グランプリファイナルの男子フリースケーティングが14日、(現地時間13日)、スペインのバルセロナで行われ、SPトップだった羽生結弦(20歳、ANA)が、自己ベストを更新する194.08点をマーク。合計288.16点で連覇を果たした。
過去にGPファイナルの連覇を達成したのは、エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)と、パトリック・チャン(カナダ)の2人だけで、日本人として初。2位はハビエル・フェルナンデス(スペイン)、3位にはセルゲイ・ボロノフ(ロシア)が入り、SPで2位だった町田樹(24歳、関西大)は精彩を欠き、合計216.13点で6位に終わった。羽生は、4回転ジャンプをすべて成功させ、完全復活と共に黄金時代の到来を印象づけた。
天才ほど、難解なことをいとも簡単に見せる。
冒頭の4回転サルコウ。難易度の高いジャンプは、羽生は涼しくやった。続く、4回転トゥーループも美しく決めるとバルセロナの会場は大きな拍手に包まれた。
元全日本2位で現在、WEBサイト、アスリートジャーナルで評論活動もしている中庭健介氏は、この2つの4回転ジャンプを「ジャンプの次元が違ったと思います。ゾクっとするような4回転ジャンプでした。GOEで、ジャッジの多くに3がつきましたが、これは驚くような評価です。ルールブックで、加点に関する基準が定められていますが、ジャッジの方にそれほどの感動を与えたということです」と絶賛した。
羽生のジャッジ表を見ると、GOEと呼ばれ、加点される見栄え点は、この4回転サルコウには、9人のジャッジ中、4人が「+3」をつけ、4回転トゥーループには、9人中6人が「+3」と評価。それぞれ「2.43」、「2.71」と高い加点となった。
国際スケート連盟が明らかにしているGOEの採点基準は、以下の8項目で、その6項目以上に、あてはまっている場合、+3とされている。
1) 予想外の / 独創的な / 難しい入り
2) 明確ではっきりとしたステップ/フリー・スケーティング動作から直ちにジャンプに入る
3) 空中での姿勢変形 / ディレイド回転のジャンプ
4) 高さおよび距離が十分
5) (四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢 / 独創的な出方
6) 入りから出までの流れが十分(ジャンプ・コンビネーション/シークェンスを含む)
7) 開始から終了まで無駄な力が全く無い
8) 音楽構造に要素が合っている
中庭氏は、「高さ、回転力、姿勢、踏み切り、着氷に、一点の乱れがなく、柔らかく流れるような美しさは、ある意味、究極の形でしょう。4回転ジャンプには、肉体的な負担と、大きな緊張がのしかかりますが、それをまったく表に見せない演技でした。そこには余裕のある大人の美しさを感じます。五輪で金メダルを獲得した羽生選手からさらに大きな成長を感じます。特に着氷後の流れは特筆すべきもので人の心をつかむようなジャンプでした」と説明した。
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