So-net無料ブログ作成
検索選択

映画で町おこし。十分に効果があるのに、多くの自治体が失敗している理由? [町おこし映画の問題点]

10830941_804241152983524_3486027297921764958_o.jpg

そもそものきっかけは大林映画だった。「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」等の大林宣彦監督が古里・尾道を舞台に撮った青春映画が大ヒット。感動した若い人たちの多くが尾道を訪れ、ロケ地巡りを始めた。そんな頃から、映画のロケ地なると町がPRでき、観光客がたくさん来ることが分かり、各地の自治体がフィルム・コミッションを作り、映画ロケの誘致を始めた。

最近ではロケ協力だけでなく、自治体が出資するところもある。ある町では映画撮影が続き、ロケ地が観光地化。多くの人が訪れて50億円を超える増収となった。もし、これがCMを作り、テレビで流したとしたら、1本で億単位の出費が必要。それが映画の場合はロケ協力するだけで、町が全国的にアピール。観光収入が増える。まさに濡れ手で粟。

そのためにフィルムコミッションはかなりの数ができたが、尾道や先の50億円収入の町のように成功しているのは極々一部だけだ。何が違うのか? 先の記事でも書いたが、ほとんどのフィルコミは映画製作というものを理解していないことが一因。そして、役所の職員がフィルコミスタッフを兼用。忙しくて、対応できないという側面。

僕自身の経験だが、ある町のフィルコミに連絡したとき、窓口は市役所の観光課なのだが、もの凄く対応が悪かった。「この忙しいのに何なの?」という感じ。現在、映画を企画しているんだけど、フィルコミとしてどんな協力をしてもらえるのか? と訊くとこうだ。「製作費が集まり、シナリオが出来て、正式にスタートしたら、担当者を紹介します」........何それ? その前段階で、シナハンが必要だから来たんだろ?と思うが、この町のフィルコミは非常に評判が悪いこと。映画界では有名なので、やはりなあ....という感じ。

10308209_630685540339087_410967772747448381_n.jpg

その町は映画ロケなど全くなく、大きなチャンス。なのに役所の仕事が忙しいからあからさまに断ろうとしたのだ。以前、舞台挨拶で訪れた別の町では、いきなり地元観光課の職員がやってきて「監督。次回はぜひ、うちで!」と観光案内に無理やりつれて行かれたことがあった。それほど各地では映画ロケに大きな関心を持っているのに(うまく行けば50億だ!)その町はまるでやる気なし。

その理由は多くの町が映画で町おこしにやっきになっても、まだまだ、その効果を理解しない人が多いこと。また、役所の職員の場合は、町の利益よりも、自分の仕事が忙しくなることを嫌う傾向がある。フィルコミができたのも、市長あたりが、今流行の映画ロケ誘致をしようと、あまり内容も分からず指示して設置してしまう。たいていは観光課職員が兼業。映画好きが嵩じてフィルコミをスタートした訳ではない。

そんなふうに今、フィルム・コミッションは数多くあるが、まともに機能しているのは10カ所もないだろう。そして、先にも書いたように、「***公園でロケしてほしい」「****大根を劇中で紹介してほしい」とか、いろんな要望を出してくる。そうして、せっかくの映画をCM化してしまい。大きなチャンスを潰す。

1548199_712366525504321_7005953535249652856_o.jpg

ある映画では、その町の祭り。神社で行う踊りを延々と紹介していた。5分以上。頭から終わりまで。ドキュメンタリーかと思った。物語には何ら関係がない。本来なら冒頭、10秒で終わり。それがなぜ、延々と見せたか? 監督に訊くと、お世話になっている方が祭りの実行委員で、記録のためにも全部撮影してほしいと頼まれたそうだ。

それはやはりドキュメンタリーでやることだし、劇映画なのに引き受ける監督も問題。その映画はそんなふうに全編、町の見所と名産品紹介が多々有り。映画館で入場料を払って観るものとは思えなかった。「***町の観光案内映画」と銘打ち、アンテナショップモニターで流してほしい。

何度も書くが、映画で観光地や名産品を紹介してもアピールはしない。感動的な物語があってこそ、そこに映る町や風景が心に残り、その町を訪れてみたくなるのだ。その辺を地元協力者は理解せず。監督やプロデュサーもまた協力してもらっているのだから.....、と物語が壊れる要望を平気で受け入れる。結局、PR映画となり、東京ではひっそりと上映されて、多くの人がタイトルも知らないまま終わる。

映画を使い、町をアピールすることは可能。でも、地元と作り手が自ら映画を貶めている限り無理。もちろん、1本成功すれば翌年から50億円!ということはないが、安価な方法で大きなメリットを求めることはできる。映画だけではない。地方の町おこしには似たようなものが多い。そんなものを見に都会から観光客は来ないでしょう?という施設を何億もかけ作り、若者が喜ぶ懐かしい建物を破壊してしまう。なのに「なぜ、観光客が来ない?」と首をひねる。

成功しないということは、何かが間違っているのだ。その原因が分からずにいる。同じ失敗を繰り返す人があまりにも多い....。


扉.jpg
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL: