大阪朝日新聞 1942.1.23(昭和17)
『大東亜建設宣言』に応う
わが大理想を安南人に浸透 仏印
【サイゴン本社特電二十二日発】東条首相の施政方針演説は仏印にも多大の反響を喚び二十一日の夕刊新聞のトップを飾った、すなわち東条首相は今次大東亜戦争が過去の米英のなせるが如き侵略戦争とは全く揆を異にするゆえんを明かにし、日本帝国は米英らが非難する如き人種闘争の様相をもつものでないと述べたことに注目している
仏印千八百万の安南人が一昨年九月わが軍の仏印進駐当時日本軍の南方進出によってついに積年の欧米侵略主義排除と東亜民族解放問題が解決を与えられたものとひそかに待望しわが軍進駐当時に仏印内に燎原の火の如き安南独立運動が展開されたのは記憶に新しいところであるが、当時政府は複雑な国際情勢に鑑みて心中ひそかに期していた東亜開放の大理想を全世界に闡明することを差控えたため結局仏印内各地に蹶起した勇敢なる安南独立党の志士は弾圧に沈黙、一部安南人の間には東亜解放を目ざす日本の大理想に一抹の疑惑を持つに至ったものも少くなかったが、今や東条首相らにより議会の壇上から全世界に向って明白に闡明した大理想を知るにおよんで深い感動を受けたことはいうまでもなく、大アジヤの黎明はこの日より始まるとさえ感激している
仏印当局も日本のこの不退転の大理想の前に反省を求められたことはいうまでもなく仏印内になお残留して甲斐なき蠢動を続けているド・ゴール派にとって東条首相のこの傲然たる宣言は最後の覚醒に一大警鐘となって響いたであろう
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