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大阪市長選:乗車ごと50円負担の敬老パス 廃止か継続か

毎日新聞 2015年11月06日 13時54分(最終更新 11月06日 17時40分)

敬老パスの利用者負担が市長選の争点に浮上している大阪市営地下鉄=大西岳彦撮影
敬老パスの利用者負担が市長選の争点に浮上している大阪市営地下鉄=大西岳彦撮影
敬老パスの所持者数と市の負担額の推移
敬老パスの所持者数と市の負担額の推移

 22日投開票の大阪市長選で、70歳以上の市民が市営地下鉄・バスで使える「敬老優待乗車証」(敬老パス)の利用者負担の在り方が争点になっている。橋下徹市長の目玉改革として2年前に有料化されたが、自民党推薦で出馬する柳本顕(あきら)氏(41)は乗車ごとの50円負担の廃止を公約に盛り込んだ。大阪維新の会が擁立する吉村洋文(ひろふみ)氏(40)は「ばらまき」と批判しており、論戦が熱を帯びている。

 「高齢者に地域経済を活性化してもらうため、50円負担には反対だ」。10月15日、大阪市生野区での柳本氏の訴えに、足を止めて聞いていた高齢者たちが拍手を送った。

 敬老パスは1972年の導入以来、乗車料金を市が全額負担する完全無料制度が40年以上維持された。財政規律を重視する橋下市長は2013年、交付手数料として利用者から年3000円の徴収を始め、14年からは乗車ごとに50円を求める「ワンコイン」制度を導入した。

 こうした改革で、ピーク時の12年度に約81億5000万円に上った市の負担額が、14年度(決算見込み)は約61億6000万円に減少。年8億〜9億円の手数料収入もあり、年30億円近い財政効果が生まれた。

 これに対し、柳本氏は敬老パスの交付率が12年度の74%から55%に減ったとして「負担増で『乗り控え』が起きている」と指摘。経済波及効果と健康増進を見込んで制度を廃止し、高齢者の外出を促すという。利用上限額を設け、過度の財政負担を避ける考えだ。

 一方、吉村氏は「小学生でも料金の半額を払う。高齢者の方にちょっと我慢してもらえれば、医療や教育にお金を回せる」と制度を維持する方針だ。上限額の設定には敬老パスに対応する改札機や精算機のシステム改修が必要で、市の試算で最大200億円かかると批判する。

 柳本氏は「新たな予算をかけずにやる方法はある」と反論。上限額を入金した磁気カード式の敬老パスを配る方法も検討するという。市長選には前大阪市北区長の中川暢三(ちょうぞう)氏(59)らも出馬表明している。中川氏は「度々制度を変えたら混乱する。有料化を維持すべきだ」と訴えている。

 高齢者の足をどう考えるか、有権者の判断が問われそうだ。【平川哲也】

 ◇敬老パス

 1970年代、高度経済成長に伴う歳入増を市民に還元しようと他の政令市でも導入されたが、不況や急速な高齢化により、次々と有料に転換。大阪市だけが無料を維持し続けてきた。橋下市長の2代前の関淳一氏(2003〜07年)が見直しを検討したが、議会の反発を受けて断念。前市長の平松邦夫氏(07〜11年)も一部有料化に踏み切ろうとしたが、市議会が関連予算を否決した。乗車ごとの50円負担は大阪維新と公明が賛成して実現。3000円の交付手数料は自民も賛成している。

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