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ボンダイ

若者論から国際論まで幅広くテーマに。不寛容より多様性に富んだ世の中の方がいいじゃん!

首都圏劇場ホール2016年問題の戦犯は「地方都市」にある

これは大きな問題だ!

www.barks.jp

 首都圏ではこの約10年ほどで大量の劇場ホールを失っている。

 原因は深刻な老朽化にある。最近閉館した「渋谷公会堂」も1964年完成と築年数は半世紀を超えていた。ただしここはまだ建替えが行われるからいい。五反田の「ゆうぽうと」のように失った劇場の大半は完全閉鎖である。古くなった文化施設の建て替えや改修ラッシュでもあるが、そもそも劇場の数がガクッと減ってしまうのが「2016年問題」の本質である。

 

 そもそも首都圏では文化施設が大抵オンボロな傾向にある。それらが建てられた昭和時代と今とでは人口は大きく変わっていて、この10年間は東京の人口は爆増傾向にある。人が増えているのに窮屈な古い箱しかなかった状態が続いていただけでも酷い。新しい立派な施設を増やす必要がある。

 

 ところがこの国では、2000年代以降に文化施設を作った場所はみな地方都市だった。つまり本来首都圏の人間が享受するべき文化施設を地方が奪っていたと言っても過言ではない。市立とか県立とか銘打っても、そういう地方都市はどこもみな地方交付税を受けているのである。地方交付税東京・神奈川・愛知などの大都市部から搾り取った税金を、何も関係性のない地方にばらまく時代錯誤なトンデモ制度だ。東京都民の多くは東京に暮らし、東京で働き、休日も東京都内で余暇を過ごす。旅行に出かけることはあっても大抵は首都圏近郊で安近短で済ませるものだし、一発景気よく観光するなら海外に行く。つまり都民にとって地方は完全な他人事である。にもかかわらず、一方的に地方が東京の人間の納めた税金をかすめとるような何様なんですかというような制度がまかり通っている。

 ボンダイは都民ではないが、神奈川県は東京とつながりが深く、多くの人は都内で働いていることは読者も分かるはずだ。両者は相互補完関係がある。つまり、たとえば東京の税金が神奈川に流れたりその逆に流れるような構造は場合によっては許される。しかし、実際には東京の税金が北関東や裏日本や九州にぶちまけられている現実があるのは、都民はもっと怒るべきである。

 ボンダイは神奈川県の公共インフラのひどさに常日頃から憤っているが、東京都内はもっとひどいと思う。渋谷区役所や豊島区役所は最近までオンボロすぎた。「財政難」が理由だそうだが、人口がこれほど多くいて、毎朝通勤ラッシュがあって、大量の人が経済活動を回しているのに財政難だなんて、明らかにおかしい。やはり地方交付税制度が元凶である。私たちの納めた税金は地元の市や区、県内、そして広く見積もっても首都圏広域に還元されるべきで、なんで関係ないよその地方がしゃしゃり出てくるのかは全く分からない。目下都内には生活に困るシングルマザーや奨学金に悩む学生は大勢いるし、駅や公園ホームレスがいくらでもいるのだが、まずは目下東京のこうした課題解決が筋だと思うことは常人の発想ではないか。

 

世田谷区民は新潟に怒るべき

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 分かりやすい比較が、世田谷区(人口約90万人)と新潟市(約80万人)の文化施設格差だ。この表にまとめた以外、公立美術館格差などもあるがあげればきりがない。

 世田谷区は人口が多い。一時低迷していたが近年は急激に増加傾向にある。にもかかわらず文化施設の整備が追い付いていない。若者世代の流入が多く、子ども人口の増加も期待できる。

 一方、新潟市はというと、世田谷とは逆に人口が減っている。若い世代が流出していて少子高齢化である。つまり未来がない。未来がない場所なのに、文化にまつわるハコモノはやたらと大きく、ゼロ年代以降に建てた新しい巨大施設がとにかく多いのだ。

 

 繰り返すが、世田谷区を含めた東京は地方交付税を貰っていない。しかし、新潟はそれを貰っている。

 このような「新潟的な悪しき地方都市」が日本中に腐るほどあり、人口では同じ規模の東京都内の区や首都圏の市と比べて明らかに特権的に文化施設が優遇されているのだ。

 

 新潟市の人口バランスを考えるとすでに終わっているので、19施設はあまりに多い。世田谷が9施設で我慢していることを考えれば、もういっそ3つくらいに削減していいのではないか。

 こういう風な地方都市に巨大ハコモノを作らし、ガラガラ状態でも維持させるためにカネをつぎ込む役割を背負わされているのが、都民であり、首都圏の人間なのだ。

 

 東京の文化行政は不当にないがしろにされている。都民は地方に大いに怒るべきなのだ。