(キーン)なぜそんな事を聞く?金や名声は結果としてついてくるものだ。
おれはその日の試合でどう打つかどうリードするかしか考えてない。
(茂野吾郎)なるほどな。
心の声おれにもそれが合ってるかもしれねえな。
うだうだ考えるのはもうやめて今は試合に勝つ事だけに集中してみっか!
(テーマ音楽)
(実況アナウンサー)「ウイングスの攻撃は1番からの好打順。
マウンドには毎回ランナーを背負いながらも要所をしめるピッチングで無失点の茂野。
今日は力でおすというよりもコーナーをうまくついて打たせて取るピッチングでウィングス打線を見事におさえております。
しかもここまで無四球」。
この回をおさえればメジャー初完封勝利も見えてきます。
なかなかのピッチングなんじゃないでしょうか?茂野さん。
(茂野英毅)そうですね。
心の声ここはフォークで。
やっべ!ああ!
(ロイ)わりいおれがちゃんと捕ってれば。
いやあおれの送球がまずかったんだよ。
(ステーシー)ご苦労だった。
あとはワッツにまかせろ。
(実況アナウンサー)「久しぶりに好調だった茂野でしたが自らピンチを広げここで交代となります」。
ふう。
(実況アナウンサー)ダブルプレー!ワッツわずか2球でクリーンアップを打ち取りピンチをだっしました!相変わらず安定感抜群ですねえ。
球威といいコントロールといいすばらしいですね。
(打球音)
(実況アナウンサー)「試合終了!先発茂野からクローザーワッツへの完封リレーでホーネッツ見事に勝利をおさめました」。
さっきは助かったぜサンキュー!ああそれがおれの仕事だからな。
この後どうする?勝ったし何かうまいもんでも食ってかないか?
(ダンストン)ああそりゃいいな。
…にしてもよおよかったよなあ今日の茂野。
ああいうのをねばりのピッチングっていうんだよな。
(ネルソン)まっ確かに悪かなかったけどよ開幕の時のあれと比べちまうとなあ。
(パーカー)あああの時は球にもっと迫力があったな。
(職員)茂野さんちょっといいですか?ああ?お客さんが来てますよ。
おれに?迫力か…。
え?確かに感じられなくなっちまったよな。
最近のピッチングからは。
バッツのころのあいつはもっと闘争心むき出しで勝つ事に対してどこまでも貪欲なやつだった。
それが今じゃ…変わったなあいつ。
客って…だれだあ?いったい。
お!よお!久しぶりだな。
おやじ!
(テレビアナウンサー)「テキサス・レイダース対アリゾナ・イーグルスのデーゲームは9回レイダースがツーアウト満塁で逆転のチャンスをむかえました。
打席には7番のギブソンJr.ここまではまったくいいところがありませんが一打逆転かそれともラストバッターとなってしまうのか。
その第1球!」。
「しかしここもギブソンJr.簡単に打ち上げてしまいます。
これでレイダースは泥沼の7連敗。
中地区の最下位に転落。
今日7番に下がったギブソンJr.でしたが2度の絶好のチャンスで打てず大ブレーキ。
ドラフト1位から順風満帆で来たゴールデンルーキーにも厳しい2年目が訪れています」。
(ギブソンJr.)最悪だよな。
(ジョー・ギブソン)ん?…ったく自分で情けなくなっちまうぜ。
ジュニア!どうしたんだ?急に。
今日のおれのゲーム見たんだろ?あの後監督に呼ばれたんだ。
(レイダース監督)エキシビジョンから開幕当初は調子がよかったものの5月に入ってからは打率も急降下。
ホームランも1本もなし。
打率2割5分か…。
この大スランプの原因は何だ?わかりません。
コーチと一緒にフォームのチェックや修正はしてるんですが…。
まっ2年目は研究されるしおまえはまだ若い。
そううまくいくほどあまくはなかったんだろうが…。
ワールドカップから出ずっぱりでつかれたんだろう。
あさってからのバイソンズ戦はスタメンから外す。
少し休め。
情けねえ…シーズンもこれからだってのに今からスタメン落ちなんてよ…。
そうか。
まあここんところの内容ならしかたないな。
教えてくれおやじ。
正直どこが悪いのかさっぱりわからねえ。
ずっと野球やってきたがこんな事は初めてだ!そんな事のためにわざわざアリゾナから来たのか?そんな事!?おれはピッチャーだぞ。
バッターの事なんかわかるわけないだろ。
何ならテニスのラケットででも打ってみたらどうだ?それならいくらなんでも当たるだろう。
まっ飛ぶかどうかはわからんがな。
ハッハッハ…。
ふざけんなよ!息子がわらにもすがる思いで相談しに来たってのに何だよ!長年おれを見てるあんたなら何かわかると思って来たのにそれでも親かよ!頭来たぜ!長い間マイナー落ちの不安なんかと縁のなかったあんたにはスランプになったやつの気持ちなんかわかるわけないよな。
(エマ)あ!くっそ!
