理事長挨拶

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新生JTECの決意
内海 善雄

 JTECは2012年4月1日を以って、公益法人制度改革により一般財団法人として生まれ変わりました。新制度のもと、活動の自在性・柔軟性が大きく増し、いよいよJTEC本来のミッションが遂行できるものと確信しております。 顧みれば、JTECが設立されたのは1978年であり、今日まで34年間にわたって通信・放送分野で国際貢献をしてきました。設立当時は欧米企業が開発途上国の電気通信を発展させるため、コンサルティング活動を盛んに行って国外に進出していた時期であります。日本も欧米に遅れずに電気通信や放送分野で国際協力を展開する必要があると故梶井剛氏(初代日本電信電話公社総裁)や故永野重雄氏(当時の経済同友会代表幹事)の音頭でJTECは設立されました。
 JTECは、ODA(政府開発援助)資金を基に、電話網建設の提案と施工管理を行い、日本企業が電話交換機を供給し、現地生産の要望があれば応えるといったパターンで、日本の電気通信技術が開発途上国の発展に貢献しました。当時の日本には勢いがありました。
 新生JTECの再出発を機に、改めて我が国の状況を鑑みる時、日本の国際プレゼンスの大幅な低下は、大変嘆かわしい限りです。こうした中、中国、韓国等の国々は、政府が先頭に立って光ファイバー、IP通信網の建設援助を武器に、資源獲得を目的としてアフリカ等の諸国に戦略的な進出を図っております。この彼我の差を、ITU事務総局長在職の8年間、痛いほど見せつけられました。
 いろいろな理由が考えられます。日本の相対的な国力の低下、ODA資金の激減、高賃金などです。しかし、それらは、多かれ少なかれ先進国に共通的な問題であり、日本一国の特殊な事情ではありません。日本人には十分な英語の能力やグローバル経営のノウハウ,資金、技術力があります。世界で活躍している多くの先進的な日本の企業がこのことを証明しております。今、日本に欠けているものは日本の良さを売り込む戦略性の欠如ではないでしょうか。また、嘗て旺盛であったエンジンをフル回転して積極的に世界の一員として貢献しようという強い意志ではないでしょうか。
 発展途上国は、旧宗主国の帝国主義や、外国の大企業に期待を裏切られた長い苦しい経験を持っており、政治的な圧力や、短期的な経済性の追求を極力排除したいと考えています。そして、中立・公正なITU等の国際機関や公的コンサルタントの助言を強く求めております。したがって、日本国や、日本人、日本企業の良さが理解されると、他に負ける訳がありません。
 JTECは、36年の長い歴史を有する国際協力の大きな経験と、これまでの活動実績から、中立・公正なコンサルタントであるという信頼を築いてきました。日本企業が外国企業と競争して海外展開を行う際には、こうした実績や国際信用力を、もっと戦略的に活用して頂きたいと思います。
 活動に自在性・柔軟性を得た新生JTECは、かつてのようにODAからの資金拠出に依拠した国際協力のみを行う機関ではありません。積極的に日本企業の海外展開の露払いとなり、日本のICT産業発展と世界の情報通信の発展に寄与したいというのが新生JTECのミッションであり、また、全職員の基本的認識であります。皆さまの心強いご支援をお願い申し上げます。

内海善雄 元ITU事務総局長ホームページ