唇が貪られる。
ちゅ、ちゅうとキスをしていた完二が、顔を上げて、朋也の手を自分の股間に導いた。
「先輩」
触れながら見下ろしてギョッとする。
(でかい)
気付いていなかったけれど、陽介やクマよりはるかに大きい。
しかも剥けている。
朋也は思わず自分の雄と見比べてしまった。
自分の獲物もなかなかのものだが、陽介とクマをミドル、自分をトールサイズとするなら、完二の獲物は『ビッグ』
衝撃でクラクラしていたら、蕩けきっている窪みに熱いものがグッと押し当てられた。
即座に瞠目して完二を見上げる。
「む、無理だ、完二、お前のちょっと大き過ぎる」
「感激ッス、先輩に褒めて貰えるなんて―――デカくて良かったっスよ、ヤり甲斐あるっス!」
いや違うんだ褒めてないと言う前に、いきり立った完二の剛直は、朋也の内側にメリメリと進入を開始した。
「ちょ、ちょっ、待ッ、やッ、ああああッ」
ちりりんッ、りんッ
完二の肌に爪を立てて、朋也は奥歯を食いしばる。
かつてない体積が半ば強引にねじ込まれようとしている。
既に雄2人分の劣情を吐き出された部分は程良く蕩けているが、それでもこのサイズは規格外だと、体が悲鳴を上げている。
「やッ、いやッ、だッ」
完二は容赦なく熱く滾った先端で肉襞を掻き分けていく。
メリメリと引き裂かれるような音が聞こえてきそうだ。
「黒沢、大丈夫か?」
陽介の気遣いが鬱陶しい、そう思うのなら今すぐこの後輩を殴りつけて、自分の中から銃身を抜き抜いて欲しい。
(無理、無理ッ)
ゆっくり息を吐きながら、窺うように、けれど決して止めることなく、完二は朋也の中に挿入を続けた。
やがて、くち、と音がして、許容量いっぱいに完二の雄が収められてしまった。
「せん、ぱいッ」
声から伝わる振動すら意識を飛ばされそうなほど、辛い。
目を閉じ、肩を震わせて堪える朋也を陽介とクマが心配そうに覗き込んでいる。
「完二、こいつすっげ辛そうだぞ、そっとしてやれよ、そっと!」
「わ、わかってるッスよ、そんなのっ」
「完二顔真っ赤クマ、ブルブルして、イッちゃいそうクマー」
「う、く、くうッ、先輩!」
ギュウウッと抱きしめられた朋也は声も出ない。
内側の圧迫感を必死になだめていると、ぐいっと動かされた。
完二が朋也の臀部に腰を押し付けたまま中で擦り合わせてくる。
「ひあ!?」
背筋を仰け反らせて、咄嗟に悲鳴を上げていた。
ユサユサと深く突き込んだ雄でただ揺すられているだけなのに、強烈な圧迫感が朋也の意識を破壊する。
「あ、ああッ、だ、ダメだ、ダメッ、ダメッ」
「黒沢、お前」
「エッチー!エッチな顔してるクマー!センセートロトロになってるクマぁ!」
先輩っ、と完二が呻き、乱暴に唇を吸い上げられた。
そのまま喘ぐ朋也の内側から、ズルリと膨張した塊が中ほどまで引き抜かれる。
直後再び突き込まれた。
ちりんッ
「うッ」
再び引き抜くと
「っあ!」
ズン!
ちりんッ
「うゥ!」
ずるり。
「ひうッ」
ズン!
「っあぁ!?」
ちりりんッ
凶暴性すら感じさせる圧倒的な存在感が思考を暴力的に蝕んでいく。
意識の殆どを持っていかれて、朋也は既に完二のなすがままになっていた。
二人の体が互いに擦れあう度、結び合った部分からジュプジュプと精が零れ落ちる。
ヒータで温められた屋内は青臭い匂いで満ちている。
あられもない朋也の姿に魅入られた陽介とクマがいつの間にか各々夢中で局部を慰めていた。
「ああッ、あああッ、あッ、ヤダッ、やだぁッ、ヤっ、あッ、あッ、あンン!?」
喉の鈴が盛大に鳴り響いているというのに、朋也の耳には全くと言っていいほど入ってこない。
代わりに、荒々しく突き上げられて、肌のぶつかり合うパンッパンッという音ばかりが煩く聞える。
涙を零して喘ぐ朋也に、時々熱烈な口付けを施しながら快楽を貪っていた完二が「ううッ」と切羽詰った声を上げた。
「先輩、イクっす!」
剛直が一際深く朋也を穿つ。
「あ、や、やあッ、完二、かんじいッ」
「先輩!―――うッ」
「ああッ」
ちりりん、りん!
