原発説明会、難解説明に不満 京都・舞鶴市が動画配信
京都府舞鶴市は4日、高浜原発(福井県高浜町)に関する住民説明会の動画のインターネット配信とDVD貸し出しを始めた。2日の説明会では専門用語が多用され、参加者から「難しくて理解できない」と不満が。安全性や事故対応などでの国の責任について担当者は「責任を持って対処する」と具体性に欠ける発言に終始、今後寄せられる市民からの意見が注目される。
説明会は参加者限定で実施。会場からの質疑は受け付けず、休憩なく2時間続いた。
原子力規制庁の担当者は「PWR特有の機能」などの専門用語も使い安全対策を解説。配布資料にも「静的触媒式水素再結合装置」などの専門用語が並び、原発5キロ圏に住む谷義雄さん(73)は「難しいことを次々と言われても、理解が追い付いていかない」と話した。参加者の理解が進んだかどうかは疑問だ。
安全性や重大事故時の責任の所在、緊急時対応については、国と府・市でかみ合わない場面が目立った。
山内修一副知事が「原発を動かす以上、安全は絶対と確約してほしい」と求めると、資源エネルギー庁の小澤典明・原子力立地・核燃料サイクル産業課長は「再稼働は政府に責任があり、国民を守る責任を持つ」と述べたが、踏み込んだ発言はなかった。
事故後の原発周辺における放射線量の測定結果公表についても、「国がリアルタイムで情報を取得し、市民に提供できるようホームページで掲載する」とした規制庁担当者に対し、府原子力防災専門委員の三澤毅京都大教授は「舞鶴市は原発に近接する地元の自治体。住民への伝達方法が十分でない」と批判した。
動画は市ホームページからリンクされた動画サイト「You Tube」で視聴できる。市は10日締め切りで所定用紙による質問を呼び掛けている。多々見良三市長は再稼働を容認する条件の一つとして市民が国の説明に理解できることを挙げており、説明会後に「質問が多岐にわたり(住民が)もう少し説明してほしいと感じたら、するべきだ。質問の中身、ボリュームで考えたい」と再度の説明会に含みを持たせた。
舞鶴に続き、綾部、宮津、伊根、福知山、南丹の各市町(京丹波町は日付未定)も説明会を予定している。
【 2015年11月04日 23時00分 】