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■尖閣と沖縄返還 米外交文書から:17

 尖閣諸島が日本の施政下にあることは認めるが、「主権については特定の立場を取らない」という現在の米国の方針は、沖縄返還前年の1971年には、実質的に固まっていた。

 当時と変わったこともある。その一つが、日米安保条約の適用だ。

 この問題が最初に浮上したのは96年だ。ニューヨーク・タイムズ紙が9月、モンデール駐日米大使が「日米安保条約によって米軍が介入を強制されるわけではない」と発言したと報道。日本の外務省にあたる国務省の報道官も翌月の会見で「仮定の質問には答えられない」と尖閣への安保条約適用を明言しなかった。

 しかしその後、国防総省が、日米安保条約は尖閣諸島にも適用される方針を確認する。当時、国防次官補代理だったカート・キャンベルは「最初に言ったのは自分だったが、法律の専門家たちとの間で、大変だった」と話し、政府内で抵抗があったことを示唆した。