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法華狼の日記

2014-01-09

[][][]茶道を題材とした時代小説利休にたずねよ』が、差別主義者の標的になっている

私は未読だが、2008年に直木賞を受け、映画化もされて昨年末に公開された。しかし千利休の茶道の根幹に、朝鮮半島出身の女性との淡い恋があったという設定があるため、特定の人々の反発を引き起こしているらしい。

susahadeth52623氏の映画レビューエントリの後半で、発端となったらしい批判記事と、その批判が映画の描写と整合していないという指摘がされていた。

美と業の世界 利休にたずねよ - 小覇王の徒然はてな別館

どこにそんな「茶道の起源を朝鮮」なんて描写あったんだよ。原作の方は読んでいないがあれは普通に利休の若いころの体験が彼の美意識に影響を与えた、というだけだろ。

2008年に直木賞を受けた原作小説についても、AMAZONレビューを見るとひどいことになっている。判を押したような星ひとつのレビューばかり参考になるとされて上位にならんでいた。

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

映画化前の批判意見を見れば、朝鮮半島とのかかわりのみを重視してはいないし、実際に読んだのであろう個性的で具体的な内容なのだが。


くりかえしになるが、私自身は映画も原作小説も目を通しておらず、批判が作品描写と整合しているかどうかは判断できない。しかし批判の根拠としている歴史認識そのものが誤っていることは指摘できる。

たとえば表千家都流茶道教授という人物のブログで、映画内容と史実が異なる部分を指摘するエントリがあがっている。映画に対しては、「嘘は嘘として知っておいて、作品を観るべきだ」という主張にとどめているのだが。

【映画】『利休にたずねよ』の嘘を暴く【追記】|習心帰大道《都流茶道教室■月桑庵》in 池袋*1

・日本人が李氏朝鮮の姫を拉致した事実はない。青年利休との心中はフィクション

因みに、当時李氏朝鮮は日本に従属しながら明にも朝貢しており、毎年美女を3000人も差し出している。このことは、高麗史・稼亭集・墓誌・朝鮮王朝実録などにも記載がある史実である。

※コメントにもありますが3000人というのはどうやら誇張だったようです。

たとえば美女の朝貢3000人という主張について、コメント欄で(2013-12-12 15:19:38)に指摘されて人数だけ訂正しているが、これについては古くからインターネットでもデマと指摘されている。

弾薬庫/「美女三千人」貢納言説について - PukiWiki

1)「各地の美女三千人を選り抜き、清国に朝貢することが義務づけられていた」とする説は、もともと黄文雄氏の誤読に基づく。

2)黄氏は後に自説に疑問を抱いたが、根拠とした記述の再検討までは行わなかった。

3)黄氏の説を再検証せぬまま、これを流布させる行為が行われた。

4)後に黄氏の呈した疑問も3)を止抑できなかった。

5)広く流布した結果説話として定着し、根拠や論者すら明記されない状況に至る。

という経緯なのである。

黄文雄著作しか情報源がない時点で、信頼性がないと判断すべき話だろう。

当時の歴史的事実として書かれた朝鮮出兵の記述は、事実関係よりも筆致からにじみでる価値観がひどい。

<当時の歴史的事実>

秀吉は高麗に明への道案内を命じたが、明にも従属していた李氏朝鮮は面従腹背ができない状態になったため、道案内を 断った。これに怒った秀吉が朝鮮出兵を決めた。利休はこれを諌めている。実際に出兵すると人口の五割に達する奴婢の協力もあり、日本軍は快進撃。王宮など は日本軍が到着前に焼き払われており、日本軍が破壊活動をするまでもなかった。

高麗は面従腹背して道案内をするべきだったというのだろうか。それに明らかな侵略を「快進撃」と表現するのも現代の観点からどうかと思うし、継戦能力に欠けて最終的に撤退したことを当時の視点でも高評価することなどできまい。

また、コメント欄で(2013-12-15 12:43:46)に書き込まれた指摘と返答を読むと、やはり作品に実際に描かれていなかったり断定する描写をさけた部分まで批判しているらしい。実際に見ないと確定はできないものの。

一例として、先述の映画レビューエントリやコメント欄で指摘されているが、そもそも朝鮮半島出身の女性は姫という身分ではないようだ。公式サイトを見ても、「李王朝の血を引く娘。派閥争いに巻き込まれ、さらわれ日本へと売り飛ばされた」*2とだけ説明されており、日本人が直接的に朝鮮半島に乗りこんで王族を拉致したというわけではないらしい。


ついでにブログのプロフィール欄を読むと、違和感ある部分と納得できた部分があった。

月誧宗地のプロフィール|Ameba (アメーバ)

 茶風は「へうげもの」を目指しております。

 好きな陶器は「総織部」と「萩」。

 茶道具としては「唐銅(からかね)」も好きです。

 尊敬する茶人は「古田織部」。

いや『へうげもの』でも朝鮮半島から陶工だけでなく女性をつれかえる描写があったよね?

