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パグウォッシュ会議:「最後の被爆地に」長崎宣言

毎日新聞 2015年11月05日 12時38分(最終更新 11月05日 13時01分)

会議で長崎宣言を読み上げるサイデ・ロトフィアンさん=長崎市で2015年11月5日午後0時11分、津村豊和撮影
会議で長崎宣言を読み上げるサイデ・ロトフィアンさん=長崎市で2015年11月5日午後0時11分、津村豊和撮影

 長崎市で開かれていた核兵器と戦争の廃絶を目指す科学者らによる国際会議「第61回パグウォッシュ会議世界大会」は5日、「長崎宣言」を発表し、閉幕した。戦後70年の節目に初めて被爆地・長崎で開催されたことを踏まえ、「長崎を最後の被爆地に」と願う被爆者の声に耳を傾け、世界の国々と市民社会などが連携して核兵器の法的禁止を目指すよう求めた。世界大会で宣言を出したのは、広島市で開催された2005年以来で、5回目。

 宣言は、核軍縮が行き詰まっている現状に危機感を表し、核保有国に対して、核兵器の削減だけでなく「廃絶を確約」することを迫った。一方、核拡散防止条約(NPT)再検討会議など既存の国際的な協議の枠組みについては「限界も明らか」と指摘。市民社会や国際組織などと連携した取り組みが重要とした。

 その上で、広島、長崎の被爆者をはじめ、世界中の核実験で被ばくした「ヒバクシャの経験を次の世代へ伝承していく」ことで、究極的には核兵器だけでなく、戦争そのものを根絶する必要があると訴えた。

 宣言はまた、東京電力の福島第1原発事故について「原子力技術に付随するリスクを封じ込めることの重要性を思い起こさせた」と言及し、「科学者の社会的責任はかつてないほど重大」と呼び掛けた。

 会議は5日間開かれ、約40カ国から約180人が参加。核兵器の非人道性や原子力の平和利用などをテーマに討議した。【大平明日香】

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