死角が見当たらない
まず「慰安婦」問題についてだ。
新聞各紙(3日付朝刊)は、「慰安婦問題 早期妥結探る――協議加速で一致」(『朝日新聞』)、「慰安婦協議年内にも――賠償問題、『解決済み』堅持」(『読売新聞』)、「慰安婦 局長協議を加速――日韓首脳、TPP協力期待」(『毎日新聞』)、「慰安婦 財政支援拡大――政府検討、韓国と調整難航も」(『日本経済新聞』)と、一面トップの大見出しの付け方が大きく異なった。
実際の話し合いはどうだったのか。
朴大統領は一貫して「年内妥結」を主張、安倍首相は期限を決めるべきでないと反論、最終的に両氏は「できるだけ早い時期」で妥協した。逸る朴氏を安倍氏が制した結果となった。
その切り札となったのが安倍首相の「お詫び」の気持ちを手紙にして、存命する元従軍慰安婦のもとに届けるというものだ。
その時期は、帰国後の4日に会談した谷垣禎一自民党幹事長に「越年」を示唆したように年明けの1月初旬になると見られる。そしてその手紙を持参するのは、河村建夫・日韓議連事務局長(元官房長官)になると思われる。
日中韓首脳会談の一応の成功によって、同会談は再び定例化されることが決まり、来年5月中旬の東京開催が確定した。
すなわち、2016年前半の安倍外交は、年初の「慰安婦」問題妥結から始まり、「桜の花が咲く頃」のプーチン・ロシア大統領の日本公式訪問、5月中旬の日中韓首脳会談、そして同26~27日の伊勢志摩G7サミット開催と間断なく展開されることになる。
もちろん、その前に11月15~16日の主要20ヵ国・地域(G20)首脳会議(トルコ・アンタルヤ)、18~19日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(フィリピン・マニラ)、20~22日の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議(マレーシア・クアラルンプール)、30~12月2日の国連気候変動枠組み条約第21回締約国首脳会議(フランス・パリ)出席で、安倍首相は休む暇もない。12月中旬にはインドを訪れ、原発と高速鉄道(新幹線)をトップセールスする。
さらに現在なお、ひそかに進行しているのが水面下での日朝接触である。これもまた外務省頭越しの官邸主導だ。日経平均株価が再び上昇トレンドに戻ったうえに外交成果が喧伝されるとなると、当面、安倍政権にとっての死角は見当たらない。
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