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小泉政権のもとで郵政民営化法が成立してから10年。日本郵政が株式上場に…
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小泉政権のもとで郵政民営化法が成立してから10年。日本郵政が株式上場にこぎつけた。8年前に株式会社に移行したものの100%政府出資の官営会社だった。本格的な民営化への挑戦は、これからが本番となる。
上場した日本郵政、子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社の株式は、知名度の高さと高配当で個人投資家を中心に人気を呼んでいる。まずは順調な滑り出しと言ってよい。
とはいえ、郵政各社の実力を考えれば、この株高は人気先行だ。顧客や投資家の期待を裏切らないためにも、乗り越えなければならない課題がある。何と言っても収益基盤の強化だ。
規模についてはそれぞれの分野で民間トップ企業をはるかにしのぐ。だから10年前には郵政民営化を警戒する声が各業界で高まったのだが、今やそういう声はあまり聞こえない。規模の優位が必ずしも競争力につながっておらず、民業圧迫論は大きく後退している。
むしろ弱さの克服が求められる。一つが日本郵政傘下の郵便・物流事業の赤字体質である。各市町村に一つ以上の郵便局を置き、全国に配達サービスを続けることが義務づけられている。コスト要因ともなる制約を抱えたまま収益を上げるのは容易なことではない。
市場の巨鯨に例えられるゆうちょ、かんぽにしても規模を生かせる経営にはほど遠い。顧客から託された合計260兆円の資金はもっぱら国債で運用しているが、国債相場の先行きは不透明だ。どう安定的に利回りを確保していくか。
ゆうちょが銀行のように企業向け融資や住宅ローン事業に進出することを認められる可能性もある。ただ、今のようなカネ余りの環境のなかではそれほど需要は期待しにくい。
旧・特定郵便局長を支持基盤とする自民党が、ゆうちょの預け入れ限度額、かんぽの契約限度額の引き上げを求めている。だが、規模拡大は追わず筋肉質な経営を志向すべきだろう。
この10年間というもの、時の政権の思惑に振り回され、郵政民営化は行きつ戻りつした。上場にこぎつけたのは、東日本大震災の復興財源の確保のために郵政株の売却益に期待が高まったためだ。完全民営化への道筋も、最終的な郵政各社がめざす理想像も固まっているわけではない。
それでも上場した以上は、持続可能な経営をしなければならない。郵政の経営に民間の手法が根付くよう、政治はこれまでのような介入は控えるべきだ。
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