学校の授業で日本と韓国の出版業界の動向が少し触れられていて気になったので、掘り下げて調べてみました。
紀伊國屋書店の2014年度ベストセラーと、韓国で最大手の書店である教保文庫(교보문고)の2014年度ベストセラーを比較してみます。まず、「社会系」分野で、互いの相手国に関する本の売れ行き、その次に「小説」分野で相手国の小説の翻訳本の売れ行きを比べ、最後に私の主観を述べたいと思います。
参照
2014年 分野別 年間ベストセラー | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店
2014 총결산 인터넷교보문고 베스트셀러전 - 인터넷교보문고
(韓国語を読めない方も、テキストをコピペして各種翻訳サイトを利用すれば、大体の内容は把握できるはずです。ただし、教保文庫のHPの仕様上、ウェブページ翻訳は利用できません。)
「社会系」分野での比較
両書店のベストセラーのカテゴリ分けが違うので、少し乱暴ですが類似していると思われるカテゴリ同士で比較します。紀伊國屋書店のほうは「新書」カテゴリ、教保文庫のほうは、「政治」「経済・経営」「人文」「歴史文化」カテゴリを合わせて「社会系」としましょう。冊数は、紀伊國屋書店の「新書」が100冊、教保書店の4分野がそれぞれ30冊、計120冊になります。
まず、紀伊國屋書店で売られている韓国に関する本は、8冊あります。題目から推測すれば、内容はどれも、韓国に対して批判的な「反(or 嫌)韓」本でしょう。
一方、教保文庫のほうは、日本に関する本は、「政治」「経済・経営」「人文」分野には無く、「歴史文化」に1冊あるのみ。この1冊は題目から、いわゆる「反日」本と思われます。
「小説」分野での比較
次に紀伊國屋書店の「文庫」分野(主に小説)100冊と、教保文庫の「小説」分野30冊とを比べみます。
紀伊国屋書店の「文庫」分野では、韓国語から翻訳された小説はゼロ。
一方、教保文庫の「小説」分野では、30冊という限られた範囲にも関わらず、日本語から翻訳された小説は4冊あり、「外国小説」にまでカテゴリを絞ると、6冊になります。ちなみに、その6冊の内訳は、『女のいない男たち』(村上春樹)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(東野圭吾)、『夢幻花』(東野圭吾)、『ノルウェイの森』(村上春樹)、『真夏の方程式』(東野圭吾)、『虚ろな十字架』(東野圭吾)です。
上の結果から考えられること
日本"人"(本を読む主体は"人"なので、あえて「日本」ではなく「日本人」)は、「反(・嫌)韓」という形で、韓国「社会」には関心を持っている傾向が(相対的に)あるようです。反対に、「小説」といった形での韓国文化には興味が無いようです。
韓国"人"は、「社会」としての日本には、ほとんど興味を失っているようです。反対に、「小説」といった日本文化には強い関心を持っていると推測できます。その意味では、「親日(韓国語では「親日」ではなく「知日」のほう)」的とも言えるのではないでしょうか。
日本人が「反日の韓国(or 韓国人)が生意気だ」と言っているあいだに、韓国人は日本に対して興味を失っている、もしくは親日的になっているのは、強烈な皮肉に見えますね。
最後に私の主観
上のような"人"のレベルから、"国家"のレベルに目を向けると、互いに強硬的な態度を示しているわけで、それによって"人"と"国家"を混同する誤謬が生まれたりと、様々な形で複雑な行き違いが表れているのではないしょうか。
この状況からは相互理解なんて程遠く感じてしまい、「良識派」が言う「どっちもどっち論」で済ましたくなる気持ちも分からなくはないです。しかし、そこは粘り強く、諦めずに互いの状況を、「どっちもどっち」ではなく、個別に、精確に、把握していく努力をしていきたいと思います。
また機会があれば、少しでも相互理解の一助になれればと、私が韓国に住んでいたときのエピソードにも触れたいです。