そもそも『へうげもの』が高評価できるのなら『利休にたずねよ』で指摘されるくらいの違いは問題にならないだろう。

 政治観は「中道右派」。

 美しい日本、古き良き日本が好きです。反日国に対しては好感情を持ちようがない人でもあります。自民党支持。嫌韓。

ブログエントリで執拗に「支那」という表記を使っている時点で、察するべきであった。

しかし、はたして「嫌韓」とは「古き良き日本」の考えなのだろうか。「反日国に対しては好感情を持ちようがない」ことは「美しい」のだろうか。

*1:文字色変更を引用時に排した。

*2http://www.rikyu-movie.jp/contents/cast/index.html

9999 2014/01/10 04:22 なんか酷い歴史認識ですね

仮道入明

を盾に朝鮮に非があるような主張なんて
明治政府か福沢諭吉辺りが言いそうなこじつけで夜中に笑ってしまったw
当時の対馬が朝鮮から役職を与えられ
米まで貰ってた事も知らないのだろうか?
朝鮮側が秀吉の侵略を

倭乱

と呼ぶのも朝鮮から官職をうけていた対馬宗氏が先導したからも勿論しらないんだろね

> 日本人が李氏朝鮮の姫を拉致した事実はない

厳密な言えば姫ではないのだが
桑畑に隠れていた貴族の姉妹を拉致した事や
おたあジュリアの事
李家(りのいえ)の由来なども勿論知らないのだろう

なんの事は無い
何時もの低脳ネトウヨの馬鹿さ加減を確認しただけてしたw

東雲東雲 2014/01/10 08:11 内容とは外れますが、万一誤解される方がいらっしゃると困りますので。
表千家都流は表千家とは別物です。
表を含む三千家は映画にも協力してますし、
あと、少なくとも表千家は韓国とも積極的に交流しています。
※そのあたりは、わかっている方が大半だと思いますが。

rekihiko222rekihiko222 2014/01/10 14:27  「美女3000人朝貢」について。
 真偽は自分で原典を確認しないと分かりませんが、極端でありえない話だと思います。そもそも中国の皇帝が、朝鮮やベトナムなど周辺の国々を「国王」として従える朝貢体制、または冊封体制というのは、けっこう実利的なものです。
 中国皇帝が直接支配を及ぼすのが難しい遠隔地や独立国を、臣下の「国王」が治めているという事にして、また国王の側も、中国の権威を後ろ盾にして安定するため、従属関係が結ばれるのが一般的です。
 日明貿易を盛んにするため、中国明朝から日本国王の称号をもらった足利義満のように、多少のメリットがあるから支配下に入るわけです。

9999 2014/01/10 18:54 う〜ん先の投稿は寝ぼけ眼で朝方スマホから見て書き込んだが
改めてみると酷いなんてもんじゃねえなこの歴史認識

>当時李氏朝鮮は日本に従属しながら明にも朝貢しており
>高麗史・稼亭集・墓誌・朝鮮王朝実録などにも記載がある史実である

これは一体何の事なんだか?
ファンタジーも甚だしい、そんな記述があるなら見てみたい
臣と称して朝鮮に通じてた日本人を知らないのかね?
それにしても加害者意識の薄弱と言うかゴッソリ抜け落ちてる感が半端無い
以前、小林よしのりの著書で同じような論を見た事があるので
保守論壇界隈で同じような事を流布してるんでしょう嘆かわしい

市民市民 2014/01/10 20:26 >99

う~ん、素直に言ってごめんなさい。
あなたの物の言い方こそ、低脳な印象を受けてしまいます。

というより、日本語が不自然な時点で違和感を禁じ得ないのですが。。

エイジエイジ 2014/01/10 20:27 >黄文雄著作しか情報源がない時点で、信頼性がないと判断すべき話だろう。
ネトウヨ系の「真実」って本当に面白いくらいに出所が同じなので
データベース化して対応するしかない気がしますね

