「ジェーン・エア」(原題:Jane Eyre)は、2011年公開のイギリス・アメリカ合作の映画です。シャーロット・プロンテの同名の名作長編小説の映画化作品で、行き倒れになったジェーンをリヴァースが助けるところから物語が始まり、彼女の生い立ちとそれまでの経緯が回想シーンとして挿入される形で描かれています。第84回アカデミー賞において衣裳デザイン賞にノミネートされた作品です。
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
脚本:モイラ・バフィーニ
原作:シャーロット・ブロンテ
出演:ミア・ワシコウスカ
(ジェーン・エア、孤児、施設で育つ、ロチェスターが後見する少女の教師)
(エドワード・フェアファックス・ロチェスター、ソーンフィールド邸の主)
ジェイミー・ベル(セント・ジョン・リヴァース、行き倒れのジェーンを助う)
ジュディ・デンチ(フェアファックス夫人、ソーンフィールド邸の家政婦頭)
サリー・ホーキンス(リード夫人、引き取ったジェーンを教育施設に追いやる)
イモージェン・プーツ(ブランシュ・イングラム、ロチェスターと噂の令嬢)
ソフィー・ワード(レディ・イングラム、ブランシュの母親)
ハリー・ロイド(リチャード・メイソン、ロチェスターの妻バーサの兄)
サイモン・マクバーニー(ブロクルハースト氏、教育施設の院長)
ほか
【あらすじ】
両親を亡くしたジェーン・エアは、引き取られた伯父も亡くし、その妻と息子のいじめに遭います。寄宿学校では教師たちから虐げられるなど孤独で不遇な幼少時代を経て、ジェーンは前向きな心と自由な生き方を追求します。学校卒業後、ジェーン(ミア・ワシコウスカ)はソーンフィールド邸の家庭教師となります。屋敷の主の姿を見ぬまま3カ月が経ったある日、ジェーンは見知らぬ男の馬を驚かせて落馬させてしまいます。その男こそ、屋敷の主ロチェスター(マイケル・ファスベンダー)でした。気難しげなロチェスターはジェーンに横柄な質問を投げかけますが、ジェーンはありのままに素直に答えます。深く知りあううちに、二人は互いの感性や人間性に惹かれあい、ロチェスターはジェーンに求婚、彼女もそれに応えます。幸せの絶頂にあった結婚式の当日、ジェーンはロチェスターには屋敷に幽閉された妻がいることを知ります・・・。
気鋭の監督、キャリー・フクナガの演出と、ミア・ワシコウスカの好演が光る映画です。ゴシックの雰囲気を出すため、多くのシーンが暖炉などの火明りや、キャンドル・ライトで撮影されています。また、原作の時代設定は1830年代ですが、この時代のファッションが派手すぎるため、キャリー・フクナガは敢えて時代設定を10年程、後にずらし、回想シーンの若きリード夫人にのみ、このような装いをさせています。
こうしたキャリー・フクナガ監督の演出の意を受けて、ミア・ワシコウスカは厳しい環境に育った頑な家庭教師を見事に演じています。ジェーン・エアは後に叔父の遺産を相続するのですが、質実だった彼女に余裕ができて美しくなったいく様を演じるミア・ワシコウスカが見事です。実は、ジェーン・エア役の第一選択は、エレン・ペイジだったのですが、彼女が辞退した為、ミア・ワシコウスカの起用となりました。オーストラリア出身でイギリス英語に近いだけではなく、精神的な部分を良く捉えてジェーン・エアを演じるミア・ワシコウスカの起用は、大正解だった思われます。
2010年公開の「アリス・イン・ワンダーランド」で一躍、注目を浴びたミア・ワシコウスカですが、この「ジェーン・エア」でその実力の程を示し、その後も「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」、「嗤う分身」、「奇跡の2000マイル」(いずれも2014年公開)などで、活躍しています。同じオーストラリア出身の大女優、ケイト・ブランシェットの後を追うべく、さらなる活躍を期待したいところです。
マイケル・ファスベンダー(エドワード・フェアファックス・ロチェスター)
ジェイミー・ベル(セント・ジョン・リヴァース)
ジュディ・デンチ(フェアファックス夫人)
サリー・ホーキンス(リード夫人)
イモージェン・プーツ(レディ・イングラム)
ソーンフィールド邸が撮影されたハドン・ホール
シャーロット・ブロンテ著「ジェーン・エア」(上巻)
シャーロット・ブロンテ著「ジェーン・エア」(下巻)
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