(ギブソン)おいジュニア!スランプだ?ハッハ…ルーキーのくせに何を言ってる!スランプってのは何年もメジャーで実績を積んだやつがおちいる不調の事だ。
マイナー落ち?それもまた結構。
だれもがそうして苦しんでくやしなみだを流して一流のメジャーリーガーになっていくんだよ。
スタメン落ちしたぐらいでおれに相談しに来るなんてあまったれるな!ああわかったよ!2度と相談なんかするかよ!よろしいんですか?せっかく最近こちらに顔を出されるようになったのにまたそんな冷たい態度を取られたら…。
いいんだよエマ。
まったく!こっちに来るなら来るって前もって教えといてくれよ。
いきなりでビックリしたじゃんか。
しかもメジャーの解説者になってたなんてよ。
何言ってんだ。
かあさんが電話で言おうとしたらおまえ切っちまったそうじゃないか。
え?そうだっけ?まったく…なかなか切れねえなこいつ。
けものかおまえは。
もうちょっと上品に食べられないのか?しかたね〜だろ!ところでさ…おやじ。
ん?何だ?いや…その肉食わねえならもらっていいか?ああ。
いっただき〜!ふい〜っ食った食った〜。
サンキュ!おやじ!何が「サンキュ!」だ。
メジャーリーガーが親にたかってんじゃねえ!じゃおれはそろそろホテルにもどる。
次の登板がんばれよ。
おやじ!ん?今日のおれのピッチングどうだったよ?コースをていねいについて無難にゴロアウトでしとめる。
大人のピッチングをしてるって感じがしたな。
だろ?ここまで来んのに結構苦労したんだぜ!マイナー落ちとかしたけどもう心配ねえよ。
なあ吾郎。
ん?プロになった以上おまえの投げるボールはおまえ一人のものじゃない。
それだけは覚えておいてくれ。
え?じゃあな!たまには母さんに電話してやれよ。
(歓声)
(実況アナウンサー)「三振!試合終了!ホーネッツこれで3連勝です。
今日から始まったインターリーグ日本で言う交流戦の初戦を見事勝利でかざったホーネッツ」。
今日も最後はワッツ投手がピシャリとしめてくれました。
先発した茂野も3勝目をマークしましたね。
ええ。
6回までに3点取られましたが打線に助けられました。
(実況アナウンサー)茂野は今シーズントータルでは3勝3敗。
メジャー復帰後は2勝1敗ととりあえず復調のきざしです」。
(サンダース)いや〜よかったよかった!3連勝でチームも5割。
首位とも3ゲーム差だしまだまだいけるぜ。
茂野は復活したしキーンは首位打者。
やっぱり若い選手が元気だとチームも勢いづくな。
しかし茂野は見ちがえるほど落ち着いたピッチングができるようになったな。
春先はピンチになったらガタガタにくずれてたのに今日もフォアボールは2つ。
ランナー背負っても低めに集めて3つも併殺取って切りぬけてる。
若いくせにたいしたもんだ。
まるでベテランのピッチングだ。
そういや茂野次の登板は1週間後のレイダース戦じゃないのか?ああ。
せっかくギブソンJr.にワールドカップのリベンジをするチャンスだったのにあいつ最近スランプでスタメン外されてんだよな。
え!?スタメン落ち?ジュニアが?
(キーン)なんだ知らなかったのか。
ああ。
(ワッツ)さっき他球場の結果見たら今日はスタメンに復帰してたがな。
一応ヒット3本打ってたからスランプはだっしたのかもしれんな。
(実況アナウンサー)「7回裏のレイダースチャンスを広げてワンアウト23塁。
ここで打席には今日スタメンに復帰したギブソンJr.。
ぬけた〜!ヒットヒット!一気に2人かえって7対1。
この2点タイムリーで復調のきざしが見えますギブソンJr.」。
(ファンA)あ!
(ファンA)サインお願いします!
(ファンB)握手して下さい。
(ファンA)ありがとう!
(ファンB)ありがとうございます。
(リック)あ…あの…。
ん?サイン下さい!ああ。
はい。
わあ。
ありがとう!じゃあな。
今度の試合も絶対応援に行くからね!
(リック)がんばってね〜!
(場内アナウンス)「さあ本日レイダースの強力打線をむかえうつホーネッツのピッチャーはゴロー・シゲノ!」。
(客A)ワールドカップ以来のジュニアとの対決か。
(客B)ああこれは楽しみだな。
(客C)茂野!
(客D)茂野〜!
(客E)がんばれ〜!
(客F)必ず勝てよ〜!試合前からすごい盛り上がりだな!みんなおまえとジュニアの再対決に期待してるんだぜ。
んなの関係ね〜よ。
ジュニアも9人のバッターの1人だろ?おれはただアウトを1つずつ取る事しか考えてねえよ。
(主審)プレーボール!ストライク!
(一塁塁審)アウト!ストライク!
