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 馳浩文部科学相は5日夕(日本時間5日深夜)、パリで開かれているユネスコ(国連教育科学文化機関)総会で演説した。中国が申請した「南京大虐殺の記録」が世界記憶遺産に登録されたことを取り上げ、「記憶遺産事業については、ガバナンスや透明性の向上を含む改善を早急に実現するよう加盟国間で議論を進めていく必要がある」と訴え、登録制度の改善を強く求めた。

 ユネスコは10月上旬、旧日本軍による南京事件に関する記録を世界記憶遺産に登録した。日本政府は「一方的に中国の言い分を受けて指定するのはおかしい」(菅義偉官房長官)としてユネスコに抗議。馳氏を文科相として10年ぶりに総会に派遣し、日本政府の見解を訴えさせることにした。

 演説で、馳氏は「有形、無形、文書等の貴重な遺産を保護し、継承していくための事業は平和のとりでを築く作業の最前線の一つ」と述べ、ユネスコが取り組む遺産保護事業そのものには理解を示した。