ちなみにこの自称茶道教授さん、twitterもやっているようで
この映画についての同じような内容の呟きを随分前にしていて
それをあの百田尚樹がRTしてごちゃごちゃ言っていて
それで言ったらおまえの映画もとにかくお涙頂戴のためのありふれたテンプレ感動映画だろ、と。

なんつうかこれだけじゃなく色々な部分で本当にやばい状況になってると思います。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/01/10 23:09 「一例として」に始まる段落を追記しました。段落内のURL注記もふくめて。


99さんへ
>仮道入明

できるかぎり朝鮮を過小評価しようとする目的で、“別に朝鮮半島なんて欲しかったわけではないんだぞ”という意図をこめて主張する人がけっこういるようです。

>厳密な言えば姫ではないのだが

追記したように、そもそも「姫」って確定しているわけじゃないみたいですね。原作小説のAMAZONレビューを見ても、せいぜい「両班」くらいの地位らしい。
この公式サイトに説明された経緯なら、史実にも似たような事例が存在しますし、もちろんフィクションとしては充分ありうる範囲だろうという感じですね。

>これは一体何の事なんだか?

明に従属していたまでならわかりますが、日本に従属していたというのは「嫌韓」な人々の認識でも珍しいですよね。


東雲さんへ
>表を含む三千家は映画にも協力してますし、

公式サイトにも記載がありますね。まあ所作を習うには必要なことでしょうけども。


rekihiko222さんへ
>極端でありえない話だと思います。

情報源そのものに、ありえない数字だと書かれているようですしね。
だいたい多くの「嫌韓」は「白髪三千丈」のような文学的誇張表現をもって他国の史料価値を否定するのに、よくこの3000人だけ信用できるなあと不思議に思います。


市民さんへ
口調が乱暴だなあとは思わないでもないですけど(苦笑)、てにをはがきちんとしていて、文節で改行されていて読みやすいと思いますよ。


エイジさんへ
>データベース化して対応するしかない気がしますね

明らかにインターネットでコピペされた情報に基づいていますからね。
むろん本当なら私自身も小説か映画は目を通しておくべきだとは思います。しかしブログコメント欄の(2013-12-14 11:27:09)で、茶道教授自身が「これらの出典は今後できるだけ書き込むつもりですが、簡単にお知りになりたければ、ネットで検索されると良いでしょう」と書いていますからね。

>あの百田尚樹がRTしてごちゃごちゃ言っていて

ああ……それはまた似たもの同士というか何というか。

9999 2014/01/11 01:26 読みにくくて乱暴な口調でごめんなさいw
自称・愛国者の馬鹿さ加減に怒りと言うよりは呆れる他無しです
やはりその手の資料や研究も見ないで保守論壇の流すデマに酔いしれたいんでしょうかね?

慶長二年(1597)の手紙、島津の武将、大嶋忠泰が国元に宛てたものを記載

>こんど、家来の角右衛門が日本へ帰るので、テルマとカクセイをお土産に届けた。
>無事に着いただろうか。
>そのうちコカクセイ一人は娘にやってほしい。
>私も戦場で十一歳の子どもを手に入れ(求め)て召し使っているが、
>ひどい病気もちで困っている。
>いずれ娘にもテルマを一人、手に入れ(求め)て贈ろう。
>また拾左衛門尉殿にも下女にでもできそうな子を一人、手に入れ(取り)て、
>次のお土産にしよう。
>ただ、いまは加徳カドクという島の暮らしで、食べるのがやっとだから、
>そのうち手の者をやって、手に入れたら(取り候わば)送りたい

「雑兵たちの戦場」 藤木久志 著より

・テルマ:女性
・カクセイ:若い女性
・コカクセイ:少女

なんともはやこれが元勲や自称・愛国者共が言うところの

国威発揚

なんでしょうかね?
私の心情は当時の従軍医僧・慶念の様に

見る目いたわしく有つる事也

と、当時難に遭われた方の心情に寄り添いたいです

りょうりょう 2014/01/11 15:43 また「中道右派」ですか(笑)。
右派、左派は或る程度知識を身につけてから自称してほしいものです。そうでなければ心情的な右派、左派でしかなれません。

ちなみに、「三」、「三千」とかいう数字が中国の典籍によく見られるのは、平仄音のためです。一〜九の中、平音は「三」だけ、そのために、平仄を整えるために、「複数」=「三」、「不特定多数」=「三千」という使い方が習慣としてされています(「三百」、「三万」の場合、百と万が仄音なので使いにくい)。

