[FT]カジノ風デイ介護に賭ける日本以上はFT記者が、日本の一部で先般から物議を醸している「カジノ型デイサービス」と呼ばれる高齢者ケア施設を取材した記事の転載です。位置付けとしては、FTが日本で取材を行って英文記事を書き、それを邦訳する形で日経新聞が転載するという「逆輸入記事」にあたるわけですが、冒頭タイトルの「カジノ風デイ介護に賭ける日本」からして、おかしな論調がムンムンしているわけですよ。記事では、カジノ型デイサービスに関して、こう紹介しています。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO93693700W5A101C1000000/
けたたましく鳴り響くスロットマシンの音、カードが滑らかに広げられる緑色のマット、チップが積み上がるバカラ台。この部屋に集う人々の平均年齢は80歳だ。日本の何百万人もの高齢者は、ラスベガス風の介護施設を受け入れる時が来ている。横浜郊外には黒塗りの窓で雰囲気を高めたカジノさながらの施設があり、地元の退職者の生活拠点となっている。
物議を醸しつつも、こうした施設をここ1年で日本中に60カ所も開業した企業家にとって、このコンセプトは、もうかる可能性を秘めた「高齢者マネー」とデイサービス(通所介護)への膨大な政府補助金への賭けなのだ。
安倍晋三首相にとってカジノがテーマのデイサービスは自身の経済再生プランの柱となる可能性がある。80歳超の人口1000万人の一部を夢中にさせることで、縮小傾向にある労働力を解放する。つまり、このようなサービスがなかったら弱った高齢者の介護で退職を余儀なくされたであろう労働者を解放する計画だ。毎年約10万人がそのような状況にある。いやいやいやいや。私、我が国におけるカジノ関連施策に関しては「結構、詳しい」ですが(てか、それが仕事です・笑)、「カジノがテーマのデイサービスが経済再生プランの柱となる可能性」なぞという計画が現政権内で、まことしやかに語られているなんて話は一切聞いたことがないです。
安倍氏はこの数を2020年までにゼロにすると宣言している。「デイサービス ラスベガス横浜都筑店」のオーナーは、もしデイサービスが魅力的な選択肢となるなら、安倍氏は目標を達成できる可能性が高くなると言う。
で、改めて記事を読み直してみると、完全に「イチ民間人が、そういうコメントをしている」というだけのものを、タイトルの「カジノ風デイ介護に賭ける日本」も含めて、あたかも日本が国として主導しているかのように「味付け」しているだけ。つーか、これって先般、安倍政権が発した「介護離職ゼロ」の政策目標と、これとは全く別の文脈で発生している「カジノ型デイサービスの是非」に関する報道を、「介護」という一点を「糊代」にして無理やりくっつけただけの記事ですよね。
こうやって「ありもしない事象」があたかも真実かのように海外で報じられ、それが逆輸入されることで社会批判や政権批判に使われるというのは、先の国連特別報告者による「日本の女子中高生の13%が援助交際」会見(参照)に関する騒動も含めて、近年しばしばみられる現象です。上記報道に関しても、「英国ファイナンシャル・タイムスが以上のような報道をしているが、そのような事実はあるか?」から始まって、現政権が掲げる「介護離職ゼロ」と「統合型リゾート導入」という全く関係のない二つの政策を一緒くたにして一刀両断するなどという国会質疑風景が容易に想像されるネタなわけでして(幸いにも、今は閉会中であるが)、報道の中身はぜひ精査をして頂きたい。
まぁ、上記報道を日経新聞が意図して行ったとは思わないですが、こういうレベルの記事が掲載されてしまうような取材能力しかないのならば、いっそFTの日本に関する記事は日経から輸出する英訳記事だけに集約した方が宜しいのではないでしょうかね。関係者としては、そう思わざるを得ないほどの完全に無根拠な記事でありました。
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