ラグビー:完売、完売…トップリーグ売れ行き10倍
毎日新聞 2015年11月06日 12時20分(最終更新 11月06日 17時45分)
◇「五郎丸」のヤマハ発動機など「チケット」問い合わせ続々
ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会1次リーグで南アフリカを破るなど歴史的な3勝を挙げた日本代表の活躍で、13日に開幕する国内最高峰のトップリーグ(TL)もかつてないほど活性化している。TL委員会の太田治委員長によると、先月10日の入場券発売開始から10日間の売れ行きは前年の10倍以上。一部試合はすでに完売となるなど、W杯で巻き起こったラグビー人気の追い風を受けている。【大島祥平】
特に人気なのがイングランド大会でドリームチーム(ベストフィフティーン)にも選ばれ、世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」のレッズ(オーストラリア)への加入が決まったFB五郎丸歩(29)が所属するヤマハ発動機の試合。初戦は14日、名古屋市のパロマ瑞穂ラグビー場(約1万5000人収容)でトヨタ自動車と顔を合わせるが、前売り券は完売。その後も既に完売状態に近い試合が多い。ヤマハ発動機ラグビー部広報の長谷川仁さんは「ファンクラブの個人会員は毎年2000人くらいだったが、今年はW杯の南ア戦後に急激に増えて3000人を超えている」と話す。
ヤマハ発動機以外の試合も好調で13日に東京・秩父宮ラグビー場であるパナソニック対サントリーの開幕戦は予定していた前売りの枚数は完売。追加販売で対応しており、地方開催の試合も問い合わせが相次いでいる。W杯前に日本代表プロップの畠山健介(30)=サントリー=が「ラグビーを知らない人にも一度見てもらえれば絶対に面白いと言ってもらえるはず。自分たちが結果で示すしかない」と話していたように、選手たちは、W杯で自らの力で注目も勝ち取った。
TLは例年8〜9月に開幕してきた。昨季(2014〜15年)はW杯前年として、注目度が上がり、プレーオフを含めた観客動員が過去最高の39万6421人を記録した。しかし、昨季のリーグ戦は112試合。今季はW杯イングランド大会があり、開幕が11月となったことに加え、来年2月から日本を拠点にした「サンウルブズ」がSRに参戦するために日程も短縮され、リーグ戦は半減の56試合だ。それでも、今季は観客動員数の目標を過去最高の40万人に設定している。
この人気をブームに終わらせないためにも、国内最高峰リーグであるTLは今後の試合内容が重要となる。ヤマハ発動機の清宮克幸監督は「W杯を見て新しくTLに来られるお客さんは南アフリカ戦をベースに考える。あの試合のレベルに近づくように努力しなければ」と気を引き締める。
かつては大学ラグビーが人気をけん引して早明戦などでは、解体された旧国立競技場に満員の6万人を超える大観衆を集めた。人気再燃の機運を逃さず、19年に日本で開催されるW杯につなげられるか。太田委員長も「いまはバブル。これが定着化しないと意味がないし、そのための取り組みを考えていかなければ」と気を引き締める。