おはようございます。
司会の桂文枝でございます。
毎回面白い川柳を紹介しておりますけども今回はですねこういう川柳でございます。
何なんですかね。
このごろみんなポイントカードポイントカードいうてね。
女性の方はもうポイントカードで財布がパンッパンでございますからね。
私も持ってるんですけども「ポイントカードお持ちですか?」ってもまあ大体持ってないんですね。
まあある程度は持ってるんですけども。
ためてもですね店が無くなったりしてますしね。
ポイントカードの数…カードでねポイントじゃなくてカードの数でなんとか値引きしてもらうとか物が安くなればいいんですけどね。
そうはいかないですか?ハハッ。
それでは今日の出演です。
今日の出演者はニッチェ。
そして落語は古今亭菊之丞さんでございます。
(2人)どうも〜。
(拍手)どうも〜ニッチェと申します。
(2人)よろしくお願い致します。
ありがとうございます。
かわいいですかね?いや言ってない言ってない。
あれ?言ってない?「かわいい」って聞こえた気がしたんですけどね。
ありがとうございます。
申し訳ございません。
あの〜私たちですねニッチェというんですけれどもちょっと見た目からだとなかなか伝わりづらいかと思うんですけど実は太ってるんですね。
いや分かりやすいな!見るからに太ってるでしょうよ。
でもね芸人になってから太ったんですよ。
そうなんです。
2人ともですよ。
そうなんです。
私はですね芸人になってから20キロ太りまして。
20キロ太ったんですよ。
(観客)え〜!?いい反応ですね。
何か練習したかのようなね。
ありがとうございます。
だから痩せてた頃はね「かわいいかわいい」なんて言われてまして。
「上戸彩ちゃんに似てるね」なんて言われてたんです。
ハハハ。
苦笑い。
苦笑い。
まあまあ面影ないですからね。
面影が全然ないからね。
20キロ太りまして。
私はですね芸人になってから30キロ太ったんですよ。
30キロですよ?30キロ痩せてる頃なんて面影も何もかもありませんから。
その当時私だってね「かわいいかわいい」って言われてね当時はね「小錦に似てる」って言われて。
変わんねえじゃん!全く変わってない。
ク〜ッ!「ク〜ッ!」じゃないんだよ。
「あれ?太ったらもっと似るんじゃない?」って言われてて今その状態なんですね。
何で自分から寄せにいっちゃってんの?こんな2人ですけどもね。
ただ私は太っておりますが先日結婚さして頂きまして。
ありがとうございます。
結婚したんですよ〜。
ありがとうございます。
そうなんです。
何かすいません。
別にいいよ。
申し訳ない。
めでたいんじゃないですか。
私は太ってても結婚できたからいいんですけど近藤さんは太ってね6年間彼氏がいないんですよ。
そうなんですよ。
もうず〜っと彼氏がいない。
ず〜っとね。
笑っちゃうよね。
太ってるせいだと思うんです私。
近藤さんはやっぱりね痩せた方がいいと思うんです私。
いや〜痩せたいのはやまやまなんだけども誘惑が多くて痩せられないんだよ。
まあ分かるよ。
分かる。
例えばコンビニとか行ってももう余計な物買っちゃったりとかして。
難しい。
ダイエットが。
でもそういう時にさ「買っちゃえよ」って誘惑してくる心の中の悪魔に勝たないとダイエットなんて絶対できないからね。
なるほどね。
ちょっと葛藤にさ勝つ練習してみようよ。
練習しましょうか。
ちょっとコンビニで買い物してみて。
分かりました。
ダイエットしてるんでサラダだけ買って帰ります。
すいません。
うわっもう誰だよこれ。
レジ横に肉まん置こうって決めた人天才だよ!はあ〜おいしそう。
ドロドロドロドロドロ〜ン。
ハハハ…!ハハハ…!悪魔のクオリティーが高い。
おい肉まんおいしいぞ。
買っちゃえよ!買わない。
私は今ダイエット中です。
お前にいい事教えてやろう。
何?肉まんはな太らない!いや太るよ!「肉」の上に「まん」なんだから絶対太るの。
