辺野古承認取り消し:翁長知事、処分撤回勧告を拒否
毎日新聞 2015年11月06日 11時15分(最終更新 11月06日 12時29分)
◇県庁で会見、翁長知事「勧告に従うことはできない」
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画を巡り、同県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は6日、名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消し処分の撤回を求める国土交通相の是正勧告を拒否する回答文書を発送した。県庁で会見した翁長知事は「承認取り消しは適法と考えており、勧告に従うことはできない」との考えを改めて主張し、法廷闘争に向けた政府との対決姿勢を明確にした。
国交相の勧告は国が翁長知事に代わって埋め立てを承認する代執行に向けた手続きの一つ。国交相は週明けの9日にも是正を指示する文書を送付する方針だが、翁長知事は是正指示にも従わない考えで、国交相は月内にも代執行を求めて高裁に提訴するとみられる。政府が提訴すれば、代執行の手続きを定めた地方自治法は提訴から15日以内に互いの主張を聞く口頭弁論を開くよう定めている。提訴から数カ月程度で1審の高裁判決が出る可能性があるとみられている。
会見では翁長知事は「(辺野古への)警視庁の機動隊の大量導入など政府はなりふり構わずに移設を強行しようとしている」とも述べて政府を批判。沖縄防衛局が自らの立場を「私人」として承認取り消しの執行停止を申し立てる一方で、国交相が「国」の立場で代執行手続きも開始したことについても「都合に応じて自らの立場を使い分けるもので、通り一遍の言葉でなく、国民や県民に明確に説明責任を果たすべきだ」とした。知事は6日、一連の対応について政府の見解をただす公開質問状も国交相へ送った。13日までの回答を求めている。
移設計画を巡っては、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づく審査請求と承認取り消し処分の執行停止を申し立て、国交相が10月27日に執行停止を決定。翁長知事は執行停止決定を不服とし、11月2日に総務省の第三者機関・国地方係争処理委員会に審査を申し出た。
一方、政府は10月29日には埋め立てに向けた本体工事に着手している。【佐藤敬一】