カルフォルニア大学バークレー校 数学教授
エドワード・フレンケル教授
Prof. Edward Frenkel
カルフォルニア大学バークレー校 数学教授
エドワード・フレンケル教授
Prof. Edward Frenkel
数学界でこの半世紀の間に大発展をとげた重要かつミステリアスな“予想”がある。「ラングランズ予想(Langlands Program)」と呼ばれるものだ。
数論や調和解析などと呼ばれる、数学の様々な分野が実は“地続き”で、最終的には“統一”できるかもしれないという、いわば数学の大統一理論である。
もし、数学の全ての分野を互いにつなぎ合わせることが出来れば、数多くの難問が解決するかもしれないという数学者がいるほど非常に重要なものなのだ。
実際、あの「フェルマーの最終定理」もこの「ラングランズ予想」の目論見どおり、数論の問題を調和解析の言葉に翻訳することで350年ぶりに解決された。
今回、この「ラングランズ予想」へ私たちを招待してくれるのは、カリフォルニア大学バークレー校のエドワード・フレンケル教授。現在、アメリカで最も有名な数学者の1人だ。数学の魅力を誰よりも知り尽くしたフレンケル教授が、私たちの数学のイメージを一変する!
現在、アメリカで最も有名な数学者の1人。1968年に旧ソ連で生まれたフレンケル教授は、父親がユダヤ人だという理由で、1984年、モスクワ大学の入試で全問正解しながら不合格となった。
その後、工業大学に進学するも、ひそかに純粋数学の研究を続け、学生時代の独自の発見が世界的な注目を集め、21歳の時、ハーバード大学から客員教授として招聘されアメリカに渡る。
専門は「ラングランズ予想」と呼ばれる数学界で最も重要なものの一つだとされる一連の未解決問題。教授の最終目標は、これまで互いに全く無関係だと思われてきた数学の様々な分野(数論、調和解析、幾何学など)を“統一”すること。
そしてさらに、数学と物理学、特に量子物理学との不思議なつながりをも指摘する。
教授は言う。「現代数学の至宝は、人々の目に触れないところに隠されている。だから人々は数学を、退屈で興味が持てないものだと感じてしまうのだ。
それはあたかも、美術の授業で、ダ・ビンチやゴッホの作品をただの一度も見せずに、壁にペンキを塗る方法を延々と教えられているようなものだ。そんなことで楽しめるはずがない!」。
教授が自らの数学者としての歩みとラングランズ予想について記した近著『数学の大統一に挑む(原題“Love and Math”)』(文藝春秋)は、これまでに世界15言語に翻訳された。
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