ほらおいしいぞ。
食べないのか?アチチ…。
何で悪魔が食べるんだよ。
フ〜フ〜…う〜ん!もう口の中に肉汁がジュワ〜ってあふれてきて最高です。
いや食レポが上手!おいしそうだなおい食べちゃおっかな〜。
キラキラキラリ〜ン。
食べては駄目よ。
天使!あなた痩せて昔の頃のように戻りたいんでしょ?うん。
「上戸彩ちゃんに似てる」って言われてた頃に戻りたいの。
フフッ。
笑った!天使に鼻で笑われた。
おいおいおい!ん?お前今日「演芸図鑑」で爆笑とったらしいな?うん。
自分へのご褒美にちょっとぐらい買ってもいいんじゃないのか?そっか。
そういう理由だったらね食べてもいいよね。
あなたはそれほど笑いをとっていないわ!なんて事言うんだよ!感じ悪すぎでしょこの天使。
おいおいおい!え?レジの前見てみろよ。
レジ?大福が置いてあるぞ。
あ〜おいしそう。
甘い物はな頭が働くんだよ頭が。
そうだよ。
芸人だったら頭を働かせないといけない。
頭が働いたところであなたは面白い事を言わないわ!この天使嫌い!本当に天使なの?この天使。
おいおいおい!え?まあ食い物とまでは言わないよ。
でも自分へのご褒美にこっちの方ぐらいはいいんじゃないのか?こっちの方ぐらいは。
そうだ!お酒とか飲んでもねそんな太んないからね。
ほら早く買っちまえよ。
サラダ油。
ジェスチャーおかしいでしょ!いいか?サラダ油はな…サラダだ!いや油だよ!ギトギトの油なんだよ!ほら!もうよそ見しないで!店員さんの方だけまっすぐ見てお会計済ましちゃいなさい。
そうだよね。
お会計お願いします。
おいおいおい!何?店員の後ろ見てみろよ!何?クッキーの箱がたくさん置いてあるぞ。
おいしそうなんだよねあれ。
待ちなさい。
え?あれは贈答用よ?贈答用?人に贈るための商品なの。
ギフト用だったんだ。
おい!それがどうしたんだよ。
自分宛てに贈るんだよ。
なんて事言うんだよ悪魔!住所書くんだよ。
東京都港区芝浦…。
本当の住所!本当の住所はやめて!江上さん私こんなんじゃ絶対ダイエットできないって!じゃあね考え方を変えましょう。
もう太ったままでも人気者になれるっていう方法を考えよう。
どういう事?それは。
例えばねテレビ。
ぽっちゃり専門チャンネルっていうのを作ったら私たちは需要が上がるし人気者になって…。
ぽっちゃり専門チャンネル?そう。
出てる人全員デブ。
うわっ暑苦しい。
いいでしょ?でもちょっと興味ある。
それ。
そういうのを作ると近藤さんも人気が出てモテると思うんだよね。
どうすんの?それ。
例えばねドラマとかね。
「101回目のプロポーズ」っていうドラマあったじゃないですか。
懐かしい。
ありました。
名ゼリフありましたよね。
「僕は死にましぇん。
あなたが好きだから」。
もうちょっとだけものまねしようか。
申し訳ない。
それものまねしやすいやつだから。
そっか。
武田鉄矢さんのやつだからね。
これをねぽっちゃり専門チャンネルで変えちゃおうと思って。
題名はねあの〜「101本目のマヨネーズ」っていうのね。
気持ち悪い!101本!?年間で?いや月間だろお前!まじかよ!一日3本以上の計算になるよ。
「僕は痩せましぇん!」。
そりゃそうなるよ。
「おマヨが好きだから!」。
おマヨって言っちゃうんだね。
・「余計な」これ主題歌です。
・「物しかないよね」この事言ってんのかな?・「Ahー」「Ahー」じゃないんだよ。
気持ちがいいね。
余計なものの塊ですから。
そういうドラマだから。
絶対人気出ないでしょ。
じゃあ戦隊物とかはどう?戦隊物とか。
戦隊物!子ども人気だね?いいんじゃない?ぽっちゃり戦隊!コレステロール!ダサいな!ダサいね。
「助けてコレステロール」とはならないでしょ。
なんないね。
あのねお子さんが好きなのは何とかマンだから。
アンパンマンとか言うでしょ?う〜ん…肥満!そのまんまじゃねえかよ!ひねれっつってんのに!いいでしょ?ぽっちゃり戦隊5人いるんですよ。
