龍谷大学
■ エフセキュア導入事例 1 − 龍谷大学





■ 最初は決して芳しくなかったF-Secureへの印象
-- 龍谷大学がF-Secureによるゲート対策を始めた経緯は、どのようなものだったのでしょうか。

本学では、数年前からある会社(A社)の製品によりPC教室などクライアントの防御を進め、さらにゲートウエイにも別の会社(B社)の製品を導入し、SMTPにウイルス対策を施しました。しかし残念なことに、その製品は当時POP3には対応していませんでした。龍谷大学では、学生のメールサービスを外部にアウトソースしていたので、POP3にもウイルス対策を施す必要があったのですが ……

-- そこでPOP3対応の製品を探したということでしょうか。

そういうことです。しかしながら、ウイルス対策大手三社の中で唯一POP3に対応していたA社の製品は、コスト面で今ひとつ見合わず、困っていました。そんな時、付き合いのあるSI企業から、F-Secureの製品ならPOP3に対応しているし、値段も手頃ですよという知らせがありました。

-- 当時、F-Secureの事はご存じでしたか。

エフセキュアという会社の存在は知っていました。しかし、知ってはいても、導入を検討しようという気にはならなかった、というのが正直な所です。

-- ということは、その時点では、安食様にとってF-Secureという会社の信用度はあまり高くなかったということになります。いくら馴染みのSI企業から推薦されたとはいえ、そういう会社の製品を購入する事に不安はありませんでしたか。

不安はありました。だからまずは情報収集をしようと思い、F-SecureのWebサイトを見に行きました。そこで以下の情報が分かりました。
  1. フィンランドの会社である。ヨーロッパでは実績が豊富である。
  2. ウイルス検出エンジンを複数個、搭載しているのでウイルス検出率が高い。
  3. 新種ウイルスに対する対応は早い。
-- そうした情報を得て、不安は解消され、そして購買を決定したと言うことでしょうか。

いや、不安は依然としてありました。ヨーロッパで実績があるといっても、日本でのシェアがどうなのかわかりませんし、新種ウイルス対応が早いと言っても、ウイルス情報の問い合わせには英語で返事が戻ってくるのかもしれません。疑えばいくらでも疑えます。

-- 最終的に、F-Secureに対する購買前の不安が消えたのはどの時点だったでしょうか。

不安は結局、消えませんでした。しかし、これ以外にPOP3対応の製品がないのだから、もうしょうがない。とにかくこれでいこうと思って購入しました。

■ F-Secureいいじゃないかと思えた5つのポイント

-- そうして不安を抱えて導入したF-Secureですが、実際に使ってみての今のご感想はいかがでしょうか。

非常に満足しており、もう不安はありません。なんだ、F-Secure、良いところがいろいろある会社じゃないかと。

-- 具体的にはどのあたりが評価できる点でしょうか。

そうですね。順番に述べると…
  1. ウイルス検出力は確かに優秀だった。新種ウイルスへの対応も早かった。

  2. おまけでついていたスパムフィルタが、案外に優秀だった。

  3. 実は、日本での社歴も長く、金融を中心とした大手の実績も多いことが判明した。

  4. 外資なのに、実は開発を日本でやっていることも判明した。

  5. サポートや障害対応も早い。
…といったところでしょうか。

-- 「ウイルス検出率が実際に高かった。新種ウイルスへの対応も早かった」とのことですが、どのようにしてそれが分かったのでしょうか。

実は龍谷大学では、他社製のゲートウエイ製品も導入しているのですが、そちらをすり抜けてきたウイルスもF-Secure製品の方で全部、拾い集めてくれます。パターンファイルはどちらも自動更新にしてあるので、これはやはり検出率が高いのかなという印象です。傾向としては、どうも亜種の細かいところ、ナントカカントカ-AZとか、その辺に強いようです。また定義ファイルも一日6回アップデートされたこともあるようですし、とにかく研究開発をまじめにやっているような印象があります。

-- 新種ウイルスへの対応速度は、どのメーカーも一長一短というのが通説です。にも関わらず、F-Secureはなぜ早いのでしょうか。

それを私も不思議に思っていたのですが、F-Secure営業マンの説明によれば、検出率が高いのは、ウイルス検出エンジンを3種類、搭載しているからだとのことでした。うち2つがF-Secure製で、もう一つがロシアのKaspresky製のエンジン。いわば審査員が三人いるようなもので、なるほど、それなら検査も厳重になります。

