日本経済を苦しめた円高・デフレの原因は、日本銀行がマネタリーベースを出し惜しみしていたことにある、という主にリフレ派が唱える「理論」があります。それを裏付ける証拠の一つとされるのが、いわゆる「ソロスチャート」です。
為替の決定理論を整理しておこう。数年間のスパンで見れば、通貨供給量や金利差を重視する「マネタリーアプローチ」の説明力が高い。これを実務の世界で応用しているのが、有名な投資家ジョージ・ソロス氏だ。「ソロスチャート」と呼ばれる各国のマネタリーベース(中央銀行が供給する資金)の比に大体為替は落ち着くというのは、マネタリーアプローチと本質的に同じだ。
そこで、日本と同様、スイスフラン高・デフレに見舞われているスイスについて見てみます。
リーマンショックが発生した2008年9月を基準にすると、マネタリーベースはユーロが約2倍、スイスが約10倍になっています。
ソロスチャートに従うと、スイスフランは対ユーロで大幅に減価するはずですが、現実にはその逆が生じています。
大幅なスイスフラン高を反映して、インフレ率も低下しています(デフレ)。
SNBは「利下げペースが遅い*1」「マネタリーベースを出し惜しみしている」と非難されるべきなのでしょうか。
現実が間違っているという可能性もありますが。
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