2015-11-06
■[雑記][TRPG]リプレイ本500冊以上を読んだ私が独断と偏見で選ぶベスト10(+2)
なお、カウントしたのは約一年前で、その時点で文庫本だけで500冊*1を超えていました。
あのあとSWが一冊見つかったので、合計で501冊のリプレイ「文庫本」を所持していたことが判明しました。
つまり、A5判と新書はまた別にあります……
(しまっちゃったので数えませんが) pic.twitter.com/oZjDPeeUMO
— しじゅうし (@shijuushi) 2014, 11月 10
リプレイ本の定義
TRPGなどのゲームをプレイした様子を文章に起こしたものがある書籍の内、タイトル又はサブタイトルに「リプレイ」もしくは「replay」と記載があるもの。
つまり、現代忍術バトルRPG シノビガミ -忍神- (Role&Roll Books) (Role & RollBooks)はリプレイ本に含まれませんが、シノビガミリプレイ シノビガミ弐 刃魔激突 (Role&Roll Books) (Role & Roll Books)はリプレイ本に含まれます。
またこの定義のため、コクーン・ワールド・ライブノベル (角川スニーカー・G文庫)はリプレイ本に含みません。
選定基準
実際に読んだことのあるリプレイ本から、タイトルにあるように独断と偏見*2で選んでいますが、以下のルールに基づいています。
- 1冊単位やエピソード単位の選考ではなく、シリーズ物はまとめて一つとしてカウント
- 同タイトルの作品が複数レーベルより出版されている場合は別扱い
- 短編集については、エピソード単位での選考
- 同一作者のリプレイからは、複数作品を選定しない
また、同人リプレイ本は定義上も除外されておりませんが、自分が購入・所持をしていないために結果として選考対象外になってます。
10位 ダブルクロス・リプレイ・オリジン 偽りの仮面 (富士見ドラゴンブック)
ダブルクロス・リプレイ・オリジン 偽りの仮面 (富士見ドラゴンブック)
- 作者: 矢野俊策,F.E.A.R.,しのとうこ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2005/06/28
- メディア: 文庫
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矢野俊策氏はギミックで奇をてらうように見せかけて、結局のところ王道シナリオが大好きっぽい(勝手な憶測)ので、どうしても全体として単調なお話になってしまいがちなのですが、プレイヤーと上手く協力して設定に深みを持たせて作り上げたいい作品だと思います。隼人と椿はホント良いキャラだよね。
9位 ソード・ワールド2.0リプレイ from USA(1) 蛮族英雄─バルバロスヒーロー─
アメリカ人とのハーフであるベーテ氏の経歴を活かして、戦闘、戦闘、また戦闘という感じで勢いが出る作りになっているのは非常にいいと思います*3。
そして、戦闘前のロールプレイ部分ではかっこ良く決められても、ダイス目やウィストの前ではカッコ悪いアンセルムは相当いいキャラしてると思います。ただ、ヤールギュレシ成分は本当に必要だったのか。
8位 サタスペ リプレイ アジアンパンクGO!GO! (Role&Roll Books) (Role & Roll Books)
サタスペ リプレイ アジアンパンクGO!GO! (Role&Roll Books) (Role & Roll Books)
- 作者: 河嶋陶一朗,冒険企画局,速水螺旋人
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2009/04/27
- メディア: 新書
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ギャグ要素多めでサタスペ独特の雑多な雰囲気も匂わせながらも、最終的にシリアスなストーリーとして完成していてお見事。ソニアかわいいよソニア
ただ、ヒミ子ちゃんの正体はあまりにもヒドすぎます(褒めてる)
7位 瓦礫の都市の煌少女―Replay:ゲヘナ アナスタシス (ジャイブTRPGシリーズ)
瓦礫の都市の煌少女―Replay:ゲヘナ アナスタシス (ジャイブTRPGシリーズ)
- 作者: 田中公侍,グループSNE,友野詳
- 出版社/メーカー: ジャイブ
- 発売日: 2006/06
- メディア: 文庫
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ゲヘナのリプレイは少数ながらもきちんとまとまっているものが多いのですが、その中でのイチオシはこれですね。
特に2巻でのエピソード二つ(3話編成ですが実質2話相当)は、どちらもゲヘナ世界を強く感じさせ、頽廃的世界の残酷さをよく表してるシナリオだと思います。
獣甲白炎術士というサンプルキャラにはない組み合わせながらも、圧倒的タフさを誇る主人公ラシーダは結構衝撃的でした。でも、確かによく考えると、硬い回復役って他のTRPGでは珍しくもなんともないですよね。ラシーダとアル、メリナとケナンのそれぞれの関係性も惹かれますし、その最後も少し悲しげながらもいい結末になってます。
6位 ナイト・テイル―Replay:真・女神転生TRPG 魔都東京200X (integral)
ナイト・テイル―Replay:真・女神転生TRPG 魔都東京200X (integral)
- 作者: 西上柾,朱鷺田祐介
- 出版社/メーカー: ジャイブ
- 発売日: 2008/05
- メディア: 文庫
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主人公の古代は、題材の「女神転生」に則って女神として始まりながらも、最終的には心を通わせた友人と「合体」して○○神◯○◯◯◯◯になるという流れはさすがに当初から予定していたかどうかは分かりませんが、すごくメガテンっぽいと思いました*4。このリプレイはかわいい女の子がたくさん出てきておりまして、それを彩る逢魔刻壱先生のエロ可愛いイラストも大変魅力的な女の子重点の作り……
