Tokyo WeekenderからTIMEへ
外務省が正式に抗議したので、この件に関しては特に何かをもの申すつもりはなかったのですが、調べていたらとある事実が見つかったので記しておきます。
ECPATによる女子学生の13%が援助交際をしている、という発言の元ネタを追跡しています。同記事によると、ECPATのソースはWikipedia経由で、その元ネタは2002年に書かれたAboutの Japanese School Girls and Enjo Kosai - Asia for Visitors でることが突き止められています。
2002年のAboutでは、大きく見積もって13%の女子学生が援助交際をしていると、結論づけているのですが、その根拠は同記事内にあるTokyo Weekenderの記事だと思われます。
How common is enjo kosai? This from the 1998 editorial in the Tokyo Weekender: "According to a recent survey of junior high school students in their final year, 17 percent thought there is nothing wrong with enjo kosai and 13 percent replied that they felt no reluctance in practicing it." (Emphasis added.)
1998年にTokyo Weekenderが発行した記事において、中学三年生の女子に、援助交際についてアンケートを取ったところ、17%が特に問題では無い、13%が特に抵抗はないと応えたとしています。この13%が援助交際に対して特に抵抗がないと応えたことを元に、同記事内で大きく見積もっても13%の女子学生が援助交際を行っているだろうと、結論付けたのでしょう。
該当するTokyo Weekenderの記事をwebarcvhiveで見つけることができました。
確かにAboutと同様の文言が書かれていますが、調査の詳細については書かれていません。
このTokyo Weekenderの記事は英語圏における援助交際に対する理解に大きな影響を与えているようで、Urban Dictionary: enjo kosai によると2001年の5月19日付けのTIME誌の She's Only a Little Schoolgirl - TIME でも引用されているようです。
その他にも、Asia Times Online :: Japan News and Japanese Business and Economy や enjo kosai definition | What does enjo kosai mean? でも引用さています。
先の2002年のAboutの記事は、時期的に考えて2001年のTIME誌を参考にしている可能性があります。
憶測が確定に
13%の根拠となる調査結果は、不明のままです。Tokyo Weekenderに何か記録が残っている可能性はありますが、ECPATは13%の裏付けをきちんと行っていなさそうだなと。
ちなみに、ベネッセが1997年に行った調査は高校生が対象であり、先の中学三年生の女子ではありません。
本件と関係ありませんが、ベネッセの調査結果に言及した文献を見つけましたので、以下に引用します。
援助交際をする可能性に関する設問には、「もしかしたらする」6.7%、「たぶんしない」22.9%、「絶対にしない」70.4%であり、全体の3割は援助交際予備軍であるといえる。
三井善止 新・生と性の教育学 II 生と生をめぐる現状 P. 45
「たぶんしない」を含めて、3割を援助交際予備軍とするのは妥当なのですかね?
先の、Aboutの記事もそうですが、「援助交際に対して特に抵抗がないと考える(felt no reluctance)13%の中三の女子」が、伝聞に伝聞を重ねて「13%の女子生徒が援助交際を行っている(practicing)」に変容しているので、推定を断定的に書いたらいかんのでは。