SONGS「中島みゆき〜夜会への招待〜」 2015.11.07


去年の年末中島みゆきさんは「紅白歌合戦」でNHK連続テレビ小説「マッサン」の主題歌「麦の唄」を披露。
大きな注目を集めました。
しかしそれと同じ時期に彼女のライフワークとも言うべき「夜会」のステージに立っていました。
コンサートでもない演劇でもないミュージカルでもない「言葉の実験劇場」をコンセプトとして1989年に始めた「夜会」。
一人で脚本・作詞・作曲・歌・主演という5役を務める世界でも例のない舞台表現です。
こんばんは中島みゆきです。
今夜の「SONGS」は私が25年ほど前に始めた「夜会」という世界をちょっとだけお見せしたいと思います。
最後までごゆるりとお楽しみ下さいませ
「夜会」が始まったのは1989年渋谷のBunkamuraシアターコクーンでした。
デビューから14年みゆきさんは数々のヒット曲を生み持ち歌も着実に増えコンサートではギターを手に歌ってきました。
しかし演劇的な要素を持ち込んだ新たなスタイルのステージに挑戦します。
「夜会」は3回目からサブタイトルがついてテーマをはっきりと打ち出します。
テーマは人生は儚く短い事を示した中国の故事「邯鄲の夢」。
一人の女性が寝ている間に夢の中で見た少女から老婆になるまでの一生の物語を歌で綴りました。
この回の「夜会」では大ヒット曲「わかれうた」を披露しています。
コンサートではギターを片手に歌っていたみゆきさん。
儚い夢の中に登場する一人の女性を演じながら歌います。
1992年に行われた「夜会Vol.4金環食」。
モチーフは「古事記」の「天岩戸の物語」。
神話に登場するキャラクターアマテラスオオミカミアメノウズメノミコトなど日本の女性の原点とも言うべき姿を天文学に結び付けて描きました。
この回のエンディングでは金環食を望遠鏡で観察する科学者がアマテラスオオミカミへと変身します。
圧巻の歌唱「泣かないでアマテラス」ご覧下さい。
1993年に行われた「夜会Vol.5」。
雨月物語の「浅茅が宿」をモチーフにさまざまな待つ女の心情を描いた作品です。
ほぼ全編にわたって歌を歌うのもセリフを喋るのもみゆきさん一人という過酷なステージに挑戦しました。
当時の貴重なドキュメント番組がNHKに残されています。
台本を作るのに苦労した様子がうかがえます。
今とりあえず新曲にしてるんです。
23新曲の24を…。
じゃあ明日。
うわ〜はいお願いします。
明日って言っちゃった。
あ〜言っちゃった言っちゃった。
ところで「夜会」の台本はどのように作られているのでしょうか?この作品でみゆきさんは妊娠中の待つ女を演じます。
喫茶店で手紙を読みながら男を待ち続ける孤独な女性の叫び。
1994年に行われた「夜会Vol.6シャングリラ」。
この回からみゆきさんはオリジナルストーリーに取り組みます。
マカオを舞台に母の敵に復讐するためシャングリラにメイドとして潜り込んだ娘の物語。
セリフと歌が巧みに紡がれてゆきます。
「夜会」の舞台は次第にスペクタクルな演出が加えられるようになります。
2006年宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフとした「Vol.1424時着00時発」。
この年初めて大阪公演も行われます。
巨大な階段セットを縦横無尽に使いダイナミックなステージが展開しました。
会場を赤坂ACTシアターに移した2008年。
「夜会Vol.15〜夜物語〜元祖・今晩屋」。
安寿と厨子王をモチーフとしたこの作品では炎上する寺巨大な船本物の水などを駆使し迫力満点のステージを展開しました。
去年「夜会」の最新作「Vol.18橋の下のアルカディア」が上演されました。
冒頭裏寂れた橋の下の地下街で店を営む占い師人見とBarの代理ママ天音が登場。
橋の下という社会の底辺にスポットが当てられます。
ある日橋の下に暮らすガードマンが2人に地下街の閉鎖を伝えにやって来ます。
時は変わって江戸時代。
橋の下には捨てられた者たちの悲しい前世が刻まれます。
占い師人見の前世は村人たちによって人柱となった女性でした。
そして妻を見捨てざるをえなかった夫はガードマンの前世でした。
この時夫婦はかわいがっていた猫を逃がします。
そして再び舞台は現代の橋の下へと戻ります。
人柱にされた女性が逃がした猫はBarの代理ママ天音へと生まれ変わっていたのです。
橋の下の地下街は突然の集中豪雨により水没の危機に陥ります。
猫の生まれ変わりの天音はこの危機を救う一通の手紙を見つけます。
かつて地下街で模型飛行機店を営んでいたガードマンの父親からもらったラブレターでした。
そこにはガードマンの祖父が戦時中特攻隊を脱走し地下街に隠れ続けていた事が綴られていました。
舞台のクライマックス地下の格納庫から特攻隊を脱走した男が「緑の手紙」と共に姿を現し時空を超えて救いの手を差し伸べます。
「緑の手紙」に託した平和への願い。
中島みゆきさんが25年余りにわたって取り組んできた「夜会」はより深遠なテーマへと進化し続けています。
2015/11/07(土) 23:30〜00:00
NHK総合1・神戸
SONGS「中島みゆき〜夜会への招待〜」[字]

中島みゆきのライフワークともいうべき「夜会」を特集。世界でも例のない舞台表現。そのヒストリーとともに、最新作を中心に名曲の数々をたっぷりと聴かせ、その魅力に迫る

詳細情報
番組内容
中島みゆきのライフワークともいうべき「夜会」。コンサートでもない、演劇でもない、ミュージカルでもない「言葉の実験劇場」をコンセプトとして、1989年に開始した独特の世界。1人のアーティストが、脚本・作詞・作曲・歌・主演という5役を務めるという世界でも例のない舞台表現である。今回、「夜会」のヒストリーとともに、最新作を中心に、名曲の数々をたっぷりと聴かせ、その魅力に迫る。
出演者
【出演】中島みゆき

ジャンル :
音楽 – 国内ロック・ポップス
音楽 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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