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通信事業者と成長けん引、無線とも提携拡大――エフセキュア、アラキオCEOに聞く。

[ 2009年7月28日 / 日経産業新聞 ]

ウイルス対策 無線とも提携拡大

 フィンランドのセキュリティー対策会社、エフセキュアが急成長している。通信事業者を通じてウイルス対策サービスを提供する独特の事業モデルで、2008年の売上高は1億1300万ユーロ(約153億円)と3年前に比べてほぼ倍増した。。同社の成長戦略などについてキモ・アラキオ社長兼最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

 ――今後の成長エンジンは。

 「ネット通信事業者と連携したセキュリティー対策サービスが引き続き成長をけん引する。固定網だけでなく、WiMAXやLTEといった高速無線の通信事業者とも提携関係を拡大したい」

 「我々は2000年から通信事業者と提携し、パソコン利用者に対策ソフトを月額課金で提供するサービスを始めた。今や世界の190事業者と提携し、売上高の45%を稼ぐまでになっている」

 ――この事業モデルが成功したカギは何か。

 「消費者にも通信事業者にも支持されるモデルだからだ。ネットを通じて侵入するウイルスの対策サービスをネット事業者が提供するのは論理的に自然であり、消費者に分かりやすい。通信事業者にとってはセキュリティー対策という付加価値サービスで高い利益を上げることができる」

 ――競合企業と差異化できるか。

 「他のセキュリティー大手も最近になって同様の事業モデルに取り組み始めたが、我々には約10年にわたって先行して積み上げたノウハウがある。事業モデルを『売り切り』から『サービス』に変えるとひと口に言っても会社組織の大きな改変を要する大事業だ」

 「ソフトウエアの開発体制からマーケティング戦略、サポートサービス、通信事業者を通じて顧客の声を集める仕組みまで組織のあらゆる機能をサービスモデルに最適化する必要がある。『月額課金にすればいい』などと安易に考えていると痛い目をみるだろう」

 ――ウイルス対策以外で注力する新規事業は。

 「昨年、携帯電話向けセキュリティー対策に参入する足がかりとなるサービスの提供を始めた。携帯電話を遠隔操作でロックしたり、機密情報を消去したりできる。ウイルス対策とオンラインバックアップと組み合わせた新たなサービスも模索中だ」

記者の目

クラウド時代の事業モデル構築

 通信事業者と密に連携してネット経由でサービスを提供する手法はクラウドコンピューティング時代の代表的な事業モデルの1つだ。米アップルの携帯電話「アイフォーン」やアマゾンの電子ブック端末「キンドル」がその好例。約10年をかけ、消費者も通信事業者も利益を得られる事業モデルを構築したエフセキュアの事例は他のIT企業にも参考になりそうだ。

(浅川直輝)

 エフセキュア フィンランド・ヘルシンキに本社を置くセキュリティー対策企業。1988年にヘルシンキ大学の学生二人が「データ・フェローズ」を創業。99年に社名を「エフセキュア」に改めるとともにフィンランド証券取引所に上場。日本を含む世界18カ国で事業を展開する。

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