは気付いていたので、これはもう、できないことをひとつ、ひとつ身に付けていこうと決めて。
──どんなことでしょう。
鈴木:たとえば発声法、それから表現法です。なにが苦手かというと演技においての一義的動作ができなくて。説明すると一義的というのはこの取材のように一対一で話すことで、二義的というのはテレビを観ながら相手と話すといった技法ですが、どうにも自然に演じることができなかった。
──そういった技法はどこで学んだのでしょう。
鈴木:すべて独学です。演技メソッドに関する文献をいろいろ読んで、そのなかで『ベラ・レーヌ法』という、フランスのベラ・レーヌさんという方の考え方がいちばん好きだな、と思って実践してみました。会話法だけでなく、舞台上での空間を意識した動き方、照明の効果とかそういったことも初めて考えるようになった。
 いろいろ学んで、しっくりきたのが台詞を台詞として覚えないという技法でした。ぼく、台本を覚えるときは、キッカケやタイミングの決めとなる台詞は覚えますが、あとは感情の流れとして覚えるんですね。そのときの気持ちに辿り着けたら、自然にことばは出てくるから。ただ、役柄上、どうしても説明しなければならない台詞というものもあって。そういうときは「台詞」としてきちんと覚えて口を慣らしたほうがいいし、そうやって暗記するという方法もありますが、それはあまり好きではなくて。
──気持ちで覚える、ということは心から役にすっかり寄り添わなくてはなりません。
鈴木:それが当たり前のことで、今はもう、気持ちで覚えるほうがやりやすいですね。きっと、さらにその上のレベルがあると思うので、そこはまた今後の課題なんですが。
──お話、とても興味深いです。
鈴木:あとは「誰に向かって言うか?」を意識することで届き方がちがうとか。たとえば「昨日、楽しかったですね」という会話も、役者さんによっては相手のぼくに言うのではなくて、観客に聞かせようとするあまりぼくを飛び越えていっちゃうことがあって。そうしたくなる気持ちはわかるんだけど、ぼくには入りにくくなっちゃう。
──そういうのはわかってしまうものですか?
鈴木:わかりますね。
──話す相手を意識するということで言えば、先ほど話に出た、舞台『眠れぬ夜のホンキートンクブルース第二章〜飛躍〜』はホストクラブでの話なので、開店準備をするホストたちがあちらこちらで会話が行き交う場面がありました。
鈴木:ああ、そういう場合もベラ・レーヌ法はぴったりで、テーブルを拭きながら「あ、そういえばさ……」みたいに、遠くにいる人と会話をどんどん飛ばしあうような場面にもすごくいいんです。
──ああいう場面はお互いの間、みたいなものがひとつずれると大変なことになりそうです。
鈴木:そうでもないですよ。もしもずれたら、なにかを一個はさんで元に戻せばいいんです。ただ、無駄な台詞を入れたくはないので、相手が台詞を飛ばしたとしても、ぼくは最短で戻しますけど。
──そういったことを学んでは、現場で試みて……という感じだったのでしょうか。
鈴木:そうですね。ぼくは劇団に入っていたわけではないので、すべて舞台の上で、です。ありがたいことに『最遊記歌劇伝』が終わった後も続けてお仕事をいただけたので学んだことをひとつひとつ、身に付けていけました。
 なによりも常に目の前に、実際にそういったことを試みて、実践する先輩がたくさんいてくれた。だから迷っていてもすぐ近くに答があったりして、そういう機会にたくさん恵まれたのも本当にありがたいことでした。

 

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

 

──役で居ながら、その場でどんどんやりとりしていくことでいえば、舞台ではありませんが2010年から放送されたバラエティ番組『戦国鍋TV〜なんとなく歴史が学べる映像〜』(tvkほか)での「信長と蘭丸」の蘭丸役があります。
 架空の歌番組「MUSIC TONIGHT」で戦国武将がユニットを組み登場しますが、信長役の村井良大さんと毎回、愉快な掛け合いを披露していました。ライブも開催されましたが、ふたりともに常に徹底していて毎回、エチュードを観ているようでした。
鈴木:それが「お芝居」だと思うんです。確かに与えられた台本を自然に演じるということもお芝居ですが、会話というか相手の動きやことばを受けて返して成立させていくこともお芝居です。たとえば手を差し出されたら「握手だな」と思って受ける。それを見て、相手も返す。そうやって組み立てていくというか。
 多分、どちらも基礎となる役が入っていたからできたんだと思います。入っていたからこそ、大まかな構成だけでも十分に「役」として居られた。ただ、そのやりとりが長くなってくると話す前に、この「役」はそういうことを言うのか? を考えるので、一瞬のタイムラグはあったりしますが、でも、役を作ることができていたら難しくはないし、それが演じることのひとつだと思っています。
──自在です! そして、この作品で「鈴木拡樹」という存在がより広く知られることになった……と感じます。
鈴木:いろいろな経験をさせてもらった作品で、感謝しています。ほかにもいろいろな作品に出演させていただき、ぼくを知って興味を持ってくださった方が劇場に足を運んでくださっていることに心から感謝しています。
 辛い経験と幸せな経験を経たからこそ、板の上に立つときの意識もお客さまを見送る姿勢も変わりました。だから、お客さまにきていただける、ということへの感謝やその喜びを誰よりもわかっているつもりですし、誰よりも噛み締めています。

 

 

演じる喜び、感謝できる喜びを知る。

 

 舞台男子 鈴木拡樹

舞台男子 鈴木拡樹

 

後編の更新は8月半ばまでお待ちください。

 

2015年6月末 都内にて収録
・写真や記事の無断転載はおやめください。


撮影/江藤はんな(SHERPA+)
ヘアメイク/BELLEZZ
編集・文/おーちようこ

 

舞台男子 講談社BOOK倶楽部 BOOKCAFE