高速鉄道に続き、原子力発電所の分野でも中国の世界市場進出が加速している。5年前まで韓国から原子力発電所の設計・管理技術を学んでいた中国が、今や先進国を本格的に攻略し始めているのだ。
世界最大規模の国内市場と政府の多角的な支援、膨大な資金力などを武器に、中国の国営原発企業が世界市場を掌握するのは「時間の問題」との見方も出ている。韓国は2009年、アラブ首長国連邦(UAE)に韓国の開発した原子力発電所(APR1400)4基を輸出したが、その後6年間で追加受注は「0件」だ。このままでは中国に押されて世界市場での居場所を失うのではないかとの懸念も出ている。ソン・ヤンフン仁川大学教授は「韓国の原発事業が輸出ビジネスとして飛躍するのか、国内向けにとどまるのか、重大な岐路に立っている」と指摘する。
■中国、原発を輸出産業として集中育成
中国は1990年台から独自開発による原発の研究を重ねてきたが、2000年台はフランス、カナダ、米国、ロシアなどから原発を輸入していた。安全性や経済性が大きく劣っていたからだ。しかし12年、米国、フランスの設計概念を基に研究を重ねて「ACP1000」という原発の開発に成功し、「独自原発」時代を切り開いた。昨年登場した原子炉「華竜1号」は安全性が大幅に強化され、韓国製原発よりもずっと優秀だと評価されている。