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【NHK「クロ現」問題】
視聴者感覚との乖離浮き彫り BPO、NHKの検証姿勢も批判
NHKの報告書でも3人の関係は明らかにされていた。だがNHKは、A氏が出家詐欺の手口に詳しかったため「ブローカーと信じたことには一定の理由がある」とし、B氏についても「当時出家を考えていたのは事実」として、相談シーンはやらせではなく「過剰な演出」と結論づけた。
一方、BPOは関係者からの聞き取りを踏まえ「番組でのA氏の紹介は実態とかけ離れている」と断じ、「B氏も形式的には多重債務者だが(出家詐欺を考えるほどの)窮状にあったとは言い難い」とNHKの検証を批判。記者が演技指導したという積極的な意味でのやらせはなかったものの、A氏とB氏が「記者の意図を忖度(そんたく)し、それぞれの知識や体験にオーバートークを交えて相談場面を演じたのが実態」と指摘した。
BPOは意見書で、番組の表現技法も問題視。「隠し撮り」風の撮影や登場人物の顔へのボカシ、さらに音声加工について、本来は取材源保護のために行われるべきなのに、不都合な真実を隠し、リアリティーを増す印象操作に使われているとし、報道番組では許容されない演出だと警鐘を鳴らした。
BPO放送倫理検証委は関西テレビの「発掘!あるある大事典II」で捏造があった問題をきっかけに平成19年に設立。放送局への調査や勧告など強い権限をもち、再発防止計画の提出を求めることもできる。