シンプルな暮らしが実用レベルで一般に浸透してきたのはここ5年10年なんじゃないかしら、という感覚があります。学生時代に読んだ25~30年前のオリーブやananのインテリア特集でも確かに「シンプル」という言葉は登場していたと記憶していますが、あまりにも非現実的で雑誌の中だけの世界という印象ではありました。
ミニマリストの下宿にあった魔法の中華鍋
そんな中、27年前に知り合った大学の友人は今にして思えば私が人生で最初に目の当たりにしたミニマリストだったんじゃないかなと思います。18歳て既に自分の価値観がしっかりとした人でした。 彼女の下宿先に遊びに行ったとき、台所には中華鍋一つ。 これで、すべての料理をまかなうと言っていました。
お湯を沸かすのも、炒めものも、煮物も、ごはんをたくのも、焼くのも。。。 「中華鍋は万能!」と彼女。 なるほどなぁ…と心底感心したことを覚えています。それでいて彼女のお料理は冒険的で、楽しくて、それまで見たこともなかったアジアの美味しいごはんを 中華鍋一つで手際よく作ってはふるまってくれていました。
比べない、流されない、ジャッジしない
そんな彼女はすべてにおいて取捨選択が潔い女性でした。 「人と比べる」「周りに流される」「人をジャッジする」ということが全くありませんでした。 本当にマイペース。ひとりでいても、仲間といても違和感なくいつも「彼女」のままの佇まい。 私が人生で最初に出会ったミニマリストは魅力的な女性でした。彼女は愛用するアジア食材を取り扱っている会社に就職したのですが、調味料のパッケージに記載されていた電話番号へ直接かけて「雇ってください」とお願いしたと聞きました。お料理しながら「ここで働きたい」と思ったから、だって。混沌としたバブル絶頂期のあの時代、シンプルに自分の好きなことを追及していた彼女はクラスの中でも憧れの存在でした。
今はどうしているのかなぁ。どんな暮らしをしていても「彼女らしいな」と思うでしょうね。