熱海版 2015年11月06日
■国内第一人者 擬人化した動物、少女作品など出展
熱海市に住む羊毛フェルト人形作家鈴木千晶さん(42)が、今月中旬から東京都内の画廊で開く個展に向け創作に励んでいる。2012年の春、家族と一緒に熱海に移り住んだ鈴木さんは、羊毛フェルト立ち人形制作の国内第一人者。4年ぶりの個展となる今回は、擬人化した動物や少女などをかたどった魅力あふれる人形を出展する。
鈴木さんは兵庫県加古川市出身。15年ほど前、育児をきっかけに羊毛を使った人形作りを開始。次第に意欲が増し、個性的な空想的世界観を築きながら、独学による創作に打ち込んだ。軽い素材を使いながら、圧倒的な重厚感、存在感のある作風が評価されている。
熱海移住の転機は東日本大震災。当時、東京に住んでいた鈴木さんは“帰宅難民”を経験。家族と相談し東京から近く、自然豊かな熱海を新天地に選んだ。現在「羊毛倉庫」の名で活動。熱海を拠点に東京、横浜、名古屋、大阪、福岡で講師を務める。雑誌の連載や手芸用キットのデザインなども手掛けている。
専用の手芸針「フェルティング・ニードル」を巧みに操って羊毛を加工。針金や重りを入れて人形に仕上げる。ヒツジの本革を使うなど帽子、服、靴といった細部にまで気を配る。制作期間は人形1体に付き1週間はかかるという。「羊毛を使っているので、フワフワ軽いイメージになりがち。あえて『重力』を意識し、重みのある人形にしている」と創作へのこだわりを語る。
個展は13~27日、東京都中央区銀座の靖山(せいざん)画廊で開かれる。個展の初日は在廊予定。
【写説】魅力的な羊毛フェルト人形を手掛ける鈴木さん=市内の自宅兼工房