色に分かれてんでしょうね。
二の腕レッド。
二重顎グリーン。
股ずれピンク。
ダサいなおい!汗かきイエロー。
ネーミングがダサい。
セルライトブルー!かっこいい!セルライトブルー。
イケメンがやってんだろうね。
ぽっちゃり戦隊は日々ぽっちゃりの敵と戦ってんのよ。
ぽっちゃりの敵って…?出たな!怪人冷え性女!夏だというのに部屋の冷房28度に保つのはやめろ!そういう人いますよね。
それはもはや冷房ではない。
暖房だ!違います!あれは冷房でいいんですよ。
ぽっちゃり適温16度ビーム!いや寒い寒い寒い。
バカ〜ン!爆発した。
寒い〜。
いや飛んでってるし。
何で?自分が冷え性だと分かっているのなら常にブランケットなどを持ち歩く事だな。
ファサッ。
何?その決めゼリフ!しかばねにブランケットを…。
自分勝手すぎるでしょそのヒーロー。
人気出る?絶対人気出ないよ。
いい加減にしろ!
(2人)どうもありがとうございました。
(拍手)
(拍手)え〜落語でお楽しみを頂きますがケチな方というね昔からいろんな言い方がしてございます。
ケチりんしょく赤縲屋しみったれ六日知らずなんという言い方があるんだそう。
ケチな人の事を何で六日知らずというね。
日にちを数えるのに一日二日三日四日五日までは指を折らなきゃいけないんですが六日と数える時は指を開かなきゃいけない。
一旦握ったものはどんな事があっても開かないってんで六日知らずとうまい事が言ってございます。
まあケチの小ばなしなんてのはいくらもございまして「おいおい定や定吉ここへね釘が出てんだ釘が。
え?これかぎ裂きなんかするといけないから隣行って金づち借りてこい。
貸してくれたか?」。
「貸してくれないんです」。
「どうして?」。
「隣行って『金づち貸して下さい』って言いましたらね『金の釘と金づちとコチコチっと当たるっていうと金づちが減るから貸せません』ってそう言ってましたよ」。
「何?金づちが減る?なんてしみったれた事言うんだ隣のやつは。
そんなうちから借りてくんな。
じゃうちの出して使いなさい」。
どっちがケチだかよく分かんないなんてのありまして。
「あなたその扇子どうやって使います?」。
「私は倹約家ですよ」。
「ほうほう。
どのように?」。
「まあ扇子一本ありましたらまずこれは10年はもちますな」。
「はあはあ10年。
うん。
どのように?」。
「まずこの半分広げましてね5年あおぐんですこうやって。
で傷んできましたら残りの半分を広げて5年あおごう。
締めて10年ってんですがいかがでしょうな?」。
「あ〜手ぬるいですな」。
「手ぬるい?」。
「手ぬるいです。
扇子一本ありましたら私はもう10年なんてなまやさしいもたせ方は致しません。
孫子の代までもたせますから」。
「へえ〜どのように?」。
「私はあなたみたいに半分なんてしみったれた事致しません。
全部広げましてなこれあおぐからして傷むんでしょ?首の方振れば…」。
(笑い)気は心というやつでございましてね。
まあ親御さんがケチりんしょく。
それをせがれなるものが親を見習ってケチに徹するかってえとそんなこたぁございません。
もうある金が右から左に使っちまうという。
これが世の常というやつでございまして。
「番頭さんそこじゃお話が…。
まあまあいいからこっち入ってそこへ座っておくれ。
いや〜私もねう〜んまあこれだけの身代をこしらえるにあたっちゃあ世間様から『やれケチだ。
やれしみったれだ』いろんな事を言われてきました。
それでもなんとかこれだけのものを残せた。
そこでね跡取りなんだよ。
まあうちにもせがれが1人いるにはいるけどどうもあいつはね私と違って金の使い方が荒くて困る。
え?この苦労してこしらえた身代をあいつにすんなり譲っちまっていいもんかどうかそれが私ゃ今から心配でね。
お前さんに聞こうと思ったんだがな番頭さん。
どんなもんだろうね?」。
「さいでございますか。
ではこうなすってはいかがでございましょう?お試しになりましては」。