-- しかし、3つのエンジンが検査をした場合、検出率は高まるかもしれませんが、一方でウイルス検査に要する時間が長くなるような気がします。3つのエンジンを通過するわけですから…

いや、審査員が3人いると言っても、3回検査しているわけではないようです。アルゴリズムを使って、ファイルのタイプ毎に、それを得意とするエンジンに振り分けているので、スループットは問題ないとの説明でした。 実際、Linux関係の雑誌でのスループット比較調査でも好成績をおさめているようですし、確かに速いのでしょうね。

■ 実はF-Secureゲートウエイは国産ソフトウエアだった。

-- その次のポイント、「おまけでついていたスパムフィルタが、案外に優秀だった」というのは具体的には。

最近は、スパムがやたらに多い。大学ネットワークにも、看過できないほどの量がやってきます。困ったなと思っていたところ、「ああ、そういえばF-Secureにおまけでスパムフィルタがついていたな」と思い出し、ONにしてみたところ、8割のスパムをはじけるようになりました。おまけの機能で8割なら上々です。スパムについては、定義ファイル方式とブラックリスト方式の二通りがあって、F-Secureは後者であるとのことでした。スパム対策を厳重にするあまり、正しいメールまで間違って弾いては困るわけで、その意味では、発信元で区別するブラックリスト方式の方が誤認率が低いのかもしれません。ちなみに本学では、スパムを検出した場合でも、削除はせずに、メール件名に、これはスパムですという字句を挿入した上で、受信者に届けるようにしています。正しいメールまで削除してしまわないように、念には念をの方策です。

-- 3つめの評価ポイント、「実は、日本での社歴も長く、金融を中心とした大手の実績も多いことが判明した」については。

私は、F-Secureというのは、ウイルス対策ブームに載って、最近になって日本に支社を出してきたような新顔の会社かと思っていたのですが、実は10年以上前から、日本の市場で実績のある製品なのだと聞いて、意外に思いました。特に、金融機関など大手に豊富な実績があり、そうした大手ユーザーに、あそこを修正してくれ、この機能はもっと改善してくれと、厳しい指摘を受け、その指摘に応える中で製品が鍛えられていったとの説明でした。

-- ということは「外資なのに、実は開発を日本でやっている」というのも…

これも日本での実績に関わりがあるようですね。F-Secureのゲートウエイ対策製品は、実は日本で開発したのだそうで、これはびっくりしました。当初、F-Secureには、ゲートウエイ対策製品がラインナップに入っておらず、これでは日本市場での営業に支障を来すと言うことで、日本支社から何度も開発希望をリクエストしていたそうです。そのうちに本国フィンランドが根負けして「じゃあ、そんなに欲しいのなら、日本で自分で作れ」ということになり、ならばということで、日本の技術者に、エンジン以外のプログラム部分を開発させたそうです。だから、F-Secureはエンジンはフィンランド製だけれど、それ以外の部分は国産のソフトウエアなのだそうです。

-- では、5つめの評価ポイント「サポートや障害対応が早い」というのも

きっと開発を国内でやっているから、対応も早いのでしょうね。外資の場合ですと、バグの問い合わせを出したときでさえ、何ヶ月もナシのつぶてにになることは珍しくありません。

■ 今後のF-Secureへの期待と、余談

-- 今後のF-Secureへのご要望などお聞かせください。

F-Secureは、最初は、おっかなびっくりで導入しましたが、つきあっているうちに、良いところがたくさんある会社だということが分かりました。今では、エフセキュアは外資と国産のいいとこどりをした会社だという印象を持っております。龍谷大学では、今後、F-Secureの冗長化オプションを追加して、より安定した運用を目指していく予定です。F-Secureには、今後もますますの技術やサービスの改善を望みますが、今の良さは見失わないようにしていだければと思います。最後に、まったくの余談ですが、御社から、いただいたペンギンのF-Secureマスコット。動物好きの女子職員がいたく気に入りまして、いつも机の上に飾っています。そのように親しまれているのも、また良いことではないでしょうか。

-- ご愛顧有り難うございます。今日は貴重なお話を有り難うございました。


※ 龍谷大学のWebサイト
※ 取材日時 2005年10月