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 インドネシアで野焼きから火災に発展した煙害が、異常気象による大気の乾燥のせいで深刻化している。一部の地域で降るようになった雨が消火を助けているものの、完全鎮火のメドは立っていない。焼失面積は東京都の約9倍。温室効果ガスの排出量はドイツの1年分に匹敵するとの試算もあり、国際社会も見過ごせなくなってきた。

 スマトラ島南部パレンバンの北東100キロ、アイルスギハン地区の上空を白く濃い煙が覆う。パルプ原料となる木々が植わる、プランテーション(大規模農園)の森林火災だ。

 記者は10月中旬、国家災害対策庁(BNPB)の消火ヘリに同乗した。熱風と白煙が機内に入り込む。ぶら下げた巨大バケツで用水路から約4千リットルの水をくみ、火災地点に投下する。だが、火の勢いが弱まる気配はない。地上ではショベルカー4台が土を掘り、延焼を防いでいた。

 BNPBが10月20日時点で衛星画像をもとに確認した火災は、スマトラ島、カリマンタン(ボルネオ島)で3226地点。焼失面積は東京都の9倍に相当する200万ヘクタールに及んだ。

 火災の原因は違法な野焼きだ。パーム油の原料となるアブラヤシなどの農地にするため、農家が無計画に木々や畑などに火を放つ。アブラヤシなどの大規模農園が増えるようになった1990年代後半から、火災は毎年起きている。