【ソウル聯合ニュース】外貨獲得のため海外に動員された北朝鮮労働者の「強制労働」が問題視される中、ロシア沿海地方に派遣された北朝鮮労働者の劣悪な労働環境に関する報告書が発表された。
李愛俐娥(イ・エリア)早稲田大韓国学研究所常任研究員・客員教授とイ・チャンホ漢陽大グローバル多文化研究院研究教授が4日に発表した報告書によると、沿海地方に派遣された一般的な北朝鮮労働者の税金と社会保険料などを除いた年間収入は200~3000ドル(約2万4200~36万3000円)水準だという。
一般的な北朝鮮労働者は北朝鮮を出発する際に交通費やビザ発行手数料、食費などの名目で約1000ドルの借金を負う。
また、毎月約240ドルを国に支払っているという。さらに報告書は、ロシア企業による賃金未払いも多く、北朝鮮労働者や管理会社は未払い分の賃金を受け取るため現地の暴力団員を雇うなど非合法的な手段も取っている指摘した。
北朝鮮当局は労働者が資本主義に染まることを恐れ、互いに監視する態勢を敷いているとされる。
だが、劣悪な労働条件に置かれた労働者とは違い、北朝鮮の建設会社社長や幹部らは労働者から賄賂を受け取るなど不当な方法で年間5万~10万ドルを稼いでいるという。
両教授は昨年9~11月に3回にわたり沿海地域を訪問。現地調査や北朝鮮脱出住民(脱北者)へのインタビュー、専門家によるワークショップを行い、報告書を作成した。
イ教授は「北朝鮮労働者の海外派遣は強制と自発的な選択の両面がある」とした上で、「『人権侵害』や『自由労働』など一方的な見方では(実態を)正確に把握できない」と指摘した。
北朝鮮の人権問題を担当する国連のダルスマン特別報告者はこのほど行われた記者会見で、北朝鮮当局が外貨獲得のため5万人以上の労働者を海外の鉱山や建設現場などに派遣していると明らかにした。