韓国において、「親日」印は社会的な死亡証明書だ。親日派の烙印を押された春園・李光洙(イ・グァンス)の遺族は、韓国を離れざるを得なかった。しかし今や、韓国民族主義の根底にある被害者意識を乗り越えるべき時になった。産業革命と民主革命を実現した韓国が、過去史のせいで未来に向けて前進しないというのは、賢明な選択ではない。閉鎖的な韓国民族主義と極右的な日本民族主義が敵対的共存関係を続け、双方の社会の退行をあおっている現実も、深刻な問題だ。韓日関係行き詰まりの決定的責任は日本の安倍政権にあるが、慰安婦問題をはじめ、植民統治をめぐる真の謝罪を日本が最後まで拒否するならば、それは結局日本という国の「格」にとって、致命的な欠陥となる。過去を謝罪したドイツとは逆に、日本は世界のリーダーになる道から遠ざかり、日本の負担として残るだけだ。
朴槿恵大統領が歴史名分論を控えたのは良かった。経済はもちろんだが、北朝鮮の核の危機や統一、中国の「大国崛起(くっき)」を考慮すると、対日関係の重要性はますます高まっている。もし近い将来、日本側が慰安婦問題で進展した案を提示するなら、韓国側も前向きに対応するのが良い。親日問題は、究極的には「克日」で解決すべきものだ。韓国が日本よりも豊かで健康な民主社会になるとき、親日の悪夢は永久に消える。壬辰倭乱を省察した柳成竜(ユ・ソンリョン)は、「日本と近しく」という申叔舟の遺言を『懲ヒ録』(ヒは比の下に必)の冒頭に載せた。血と涙の遺言は、21世紀の今も有効だ。日本という国に重ねた烙印を取り去り、自らと同等の隣国として共に未来へ進んでいかねばならない、ギリギリの瞬間が来ている。