偽物ストリートを見物したあとは、やっと遅めの昼食をとることにした。入店した食堂は国境ゲートにほど近い「タチレクショッピング」という場所だ。建物がショッピングセンターみたいだが実際には閉鎖されている様子で、飲食店しか経営していない様子。
食堂に入ると幾つかの料理が銀皿に盛られており、目についた高菜系の料理を味見させてもらうと、もの凄く美味しかったのでそれに決めた。
◇味見をした高菜系の料理に美味しいリアクションをすると、大笑いした人懐こい店員。「そんなにおかしいか!?」
◇運ばれてきた料理。右手奥から高菜系、きゅうり、漬物。すべて文句なしで美味しい。これで50B(約165円)
高菜系の料理は豚ひき肉と一緒に炒められており、ピリ辛な味付けになっている。ミャンマーの肉は豚、牛、鳥、羊とまんべんなく食べられると思うのだが、そのなかでもミャンマーで「肉は豚」と言われているくらいらしい。肝心の味は冒頭でも述べたが、絶文句のつけようがないくらい美味しい料理だ。それはご飯との相性も抜群。
「いや〜、この店に入って良かった」
食事中にしばらくすると店主と思われる男性が話しかけてきた。
「君は韓国人か?」
「韓国人ではない。日本人だ」
すると満面の笑みを浮かべ、店の奥から何やら料理を持ってきた。
それは鶏肉のスープだった。どうやらサービスらしい。味はこれまた優しい味付けで、雨で冷えた身体と心が温まる。そして長時間煮込んだのだろうか。鶏肉の骨は柔らかく、噛み砕いて全部食べてしまった。これは絶品だ。
店主は食後にバナナとポットに入ったお茶を出してくれた。どうしてこんなに手厚い待遇をしてくれたかは分からない。ミャンマーは親日国と聞く。しかし日本とミャンマーの間にはその昔戦争の因縁があったそうだ。ビルマを独立させる約束をした日本は裏切り、これにアウンサン将軍、つまりアウンサンスーチーの父が態度を一変し抗日となったそうだ。
しかし日本軍はインドに居座るイギリス軍を追いつめ、悪評高いと言われる「インパール作戦」を敢行し自滅。このインパール作戦により、日本兵は万単位の兵士が戦死。さらに日本軍はビルマで食料を確保するため、略奪行為があったとも言われている。それでも親日国というのは、反日教育がされていないということなんだろうか。または戦後、賠償をし、経済協力をしてきた花が開いた結果なのだろうか。
話しは戻るがバナナと共に出されたお茶。それはミャンマー茶だった。ミャンマー人は好んでよくお茶を飲む習慣があるそうで、僕が飲んだお茶は日本のお茶にも似ているし、ジャスミン系にも似ていた。また、ミャンマーには食べるお茶というのもあるらしく、それはラペッソーと呼ばれている。見た目は深緑色のペースト状で旨味、酸味が広がった茶葉独自の苦みも残った発酵食品なんだそう。今度ミャンマーへ訪れた際にはぜひ食してみたい一品だ。
◇食堂の席から下を望む。外は雨。偽物マーケット街の傘が開く
僕は美味しい食事と心温まるおもてなしに、わずかながらのチップを支払い店を出た。店を出れば国境はすぐ目の前。タチレクの街をあとにすることに。
◇さらばミャンマー。今度はヤンゴンで会おう!
◇ただいまタイ王国。イミグレーションは左だぞ!
ミャンマー側のイミグレーションでは入国時に発行されたエントリーパーミットを返却してすんなり出国。タイ側のイミグレーションでは出入国カードを記入して、パスポートと共に提出。こちらもすんなり入国となった。
◇タイ側の記念撮影スポット
◇再びメーサイの街へ。チェンライまでのバスターミナルまでソンテウに乗車する。15B(約50円)乗車時間は約10分
◇さらばメーサイの街よ!また会おう!!
◇メーサイのバスターミナル。チェンライ行きのバスが見える。料金は行きと同じで39B(約130円)車内で車掌が徴収にくる
◇再び約1時間30分かけて帰る。やはり道中検問にあうが、パスポートだけを見せてすんなり通過。あとはチェンライまで寝るだけだ