かと思わせておいて実は、このリプレイでの一番魅力的なキャラは宮下さんでしょう。生真面目系で決めるところはきっちり決める公務員キャラっていそうでなかなかいないと思います。特に【財力】にチェックを入れて給料の3ヶ月分をプレゼントするシーンには唸らさせられました(よりによってそこかよ)。
5位 ダブルクロス・リプレイ・トワイライト 東邦の快男児 (富士見ドラゴンブック)
ダブルクロス・リプレイ・トワイライト 東邦の快男児 (富士見ドラゴンブック)
- 作者: F.E.A.R.,田中天,しろー大野
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/09/20
- メディア: 文庫
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この作品の魅力は、何と言っても稲葉義明氏が演じる天花寺大悟のキャラクターに尽きます。もちろん書籍にする上での演出は多分に含まれているでしょうが、こんなに豪快でカッコいいロールプレイをずっと連続してやり続けられるのは本当に凄いと思います。
田中天氏も若干プレイヤー寄りに判定を裁定しがちなところはあるものの、どのシナリオも天花寺大悟というキャラクターを十二分に活かせるような作りになっているだけでなく、脇を固めるキャラクターの見せ場も忘れない素晴らしい構成になっています。ただ、ちょっと破天荒すぎるところはご愛嬌。
4位 颯爽!デザートナイツ―Replay:エムブリオマシンRPG (integral)
1巻の最初の方で「テーマは笑えるギミック」と述べているように、確かにこの作品では色々なギミックが出てきます。そのそれぞれの設定も(世界観的にはともかく)システム的には非常に面白いものとなっています。
さて、どうして清松みゆき氏はこのようなギミックを設定したのでしょうか? 私はこう推測しています。プレイヤーとガチでやり合いたかったからだと。
エムブリオマシンのメインはEMと呼ばれるロボット同士の殴り合いで、その戦闘では2手順分の行動を相談無しで事前にメモ*5し、それをいっせーのせで公開してGMもPLもメモしたとおりに行動を行います。GMは敵側全てを操るのに対し、PLは1体だけを扱うのでどうしても連係面に差が出るのですが、それを見越してGM側には「機体をPC側より1機程度少なくする」とか「GM側には戦闘技能*6を持たせない」とかの指針がルールブックには示されています。
ですが、こうなると多数側が戦力的に有利なのは当たり前なので、それでは面白く無いと清松氏は考えたのかもしれません。とはいえ、指針を無視してPC達をただ全滅させてもGMの自己満足にしかならない…… と、そこで重要な役割を果たすのがギミックになります。
ギミックの詳細は1番のキモなので中身を読んでもらうことにして、GMのやり口を物語るやりとりの一つを紹介します。
(GMに対するPLの嘆き)
ブラッド そのルー・ガルー*7の弱点排除に徹した改造はなんですか?(笑) 遠慮とか慎みとかありませんか。 ダニーロ 聞くな。こういう人だ。 颯爽!デザートナイツ―Replay:エムブリオマシンRPG (integral) 65pより
第1話からこの有様です(笑)。実際にリプレイ中でもミスはもちろんあるのですが、ギミック部分を除いた戦術レベルの手加減を清松氏は一切していないように見えます。このリプレイの一番の見所は、GMであり作者である清松氏だと思うのです。
3位 ソード・ワールド2.0リプレイ 新米女神の勇者たち(1) (富士見ドラゴン・ブック)
ソード・ワールド2.0リプレイ 新米女神の勇者たち(1) (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: グループSNE,秋田みやび,中島鯛
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2008/04/19
- メディア: 文庫
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秋田みやび氏といえば、もちろんへっぽこーずも捨てがたいのですが、ストーリー全体の出来から言うと新米女神の方が上回ると思います。
ただ、それは逆に言うと当たり前で、初リプレイとなるへっぽこーずの時とは違って、よほどの事がなければ途中での打ち切りはないと想定されるため、綿密にストーリー構成が出来たという点もあるのかなと。
とはいえ、ジークをはじめとする各キャラクターの成長やタイトルにもある新米女神との関係性、そしてラスボスとの対峙までしっかりと描き切ったまさに王道of王道のリプレイだと思います。
2位 ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(1) 星影の魔都 (富士見ドラゴン・ブック)
ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(1) 星影の魔都 (富士見ドラゴン・ブック)
- 作者: F.E.A.R.,加納正顕,片桐いくみ
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2010/02/20
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声優の若林直美氏がプレイヤーとして参加していることでも知られている「デザイア」です。