「何だい?その『試す』?」。
「ですからお坊ちゃまのお金の使い方をお試しになってはいかがでございましょう?」。
「何だい?せがれの金の…。
お前さんだって知らない訳じゃないだろ。
あのせがれの金の使い方。
よく世間にね湯水のように使うという例えがあるがあいつはそんなんじゃない。
え?水の方を大事に使ってるぐらい。
ある金は右から左に使っちまう」。
「いやそうではございません。
ふだんではございません。
ご当家に何か一大事が起きました時のお坊ちゃまのお金のやりくりを問うてみてはいかがでございましょう?」。
「何だい?『うちに何か一大事が起きた時の金のやりくり?』。
そりゃいい。
あ〜早速試そう。
店にせがれいるのかい?あ〜そうか。
じゃあすぐ呼んできておくれ。
はいはい。
ご苦労さま。
はあ〜なるほどね。
一生に一度あるか二度の事。
これは昔から婚礼に弔いと相場は決まったもんだけどあいつ私が死んだら一体どんな弔い出してくれる?それがいい。
あ〜それ試して…。
あ…誰だ?あ〜せがれか。
こっちへお入り」。
「どうした?お父っつぁんどうしたお父っつぁん嫌だよそんな陰気臭え顔しちゃってさ。
え?患ってんの?そうじゃねえんだろ?もっとワッと陽気にやってくれよお父っつぁん。
嫌だそんな陰気臭え顔しちゃ。
え?風邪でもひいたの?そうじゃねえんだろ?ワッと陽気にやってよ。
本当に。
え?ワッとほら。
ワッと。
ワ〜ッと。
お父様」。
「何が『お父様』。
お前はふだんから脳天気でいけません。
お前に聞かなきゃならないんだがお前お父っつぁんが死んだらどんな弔い出してくれる?」。
「え?お父っつぁんの弔い?フフッそうね。
まああっちはこんな人間だからね当たり前の弔いってのは出したくねえな。
何かこう破天荒なね未曽有な世間の人があっと言って開いた口が塞がらねえようなね弔いの歴史に残るようなねあっしは色っぽい弔いがいい」。
「何だ?その『色っぽい弔い』ってのは。
どんな弔い?」。
「まずねうちの周り紅白の幕をワ〜ッと張る」。
「ちょっと待ちなよお前。
大安売りじゃないんだよ?何だその『紅白』…」。
「お父っつぁま白黒の幕なんてのは陰気臭くて面白くねえやな。
うちの周りを紅白の幕をにぎやかにワッと張っちゃうんだ。
弔いのさきども1番手これは大概はね紋付き羽織袴と決まってるけどあんなものは面白くねえ。
だからあっちはね町内のあの頭へ頼んで頭連中の木遣りでもって出ようと思うんだ。
お父っつぁんこらあいいよ。
赤筋の通ったはんてんか何か着てもらってさやぞうか何か組んで黒彫牡丹の扇半開きにしてこういうとこあてがってね頭連中の木遣りでもって出るんだ。
お父っつぁんこれ威勢がいいよ。
・『イヨ〜ヨ〜エ〜イ』か何かでうちの前をツ〜ッと出てくんだ。
お父っつぁんこらあ威勢がいいよ。
このあと手古舞が出るんだい」。
「何だ?その『手古舞』ってのは」。
「お父っつぁん手古舞ったってねそんじょそこらの娘っ子を連れてきてやろうってんじゃねえんだよ。
新橋芳町柳橋この一流の売れっ子の芸者連れてきてやろうってんだお父っつぁん。
手古舞って知ってんだろ?あの男まげなんてちょんまげみてえなまげ結ってさ金糸銀糸縫い取りのついた着物をこれをちょいと片肌脱いで黒地のたっつけ袴つけて草履をちょこんとつっかけて腰から『火の用心』なんて印籠ぶら下げて左手にはちょうちん右手には金棒。
この金棒をつきながらシャンコ〜ンシャンコ〜ンシャンシャンシャンコ〜ンか何かで後をゾロゾロくっついてくる。
お父っつぁんこらあきれいだよ。
このあと山車が出るんだい」。
何だ?その『山車』ってのは」。
「お父っつぁん山車の人形なんてのは大概は決まってるの。
牛若丸だ弁慶だ熊坂長範あんなのは面白くねえ。
だからあっちはね町内の人形師に頼んでお父っつぁんそっくりの人形をこしらえてもらっちゃうんだ。
お父っつぁんほら大概はしまの着物着てよ頭真っ白だ。
ここに大きなほくろがあんだ。
ほくろ。
