制限なく記事をお読みいただく方法はこちら

レセプト債:4社が破産申し立て 発行残高227億円

毎日新聞 2015年11月09日 12時00分(最終更新 11月09日 12時55分)

 医療機関の診療報酬請求権を買い取り、「レセプト債」という債券を発行していたファンドなど4社が、東京地裁に破産開始手続きを申し立てたことが分かった。レセプト債などの発行残高は227億円に上り、これを買って資産運用していた多数の顧客が償還を受けられない可能性がある。証券取引等監視委員会は債券の運用に不審点があるとして調査を始めた。

 破綻したのは資産運用会社「オプティファクター」(東京都品川区)と、関連するファンド「メディカル・リレーションズ・リミテッド」など3社。いずれも6日付で破産を申し立てたとオ社がホームページで公表した。メ社については同日付で破産手続き開始決定が出た。4社の負債総額は約291億円。

 ファンド3社は医療機関が健康保険組合に診療報酬を請求する権利を買い取り、元利金の支払いに充てる「レセプト債」を発行。関係者によると、「アーツ証券」など証券会社7社が年利3%で販売していた。

 オ社によると、4社の財務状況はオ社の前代表取締役の男性だけが把握していた。2013年に男性が死亡した後で確認したところ、実態不明の多額の資産や売り上げが決算書に計上される一方、債券発行残高に比べてファンドの預金や資産が明らかに少ないことが判明し、「負債が大きすぎ、財務状況を大幅に改善できない状況が続いていた」としている。

 オ社は10月30日、証券会社に「債券の償還、利払いが約定通りに行えない可能性がある」と通知した。証券会社の担当者は「突然で驚いた。健全に運用されていると聞いていた」と説明、顧客からの問い合わせも相次いでいるという。【一條優太】

 ◇レセプト債

 債券の一種。医療機関が健康保険組合に診療報酬を請求する権利をファンドなどが買い取って投資家らに発行する。あらかじめ利率や満期日などが決められており、購入した投資家は定期的に利子を受け取り、満期日には額面額の償還金を受け取ることができる。

最新写真特集