あるブログで、原子力資料情報室の伴英幸氏のインタビュー記事が毎日新聞に掲載されていることを知った。
原発再稼働を容認している。
先ほど、この件で同室に電話した。

記者が伴氏の話をねつ造した、再稼働は容認していない
と言う。

毎日新聞に記事の訂正を要求したか、問うたが、記者に抗議しただけ、と言う。

同室のホームページに毎日新聞への抗議と訂正要求文を掲載すべきではないか、問うたが

その意思はない、と言う。

同室としては、再稼働反対の記事を掲載した、

と言う。

私と同じように多くの反原発派の人々はマスコミ新聞を読んでいない。読んでいるのは毎日といえども保守的な高齢者だ。但し、社会的地位、影響力はかなり強い。このような人たちはまず、同室のホームページは読まない。読むのは、かなり穏健な反原発に関心のある人たちだ。
従って、同室が毎日新聞の同記事が反原発運動に与えた再稼働反対運動への妨害効果を心から最小限にしたいのなら、毎日新聞に訂正記事を掲載させるか、このことが力関係で不可能であるならば、自らの意思ですぐできる毎日新聞への抗議の意志と訂正、謝罪要求を、同室のホームページに掲載すべきだ。

このことを実行しないことは、伴英幸氏が、マスコミとの闘争を回避し、人々に再稼働容認の意識を植え付け、
他方で再稼働に関して関心の高い、広い意味での再稼働反対の人々には、同室が再稼働に反対しているのだよ、と言うポーズだけを見せびらかしていることになる。

二枚舌だ。反対運動内では反対し、世間の人々には反対運動を妨害する、裏切り行為。

以上の批判は、伴英幸氏の311福島以降の言動、ICRPに対する評価、崎山医師の発言などに疑いの念を抱いていることが、背景としてある。

以下参考資料

毎日新聞記事

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原発規制基準:新基準決定 4社、申請「先陣争い」 識者の話

毎日新聞 2013年06月20日 東京朝刊

 ◇再稼働で安全性競え−−21世紀政策研究所・澤昭裕研究主幹

 早期の再稼働が必要だ。電気料金が安くないと、民間は消費や投資にちゅうちょしてしまう。原発の安全性向上のためにも運転した方がいい。発電所が動かないと現場の士気が維持できないし、原発が動く緊張感の中で、電力会社が安全技術を競争することが重要だからだ。一方、エネルギー政策の中で、中長期的に原発をどう位置づけるかは、まだ検討されていない。原発は大事故が起きると巨額の損害賠償が発生し、民間の手に負えなくなる。国策として原発維持を決めるなら、事故時のリスクを官民でどう分担するのかの議論が必要だ。また、安全性を高めた原発は(事故に備えた)保険料を安くするなど、安全性向上を競争するような仕組みを作る必要がある。

 ◇対策猶予期間は問題−−原子力資料情報室・伴英幸共同代表

 いいかげんな状態で再稼働すれば、福島事故と同じことが起こるのではないかと心配だ。新規制基準をクリアし、地元の了解も得られる原発については、再稼働はやむを得ない。ただ、事故時の対応に必要な第2制御室の設置などに猶予期間があるのは問題だ。設置が完了するまで再稼働を認めるべきではない。活断層や原発の耐震安全性の問題もある。規制委の指摘に反論するため、電力会社は「活断層ではない」と証明しようとしているが、現在の知見では証明できないはずだ。「疑わしいものは活断層とみて対応すべきだ」というのは、規制委が言い出したことではなく、原子力安全委員会からの大原則。電力会社はこの原則をまだ理解していないのではないか。

―――ここまで―――




同室「再稼働反対声明」

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ここから―――

新規制基準施行に際し、改めて原発からの撤退を訴える


2013.7.8

NPO法人 原子力資料情報室

共同代表 山口幸夫、西尾漠、伴英幸


本日、電力4社は10基の原発再開へ向けた申請を行った。12日には九州電力が玄海原発2基の申請を行う予定だという。原子力資料情報室は電力各社の申請に抗議するとともに、改めて原発からの撤退を強く訴える。

原子力資料情報室はまた、特定安全施設の設置に猶予期間を設けたことに強く抗議する。この期間に過酷事故が起きれば、電力各社も原子力規制委員会も責任ある対応がとれないことは明白である。

また、原子力災害対策の範囲は拡大されても、いまだ対策計画ができていない自治体もある上に、数十万人もの避難計画の実効性はない。原子力規制委員会が原子力災害対策計画の策定を地方自治体任せにし、審査対象から外していることは、福島原発事故を受けた後の原子力規制のあり方として一貫性を欠くものである。

さらに、立地審査指針を廃止したことも問題だ。廃止の理由は、福島原発事故の結果を反映させると、非居住区域を大きく拡大しなければならなくなる、つまり、原発の廃止か住民の立ち退きのどちらかになるが、これは現実的ではないというものだ。このことは立地審査指針を残せば、原発の廃止しかないことを意味している。

新基準でも過酷事故のリスクが下がっているわけではない。100万炉年に1度の確率でセシウム100テラベクレルの放出が起きることを許している。共通要因故障を考慮すれば確率はもっと高くなることは明らかだ(日本の実績では500炉年に1度である)。セシウム以外に希ガスやヨウ素などの放出は避けられない。この事故が住民に深刻な被ばくを負わせることになる。このような事故を潜在的に容認する原発の運転はとうてい認めることができない。

改めて原発の廃止しかないのだ。

―――ここまで―――


非常に稚拙な文章だ。



・猶予期間を設けたこと

・対策計画ができていない自治体もある

・審査対象から外していることは

・立地審査指針を廃止したことも問題だ


新指針自体が原発の安全を保障していないことをまず、簡潔に述べるべし。

この文章は、あれもある、これもある、と皮相な問題点を羅列しているだけ。

また、なぜ再稼働を急ぐのかの分析がない。我々に「電気料金の値上げか」「再稼働か」を迫っているのだ。
これを克服するためには、原発事業=廃炉事業と発電事業を分離し、脱原発に進む以外にないのだ、と言うことを国民に訴えるべきだ。

電気料金の値上げ、ではなく、廃炉費用と福島の人たちへの補償費用という明確な負担金額を算出し、国民を説得しなければならない。