こっから白髪が1本ツ〜ッて出てる。
こういう形の人形だ。
お父っつぁん勘定高えからよ手にそろばん持ってやんだそろばんを。
このそろばんを今にもはじこうってこういう形の人形だ。
お父っつぁんはね因業だからよ人形の顔はねこんな顔。
こんな顔。
見た?見た?こんな顔だお父っつぁんねえ。
山車にはこの囃子ってもんが付き物だ。
これもそうだね神田囃子の腕っこきの連中連れてこようじゃねえか。
何人ぐれえ連れてきたらいいかな。
そうだね締が2丁に大胴にトンビ四助代わり手が2人と7人も連れてきたらよかろう。
この山車がうちの前を出る時には屋台の打ち込みってんだ。
お父っつぁんこらあ威勢がいいよ。
テケテンテンテンテンテンスケテンテンスケテンテンチヒ〜リチヒ〜リピリッドンドンテンテンヨ〜テンテンテンドドテケテンテンスケテンテンドンドドテンスッテンテケテンドコドンテケテンスケスケテンドンドン」。
(笑い)「…ドドテンテンなんて山車がス〜ッと出てくんだお父っつぁん。
町の四つ角まで来るってえと囃子の調子がガラッと変わるよ。
トヒュ〜ヒャ〜ラヒ〜リチヒ〜リヒャ〜ラヒリチヒ〜リヨヒヤイツチカチャンチャンドドテンテンなんて。
この囃子にのせてね山車のお父っつぁんの人形が仕掛けでもって動くように出来てるんだよ。
オヒャイト〜ロ〜オヒャイト〜ロ〜オヒャイヒャイト〜ロヒャットヒャララチカチャンチャンドドテン」。
「お前さっきからそこで何をやってる?」。
「これね人形の首が電線引っ掛かったとこ」。
「お前くだらねえ事やってんなおい」。
「ドドテン。
あっお父っつぁん。
このあとみこしを出そう」。
「『みこし』だ?」。
「うん。
このみこしにはお父っつぁんのお骨が入ってるんだよ。
うん。
これを隣町の連中に取られちゃいけねえ」。
「誰がそんなもん取るやつがあるかい」。
「さあ町の若え連中頼んでそろいの浴衣尻っぱしょり半股引だ。
肩が入る。
足並みがそろうってえとまた威勢がいいよ。
ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜。
みこしが繰り出すってえと囃子の調子もガラッと変わる。
テンテンテレツクテレツクツヨ〜テレツクツテレツクツテンツクツクツクテレツクツクツクテンツクツクツクテレツクツクツクテンステンスッテンテンテンテレツクツヒリヒリトラヒャラヒリヒヒリヒリトラヒャラヒリヒヒリトラヒリトラヒャラヒリピリワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ドンスタドンスタドンスタドンドンワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜チャンチャンチャラチキチャラチキチヤ〜チャラチキチチャラチキチチャンチキチキチキチャラチキチキチキチャンチキチキチキチャラチキチキチキチャンスチャンスッチャンチャンチャンチャラチキチワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ドンスタドンスタドンスタドンドンワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜ワッソ〜テンテンテレツクテケテンテン」。
「うるさいお前は本当に!いつまでそんなくだらない事やってやがる!」。
「いやお父っつぁんこれがいつまでも続く訳ではありません。
一番町の外れまで来るってえと今までの頭連中手古舞山車みこしこれが横一列にズラ〜ッと並ぶ。
これを合図にしたように今や遅しと花火屋が思いを込めて大筒に火を入れる。
ヒュルヒュルヒュル。
揚がった揚がった。
え〜い赤縲屋〜!ズド〜ン。
紅白の紙吹雪がバラバラバラバラ〜。
お父っつぁんの位はいをぶら下げた落下傘がフワ〜。
下でもって女らが『まあきれいだわね』。
柝が2つチャンチャンと入るってえと今までざわついていた連中がシ〜ン静かになっちゃう。