ギュッとしがみついてくる朋也の腹の奥を一気に加速された衝撃が繰り返し貫き、漲る力で最後に目一杯突上げて―――精の量も、2人より随分多いように感じられた。
いつまでも続く射精にビクビクと体を震わせながら朋也は放心して目を閉じる。
どこからか、肌にも熱いものがあちこちにビュッビュとかけられていた。
咽返る雄の匂いにため息が漏れる。
(考えたくない)
ひと心地ついた朋也は、そのまま完二にキュウッと抱きしめられていた。
決して乱暴でも力任せでもなく、むしろ大切な宝物を手に入れた喜びを噛み締めるかのような、愛情溢れる腕の中で、ほんのりとした心地よさに包まれて、このまま身を任せてしまってもいいような気分がふと過ぎった。
「黒沢」
不意に、声がする。
目を開いてノロノロ振り返ると、不安気な陽介と目が合う。
「は、なむ、ら?」
(―――何、見てるんだ)
バカ。
変な顔しやがって。
俺はお前のものだろう?
(ちがうのか?)
「違わない」
声に出したつもりはなかったのに、陽介は首を振って安堵の表情を浮かべる。
同時に頭上から「先輩ぃ」と恨めしげな声が降ってきた。
「ほら、見ろ、聞いたか?やっぱり黒沢は俺のモンだ、男はデカさじゃないんだよ!」
「俺、諦めないッスよ!まだまだ、これから、ガンッガンッヤリまくって絶対先輩を振り向かせてやるぜ!」
「クマも負けないクマよ!魅惑のテクでセンセイをメロメロノックアウトね」
「お前にそんなテクニックないだろ、いいから寄越せ、そいつは俺んだッ」
「関係ねえなぁ、ねえ先輩?もっかい天国見たくないスか?」
「ざっけんな完二、てめ、そのサイズで連戦なんて、黒沢が壊れちまうだろ!」
「いいじゃないッスか、んなもん、俺が毎晩ヤリまくって慣らしゃ済む話でしょーが」
「おま、怖い事言うなよ!それに何度も言わせんな、コイツは俺のもんだっ」
「センセーはクマのもんだ!」
「テメーは黙ってろ!」
(ああ、もう)
改めて、ジワジワと痛む下肢に顔を顰めつつ、朋也は色々どうでもいいような気分で馬鹿トリオのやり取りをぼんやり眺めていた。
どのみちまだまだバカ騒ぎは続けられるのだろう。
3人はそれぞれ勝手なことを言っているけれど、等しく両目をいやらしい気配で満たしている。
これは到底逃れられそうにない。
(まあ、今夜はあえて勝手を許すか)
クリスマスだし?と呟いて、朋也は小さく笑った。
―――けど、この借りは、いずれキッチリ返す。
陽介に手を伸ばされた。
抱き寄せられて、唇を重ね合わせながら、朋也はぼんやり考えていた。
さてどんな方法で仕返しをしてやろう。
心理戦は得意とするところだ。
こいつらは、今日、俺と、消せない縁を繋いでしまった。
つまり俺に心と体を許したというわけだ。
―――逆手に取らない訳がない。
背後からクマが朋也の臀部の窪みを舐めている。
陽介に突きつけられた雄を口腔内に迎え入れた。
体中、所構わず完二に口付けされる。
精々夢中になっとけ。
ちりりん。
(ああ、しかし、突っ込まれる度に鈴がリンリン鳴って、何だか俺がクリスマスプレゼントみたいじゃないか)
―――こうして3匹の雄の上に君臨した女王様、もとい、番長様は、いずれキッチリ落とし前をつけさせることを胸に誓いつつ、聖なる一夜のバカ騒ぎを心の隅の方で神様にほんの少し詫びておいたのだった。
とりあえず終わり。
本編でセーブできる状態のとき、3人は2階で寝てるっていう設定(笑)
以降はあらゆる意味で番長に頭が上がらなくなると思います、惚れた弱みってヤツ♪