(サンダース)今日も安定してるな茂野。
こりゃまた5回まではブルペンの仕事はなさそうだな。
どうかな。
え?レイダース打線はなかなか手ごわいからな。
今日は前の2試合のようにはいかないだろ。
チッ!
(ワッツ)おまえも気づいてるんだろ。
サンダース。
イップスは治ったのかもしれんが本来あいつの持ってた荒々しさはどっかに行っちまった。
若いくせになぜあの球を投げなくなっちまったんだ?このジュニアとの対決であのころのあいつが目覚めてくれるといいがな。
(主審)プレー!ボール。
心の声マイナーから復帰してからは相変わらずコントロール重視か。
本来ならまたワールドカップの時のような勝負がしたかったが。
(主審)ボール。
心の声おれもおまえも今はもうあんなバカな勝負ができるコンディションじゃねえ!
(主審)ストライク!心の声メジャーはやはりあまくない。
とにかく今はどんな形でもヒットを打ってコンスタントに数字を残す事だ!
(打球音)ファール!心の声これでいい。
コースや低めをていねいにつけば大やけどは少ない。
プロで数字を残すには冷静にたんたんとゲームを作れる大人のピッチングをする事だ!
(打球音)アウト!アウト!
(実況アナウンサー)「ダブルプレー!ギブソンJr.ショートゴロゲッツーでスリーアウトチェンジ!茂野見事にこのピンチを切りぬけました」。
再対決の第1ラウンドは茂野に軍配が上がりましたね。
そう…ですね。
チッ!もう少しずれてればぬけてたのによ。
やれやれしょっぱい対決だぜ。
ライバルのジュニアもあれじゃ茂野の覚醒も期待薄だな。
とつぜん5回にくずれたな。
それまではうまく打たせて取ってた印象だったがいったいどうしたんだ?
(打球音)まっしゃ〜ね〜な。
切りかえてまた次勝ちゃいいんだよ。
やれやれ達観しすぎててイライラしてくるぜ。
ワッツ。
前に打ち込まれたタイタンズに今日のレイダース…思ったとおり今のあいつじゃちょっとバッティングのいいチームには通用しねえ。
いくらコースをついたっていいバッターはコンパクトに右打ちやセンター返しで対応してくる。
あれじゃ勝てるのは打撃のあらい貧打の相手だけだ。
もしも〜し。
・
(オリバー)ああ茂野か。
おれだオリバーだ。
がんばってるじゃないか。
今日はギブソンJr.との対戦でイップスの再発を少し心配してたんだがとりあえず落ち着いて投げられてたな。
・ああ。
でも結局シングル2本打たれて完敗だったけどな。
新しい目標は見つかったか?いやそれはもう気にしない事にしたよ。
その日その日の試合で最善をつくす事だけを考える。
野球でめしを食ってくしかおれにはないからな。
それ自体が目標みたいなもんさ。
・
(オリバー)そうか…。
ああそれと余談だが1週間ほど前うちにミスター・ギブソンから電話があった。
ギ…ギブソンが!?ああ。
おまえがイップスでおれの治療を受けたと知っておまえの症状や治療の経過についてたずねてきた。
(打球音)ふ〜。
明日先発だろ?後で受けてやる。
ああたのむわ。
おい茂野!大変だ!どうしたってんだよ。
そんなあわてて。
どうしたもこうしたもね〜よ。
緊急会見だ。
会見?何の?ギブソンが今日付けでバイソンズに選手登録された。
(サンダース)つまり現役復帰って事だ!な…なんだと…。
(エンディング・テーマ)ギブソンがメジャーに復帰?しかもおれと同じ日に先発するだと!?いったい何考えてやがるんだあのおやじは!次回「メジャー電撃復帰」夢の舞台へかけ上がれ!2015/11/08(日) 17:30〜17:55
NHKEテレ1大阪
アニメ メジャー6「ルーキーの苦悩」[字]
野球への熱い情熱を持てずに登板する吾郎。その姿を父・茂野はいぶかしく思う。一方、深刻なスランプに陥ったギブソン・ジュニアは、父・ギブソンにアドバイスを求める。
詳細情報
番組内容
野球に対する熱い情熱を持てないまま、マウンドに上がる吾郎。そんな姿を、チームメートやメジャー解説者となった茂野は、いぶかしく思う。久しぶりに親子で食事をした茂野は、吾郎から「今の自分のピッチングをどう思うか」と尋ねられ、「プロになった以上、お前の投げるボールはお前ひとりのものではない」と告げる。一方、深刻なスランプに陥ったギブソン・ジュニアは、アドバイスを求めるため、意を決して父ギブソンを訪ねる。
出演者
【声】森久保祥太郎,落合弘治,浪川大輔,森川智之,家中宏,石井康嗣,羽多野渉,小山力也,井上喜久子,咲野俊介
原作・脚本
【原作】満田拓也,【脚本】末永光代
監督・演出
【監督】福島利規
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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