ほれでもって親類代表の弔辞の朗読がございます。
親類代表がそろい出る。
『弔辞。
生者必滅会者定離とは言いながら誰か天寿の長からん事を請い願わざらる者あらんや。
ここに石町3丁目赤縲屋吝兵衛君平素勤倹を旨とし粗食に甘んじただただ預金額の増加せん事を唯一の娯楽となしおられしがついに栄養不良の結果…あの世の客となり今また山車の人形となる。
ああ人生面白し痛快なり』。
一同万歳!」。
「ばか!何を考えてんだお前は!私ゃねお前みたいなせがれ育ててきて今本当に後悔してるよ」。
「ハハッ。
これが本当の後の祭りだい」。
(拍手)どんな方とどんなふうにご共演されてねいろいろこんな事教わったとかいうのはいかがですか?そらあいっぱいあります。
いっぱいここにいっぱいある。
大事にしてますけど。
その大事にしてんのをちょっとこうページめくってですねこんな人からこんなん…。
森繁さんはね…。
森繁久彌さん。
「芸は愛きょうだぞ」って言われて。
「芸は愛きょう」?「愛きょうってニヤニヤしてる訳じゃないんだ」ってね。
やっぱり…うん…。
どういう意味ですかね?それは。
ちょっとこういろいろに考えられる言葉ですよね。
でも分かんなくはない。
う〜ん。
僕もですね森繁先生と曾我廼家明蝶さんのおうちでたまたまご一緒さして頂いて私はもう若い…本当に駆け出しの頃ですけども。
庭の石ねあれ見て「あの石はちょっと出てるだけやけども本当にいい庭石は下にいっぱい埋まってるもんだ」。
この土からちょっと出てるだけ?ええ。
出てるところはいいけどこの下がこう深いって事ですか?ちょっと出てるけどもあれは本当はものすごい下にいっぱい埋まってると。
それがいい庭石なんだと。
あ〜なるほど。
「芸というのはそういうもんだ」というのをおっしゃいましてね。
分かりますね。
ああ。
そういうもの…。
そこで聞いてもなかなか理解してもそのとおりはできないですからね。
杉村春子さんという方は?先生が最後に東宝系の舞台をお出になった時私一緒に出させて頂いたから。
これまた大女優ですよね?新劇の。
うれしかったですよ。
その公演中もピッタリくっついてましたもん。
ごはん食べる時でも何でも。
どうでした?ええもうそれはもう途中…終わりの頃ですけど毎日私が「おはようございます」って楽屋行きますと「ちょっとお上がんなさい」。
ね。
この手なんか色っぽい。
「お上がんなさい」って言うから上がっていきますと「今日はねこれあなたに持ってきたの。
私はもう着ないから着てちょうだい」って。
帽子も。
「これ私もうかぶんないからかぶって」って。
毎日そう…必ずだから「おはようございます」って入ってって出てくる時私着てる物違って出てくんですけどね。
先生の部屋から。
毎日のように頂いてた。
だからもしかするとそのころに先生そろそろお体もあれだから…。
整理を…。
…なすってたんじゃないかと今になるとちょっと思いますけどね。
しかしすばらしい事ですね。
で毎朝必ず「おはようございます」って言うとお化粧前で必ず台本読んでらっしゃる。
舞台のですか?毎朝楽屋で。
もう頭ん中入ってても?毎朝こう読んでらした。
「私ここんとこ違って言ったかしら」とか何かおっしゃいながらね必ず毎朝鏡の前で座ってこうやって。
すごいですねそれまた。
もう結婚しようとかそういうのは思わないんですか?だって今からもらい手はないですよ。
そんな事ないですよ。
そういう何かこう…一緒にいてそういうこう…関係はなくても楽しく一緒にやりましょういうのはあってもいいんじゃないですか?そうですね。
それは望みにあります。
あります?うん。
やっぱり話聞いてくれてちゃんといい話ができる人。
だから友達なんか…男の友達に電話するのはみんな電話でとかメールとかで。
男の友達いうても向こうに所帯あったらなかなか出てこないでしょ?皆さんもう私より全部若いですからね。
年上の人はほとんど…。
年下いうてもどれぐらい年下なんですか?大体40代から50ぐらいの間の方が多いですねお友達は。