たとえば、論語の曾子の三省(現在の三省堂の語源)、孔明の三顧の礼、また李白の「白髪三千丈」、「飛流直下三千尺」などの詩句もそうですが、三は実数ではなく、「数値が大きい」という意味で使われています。
 美女三千人も、白居易(楽天)の『長恨歌』の「後宮佳麗三千人」から出た、いわば「多くの美女」の修辞でしょう。大体中国の宮女に定員がありますから、毎年三千人の外国人が殺到したら対応できるわけありません(笑)。
 そいえば、黄文雄はかつて『西遊記』に描かれるあらゆる妖怪が玄奘を食おうとした場面を持って中国人が食人民族と論証したことがあるらしいですが、私の中では東中野教授と同列で、相手するのも空しいです。

junjun 2014/01/11 19:31 人口規模が現在のおよそ10分の1の時代に毎年3000人もの適齢期の女性を外国に差し出していたら、まず人口の男女比が深刻な破綻を来たしたうえ、廃村続出でしょうね。ちょっと考えればわかりそうなものですけどね。

あつしあつし 2014/01/13 16:03 >りょう様

そうですよね、日本の昔話だって人をとって食おうとする鬼だのヤマンバだのが
お決まりのように出てきますからね。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/01/25 01:03 99さんへ
>慶長二年(1597)の手紙、島津の武将、大嶋忠泰が国元に宛てたものを記載

情報ありがとうございます。その書籍をとりあげたブログエントリも見つけました。
http://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2008/01/post_bd05.html#more
日本国内でもおこなっていた奴隷狩りを、朝鮮半島でも同様におこなっていたという感じですね。


りょうさんへ
>三は実数ではなく、「数値が大きい」という意味で使われています。

もちろん日本だって八百(ヤオ)という数字が多いという意味でよく使われますしね。
修辞ではないはずの軍記物の数字だって、歴史学においては額面どおりに受け取られているわけではない。


junさんへ
良くも悪くも李氏朝鮮時代は長かったですしね。明や江戸幕府よりも続いたくらい。
朝鮮の社会制度をことさら劣悪なものと主張したいあまり、“不安定に安定していた”みたいないびつな主張をするはめになっているという。


あつしさんへ
実際、「鬼」とは被差別民族や被差別階級を象徴化したものだという説もありますね。

名無し名無し 2014/03/19 14:08 勝手に他人のblogを云々することの方がどうかと思いますけどね。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/03/20 07:33 公開された発言に対して肯定や否定を表明することは自由なはずですよ。相手方のコメント欄などに書き込んでいるわけではありませんし。

とりとりとりとり 2014/07/11 17:50 リアリティ云々以前に、ストーリーが面白くなかったのが致命的でしょう。
面白ければ「細かいことは良いんだよ!」で押し切れたはず。
視聴者が前提として知ってなければならない歴史や知識が多すぎる。
その上でやってるのが昼ドラより薄い色恋沙汰なんですから。
物惜しみしないという利休自身の美学。天下一の茶頭という地位。
彼を支え続けた奥さん。
そう言ったものを捨ててまで、一人の女に執着したという必死さや壮絶さが感じられない。
水差しを寄越せと迫る秀吉をプッツンした利休が半殺しにして、それが切腹に繋がるとか、どうせ嘘をつくならもう少し映像的に映えるウソを重ねるべきだった。

hokke-ookamihokke-ookami 2014/07/13 08:24 念のため、作品を批判するべきではないという話はしていません。

上毛三山上毛三山 2014/12/03 21:11 こんなところで「NEVER総督府」の名前が出ていたとは、しかも嫌韓デマへの反論材料として(苦笑)
こちらのエントリが挙げられた時も拝見していましたが、当時はジョンお姉さんの件があることなど予想もしていなかったですからねえ。
単純に「史料」にあたっているということから、こういった場面では反論材料としても使えるのでしょうね。
(それゆえに「自称中立」との親和性も高い?)

hokke-ookamihokke-ookami 2014/12/04 07:31 >こんなところで「NEVER総督府」の名前が出ていたとは、しかも嫌韓デマへの反論材料として(苦笑)

実はエントリを上げた時点でも、あまり良くないところではあると知っていましたが、だからこそ反論しがたい資料として持ち出しました。

>単純に「史料」にあたっているということから、こういった場面では反論材料としても使えるのでしょうね。

“行きすぎた右翼は批判している”という自認をしているくらいですからね。でも、そうした自認ができるからといって自身が行きすぎていない証拠にはならない。

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