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UI設計は手法より「文化」を意識しよう~iPhoneの3Dタッチはファミコン世代をスマホゲームにいざなう!?【連載:TAIMEI】

タグ : 3D Touch, iPhone 6s, TAIMEI, UIデザイン, 小俣泰明 公開

 
TAIMEIの「Innovation Roadmap」

小俣泰明(TAIMEI)@taimeidrive

NTTコミュニケーションズなどの大手ITベンダーでシステム運用やネットワーク構築の技術を磨いた後、面白法人カヤックでディレクターを担当。その後、2009年4月に上場企業の取締役に就任。2012年8月にトライフォートを共同設立、代表取締役Co-Founder/CTOに就任。スマートフォンアプリ・ソーシャル領域に特化した開発・運営を展開している

ユーザーインターフェース。僕がサービスを開発する時、最も重要視しているキーワードの一つです。

今回はUI設計をする時に意識する、一般的なやり方とは違った切り口の設計思想をお伝えできればと思います。

その切り口とは、「文化から考えるUI設計」です。

その前に、少し昔を振り返ってみましょう。

1990年後半から2000年代にかけて、日本国内ではガラケーが流行り、携帯サイトが「文化」になりました。ビジネスとしても「携帯課金」という概念が生まれ、モバイルから課金する文化が生まれました。

この文化は世界でも先行しており、モバイルでのアプリ収益は今も日本が世界第1位というデータが出ています。

なぜ、ガラケー時代に「タッチ入力」は流行らなかったのか?

From MIKI Yoshihito ガラケーの普及で日本に根付いた「文化」とは?

From MIKI Yoshihito
ガラケーの普及で日本に根付いた「文化」とは?

モバイル分野がサービスとして発展していくきっかけとなったのは、携帯メールでのやりとりです。ガラケー全盛期、日本のユーザーはdocomo,ezweb(au)、softbank各社のメールでコミュニケーションを取るようになりました。メアド交換を赤外線で行う文化も生まれましたね。

そして、UIにおいてはテンキー入力という入力手法が広まりました。若いユーザー層は、テンキー入力の方がキーボードよりも早く入力できるような状況にまでなっていきました。

そして迎えたスマホ時代。携帯のUIは一新され、新たな操作性をユーザーに迫ることになったわけです。

このガラケー→スマホへの転換で生じた変化をまとめてみましょう。

■課金:キャリア課金からApple、Google課金へ。

■コミュニケーション:携帯メールからLINEなどのチャットアプリへ。

■絵文字:デコ絵文字やキャリア絵文字からスタンプへ。

■連絡先の交換手法:SNSでのID検索。もしくは登録された電話番号などからの自動連携。

■入力方法:テンキーからフリック入力、音声入力へ。

ここで重要なのが、すべてが革新的に変わったのではなく、前の時代からあった「文化」を引き継ぎながら、スマホにマッチしたUIに進化したということです。

言い換えれば、普及の前提に「文化の醸成」があったから、代替技術が普及したのだと思います。

その証拠に、ガラケー時代にも画面タッチ型の携帯はいくつか登場していましたが、そのほとんどが流行ることなく消えていきました。UIは、ユーザーに理解されて初めて成立するものだからでしょう。

「文化」の延長線上にある提案は、すぐ受け入れられる

From Masaru Suzuki  そこまで大きな話題にはなっていないiPhone 6sの3D Touchですが、けっこう可能性があると感じています

From Masaru Suzuki
そこまで大きな話題にはなっていないiPhone 6sの3D Touchですが、僕はけっこう可能性があると感じています

では、本題に戻り、スマホ時代のユーザーに受け入れられているUIとは何かを考えてみましょう。

それはサイドビューであったり、スワイプメニューであったり、フォームライブラリであったり、いろいろありますが……。僕が今回書きたいのは、こういう小手先のテクニックではありません。

ユーザーはスマホに慣れてるわけではなく、今までの「文化」に慣れているだけなわけです。そう考えると、文化レベルでのUIは理解できます。

どういうことか?

過去、携帯課金をしていたユーザーは、スマホでも課金する方法を覚えてくれます。

過去、コミュニケーション(メールでのやりとり)をしていたユーザーは、スマホでもチャットアプリの操作方法を覚えてくれます。

過去、絵文字やデコレーション絵文字を使っていたユーザーは、スタンプの操作方法を覚えるといった考え方になってくれます。

つまり、新しいサービスのUI設計を進める場合は、その操作方法が便利かどうか?や、デバイスに最適化されているか?という視点もさることながら、その操作方法が「ユーザーの文化レベルで浸透しているか?」も考えながら開発することが大切になるわけです。

この概念が、サービスのUI設計で重要なポイントだと考えてます。

そう考えると、例えばカスタマーサービスのフォーム設計時などでは、「スマホではフォーム入力ではなく、チャット形式で入力できるように設計しよう」という風に発想をふくらませることもできるでしょう。コミュニケーション文化の延長線上にある、新たな手法として。

ぜひ、ユーザーの文化レベルを意識したUI設計というのを意識してみてはいかがでしょうか?

個人的には、iPhone 6sに搭載された3D Touchに注目しています。よくよく考えてみると、「ゲームをやってて強い敵が出てきたら強くボタンを押す」みたいな使い方ができる気がする。興奮するとボタンを強く押しちゃうのって、ファミコンの時代からあるあるな「文化」でしたからね^^;

非常に楽しみなモバイルUIの一つなので、Androidにもぜひ搭載してほしいです(ここ、特許争いとかで導入できないとかしないでほしい……)。

スタンダードな操作方法の一つになることを期待しています。

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