随分年下じゃないですか。
お友達は…そういう人とどんなお話をしてどう…?ばかみたいな本当言ってますよ。
やっぱり悩みがありますでしょ?すごく仕事の面なんか特に。
そういうのをちょっと相談する人とか。
30代40代いうのはやっぱ一番悩む時か分かりませんもんね。
30代40代ですか?ええ。
男の人がですか?男は。
やっぱり光子さんのいろいろアドバイスをお聞きになりたいとか背中を押してほしいとかいうのがあるんじゃないですか?逆です。
私がアドバイスしてもらってんですから。
もらってるんですか?アドバイスしてもらってんです。
そんな事ないでしょ。
あちらはあんまりそんな悩み言わないです。
ああそうですか。
光子様の悩みってどんな悩みがあるんです?う〜ん主に仕事の事が多いですね。
例えばどんな?仕事の悩みというのは?ありますねいろいろこまごまと。
あ〜「こんな役が来たんだけどどうしようか」とか?まあそういう事もあります。
何しろ私ただただもう六十何年65年ですかただただ続けてきただけの女優ですから。
つらいですよ。
こないずっとやってきた人もいないですよでもなかなか。
いやそれはいらっしゃいますでしょ。
そうですか?だから…何て言うのかな…自分でこんないい事があったっていうその…私貯金がないんですよ。
仕事の。
そんな事はないと思いますよ。
本当なしでやってます。
ところでお友達304050ですけど70ぐらいのお友達もいらっしゃるんですか?70ぐらいの方いたかな?私72ですけどお友達になって頂けますかね?出た!出た!え?出たっつって。
よかったわ。
こういうとこがいい巡り合いですから。
お友達になって下さい。
ありがとうございます。
でも私ほら先あなたより短いから先へ逝きますから。
それがね女性と男性は女性の平均寿命は86.83ですから。
随分細かい。
男は80.50ですから。
女性は世界一です。
男性は世界3位です。
同率3位がいっぱいいますから。
日本はですか?日本はです。
せやからおんなじぐらいじゃないでしょうか?死ぬのは?やだ。
やだ。
「死ぬのは?」って…。
これからの夢って?夢って別にこれってありませんね。
でもこんな役やりたいとか?役はまあいろんな役をやらせて頂いてまだやらない役もそれはありますけども。
大体おやりになりましたか?うん…。
ただやっぱりこれっていう自分のもの残したいですね。
まだこれ以上にですか?だってこれ以上って…。
やっぱりそんな気持ちになってきました。
ただただやってきちゃったんだけどもう…うん…。
だからいい仕事の中にちょっとでもいいから出た時にピカッと光りたい。
そういう役者で終わりたい。
もうちゃんとしていい事やったらうちの母マネージャーでしたからね母のもとへ行かれないんですよ私。
いい女優になったら母のもとへ行こうと思ってます。
あの世へね。
だけど今ちょっとまだ行けない。
今日は…。
(2人)ありがとうございました。
朝早くから。
2015/11/08(日) 05:15〜05:45
NHK総合1・神戸
桂文枝の演芸図鑑「ニッチェ、古今亭菊之丞、草笛光子」[字]
落語家・桂文枝が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、ニッチェ、古今亭菊之丞の落語「片棒」。対談のゲストは草笛光子
詳細情報
番組内容
落語家・桂文枝が、演芸界のよりすぐりの至芸をナビゲートする。演芸は、ニッチェ、古今亭菊之丞の落語「片棒」。対談のゲストは草笛光子。
出演者
【出演】草笛光子,ニッチェ,古今亭菊之丞,【ナビゲーター】桂文枝
ジャンル :
バラエティ – お笑い・コメディ
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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