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 日米など参加12カ国が合意した環太平洋経済連携協定(TPP)の協定文書の全文が5日午後、公表された。「食の安全」から関心の高い、大豆などの遺伝子組み換え(GM)作物については、情報交換のための作業部会をつくることなどが新たにわかった。農林水産省によると、通商協定でこのような部会ができるのは珍しい。

 各国が英文版をホームページに掲載した。関税の撤廃・削減や投資、電子商取引など30章からなる全文が約600ページ、関税撤廃の詳細や例外項目などの「付属書」を含めると1500ページ超となる。12カ国による法律上の確認が終わり次第、内容が確定する。日本政府は日本語版の概要文書に加え、米国やカナダなどと二国間で結んだ交換文書も公表した。

 GM作物については、各国が「承認申請への必要書類の要件」「安全性の評価の概要」「承認された産品の一覧表」を公表し、未承認のGM作物がわずかに混入した事例でも情報共有を進める取り決めを入れた。輸入国の要請があれば、輸出国でGM作物をつくる企業へ情報共有を奨励する規定もある。生産量や貿易量が増えると見込まれるなか、安全を気にする消費者にも配慮して、情報共有を深める場をつくったと言える。ただ、米国などがさらに市場開放を求めてくる可能性もある。