最初は「3rd Edition」展開後のリプレイ2作目からもうファルスハーツ視点かよとの懐疑的な姿勢だった自分なのですが、ファルスハーツならではのキャラクター設定とキャラクター同士の関係性、そしてPC側のキャラクター設定に対して迷いを抱かさせるように真正面から直球を投げ込む加納氏のシナリオを見せられるに従って、完全にのめり込んでしまいました。物悲しい設定をされてしまったキャラの多いNPC達も、シナリオを彩るアクセントになっています。
自分はこの作品が好きすぎて、UGN視点でアニメ化した1話の妄想すらするくらいです。アニメ化したら一番人気となるカップルは、賢人(真)×雪村だと思います(オイ)。
1位 魔弾の射手―メックウォリアーRPGリプレイ集〈1〉 (富士見文庫―富士見ドラゴンブック)
魔弾の射手―メックウォリアーRPGリプレイ集〈1〉 (富士見文庫―富士見ドラゴンブック)
- 作者: 黒田和人,グループSNE
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 1995/12
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簡単に言うと、メックウォリアー版特車二課です。主人公のサモンジは、はっきり言って後藤隊長まんまですからね(笑)。
メックウォリアーはバトルテック部分の戦闘に時間がかかるので、ストーリーパートはどうしても単純になりがちなんですが、その限られた紙面の中でも世界観の雰囲気が伝わってくる作品になってます。
PCは本来ならメックのパイロット役と整備や偵察などをする裏方役の2人を作成するみたいなのですが、キャラ数が一気に多くなってしまって個性が埋もれるのを危惧したのか、パイロットも裏方も両方できるキャラとしてPCが作成されています。二人分の能力が一人に集約されているため、PC4人でほとんどのことをこなせるような作りになってます。そのおかげか、
- 昼行灯だけど決めるところは決める(?)サモンジ隊長
- 人もメックも修理してしまうメンバー1の良心、ソンドラさん
- 生身では最前線で偵察、メックに乗ってはブルファイターでやはり最前線に立ち続けるイワン
- メンバー最年少ながらも射撃の腕は一番、だけど戦闘では不甲斐ない所が目立つロリ巨乳のレベッカ
と個性派が揃っており、NPCもモリ大佐やケィリー大佐、ウィーナー君や守護天使*8の面々、親バカ大統領など、シリーズ4冊なので個々の出番は少ないはずなのに、みんなキャラ立ちしています。
戦闘シーンももちろんいいのですが、最終巻のライフルマン全力射撃、目標値全て10以上をすべて命中させたシーンは、世界のバトルテック戦闘歴史上、一番ライフルマンが輝いたシーンではないでしょうか(それ言い過ぎ)。
ただ、このリプレイには非常に大きな欠点があります。このリプレイに使われたサプリメントが、いろいろな事情で日本語版は出なかったんですよね……
ここからは、辛うじてトップ10に入らなかった、と言うよりは、単に紹介したいだけの2つを番外として書かせていただきます。
番外1 クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
- 作者: 内山靖二郎
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/12/12
- メディア: 単行本
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這いよるイラストレーター狐印氏を起用して、まさしく狙ってる感があるクトゥルフのリプレイです。その因果か、ニャル子さんアニメのSAN期*9にもメインキャラの2人がモブとして、もう1人がキャラシーで登場しています*10。
さて、クトゥルフといえば有名なSANチェック…… もとい正気度ロールで、PCが追いつめられていく所を楽しむという要素も大きいため、一シナリオでキャラがお亡くなりになる(正気度を完全に失う)展開も少なくないのですが、これは明確にキャンペーンを意識したシナリオの構成になっています。
女子高生やメイドなど従来のクトゥルフにはあまりないキャッチーな要素を取り込んで敷居を低くし新規ユーザーを取り込みにかかりながらも、結構ボスのやってくることはエグく、イラストから緩い雰囲気を想像してるとホラー要素に叩きのめされる作品でもあります。
ただ、これに限らず大判リプレイ全般に言えることなんですが、単価が高すぎるんですよね。文庫なら約3冊分、大判ルルブなら約0.5冊分の価格は、リプレイとして購入をお勧めするにはあまりにも敷居が高すぎます。
番外2 グランクレスト・リプレイ かけだし君主の魔王修業 (1) (富士見ドラゴンブック)
グランクレスト・リプレイ かけだし君主の魔王修業 (1) (富士見ドラゴンブック)
- 作者: 中村やにお,モタ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2015/04/18
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おっさんだからどうしても古めの作品が多かったので、最近の作品も紹介しますね。
この作品では、アイドルマスターミリオンライブの所恵美役で活躍している*11藤井ゆきよ氏がPLとして参加しています。
このリプレイの魅力は何と言っても藤井ゆきよ無双に尽きます。このキャラクター設定ならこうするという判断をしたら最後、あとは止まらずにその方向にひたすら爆進するという電車道スタイル。こういうプレイは実にリプレイ向き*12ですよね。
実際にTRPGをプレイしたことがある人は分かるとは思いますが、このキャラならこうだ、というところまでは誰でも考えるところだけど、「さすがにこういう方向だとGMはシナリオ用意できてないに違いない」とか「自分一人だけ見せ場いっぱいもらってもなぁ」とか考えてしまい、キャラの行動を萎縮させてしまった経験がある人は結構いると思います。
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