さわやか自然百景「北海道 真狩川」 2015.11.08


(テーマ音楽)北海道羊蹄山の麓を流れる真狩川です。
透明な水をたたえる清流。
流れには水草の森が広がります。
そこは生き物たちの揺りかごです。
北海道でも限られた場所にしか生息しないオショロコマ。
豊かな水辺が小さな命をつないでいます。
夏から秋清流に躍動する生き物たちを見つめます。
北海道南西部。
ひときわ高くそびえる山。
その形から「蝦夷富士」とも呼ばれます。
真狩川はこの羊蹄山を源にやがて日本海へと注ぎます。
この川は冷たい水を好む魚たちの絶好の住みかです。
夏でも水温は10℃前後に保たれています。
清流の女王ヤマメがいました。
本州では川の上流部によく見られる魚ですが真狩川では下流でも水温が低いため幅広い範囲に生息しています。
こちらはアメマス。
ヤマメと同じく冷たい水を好むイワナの仲間です。
今度はおなかがオレンジ色の魚が現れました。
絶滅が心配される…氷河期の生き残りと言われ国内では北海道だけにしか住んでいません。
冷たい水を好む魚たち。
しかしこの川に住む理由はそれだけではありません。
森の中を流れる真狩川。
水の中にも緑が広がっています。
一面に広がる緑のじゅうたん。
水草の一種…小さな魚がいました。
魚たちにとってバイカモは身を隠す事ができる格好の隠れがです。
夏になるとバイカモは日ざしを浴びて一日に1cm以上も成長すると言われます。
水温が上がると生きていけない魚たちにとって日よけ代わりにもなるのです。
藻の表面に黒い筒のようなものが付いています。
バイカモに生えるコケなどを食べて成長するトビケラです。
実はこのトビケラ魚たちにとって貴重な獲物になります。
流されてきたトビケラをヤマメがパクリ。
バイカモはまさに命の揺りかごです。
多くの命を育むバイカモの森。
この水草も冷たく澄んだ水にしか生える事ができません。
なぜ真狩川の水は冷たく澄んでいるのでしょうか。
秘密は源にありました。
地中からこんこんと湧き出る水。
一年を通してかれる事はありません。
水源に広がる青い世界。
透明度の高い水だけが生み出す神秘的な光景です。
湧き出る水の量は一日およそ4万5,000t。
数十年もの間地中を流れてきたため夏でも10℃前後に保たれます。
これが真狩川の秘密なのです。
8月かれんな花が姿を見せます。
バイカモの花です。
大きさは1cmほど。
「バイカモ」という名は花の形が梅に似ている事から付けられました。
花が咲いているのは僅か1週間ほど。
北国の短い夏を彩ります。
秋。
羊蹄山麓は装いを一気に変えていきます。
現れたのはキツツキの仲間…木の実をついばみ冬に備え栄養を蓄えます。
くちばしで地面を掘り起こしているのは…地面に落ちた木の実や昆虫を探しているのです。
森の鳥たちは冬の準備に大忙しです。
水辺を餌場にする鳥もいます。
何やら水面をつついています。
よく見てみると大量の落ち葉が積もった上に小さな虫がいました。
トビケラの仲間です。
こうした水生昆虫は落ち葉を食べて成長します。
そして鳥などの食料となるのです。
魚たちはどうしているでしょうか。
あのオショロコマです。
バイカモが生えていない浅瀬に集まっていました。
体の大きい方がオスもう一方はメスです。
産卵をするためにこの浅瀬にやって来たのです。
オスがメスに体を擦り寄せ産卵を促します。
メスは尾びれで川底の砂利を掘り卵を産むためのくぼみを作ります。
産卵に適した深さは5cmほど。
体の小さなオショロコマ。
穴を掘るのに数時間かかる事もあります。
いよいよ産卵です。
オスがすかさず精子をかけます。
オショロコマは2〜3回に分け同じ場所に200個ほどの卵を産みます。
卵はこれから2か月かけて成長し真冬にふ化を迎えます。
卵が流されないように砂利をかぶせるメス。
冬も凍らないこの豊かな流れに命を託すのです。
足早に近づく冬。
気温が氷点下に達する日も多くなってきました。
しかし豊富な湧き水で満たされた真狩川の水温は冬でも6℃を下回る事はありません。
水の中ではバイカモが枯れる事なく青々と茂ります。
オショロコマです。
浅瀬で産卵を終えたあと再びバイカモの森に戻ってきたのです。
ここで栄養を蓄え冬を生き延びます。
北海道真狩川。
豊かな湧き水がつくり出す水辺の楽園です。
2015/11/08(日) 07:45〜08:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「北海道 真狩川」[字]

北海道西部、羊蹄山の南麓を流れる真狩川。冷たい水を好むバイカモの群落が広がり、氷河期の生き残りと言われる魚、オショロコマを支えている。清流の夏から初冬を見つめる

詳細情報
番組内容
北海道西部にある美しい円すい形の山、羊蹄山。その南麓を流れる真狩川は湧水の川。澄んだ水は夏でも水温10度前後。そのため冷たい水を好む水草、バイカモの群落が広がる。北海道でも一般にバイカモは源流部にしか見られないが、真狩川では下流まで広く分布。氷河期の生き残りともいわれる魚、オショロコマがバイカモをよりどころに暮らすなど、独特の生きものたちの暮らしを支える。清流を舞台に水草と魚たちの営みを見つめる。
出演者
【語り】小林孝司

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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