大人は去り、若者は立ち上る

以前何か世の中の移り変わりの話か何かをしていたときにちへ=サン( tommy_zina )がそっと貼ってくれた画像に、タイトルのようなことが書いてありました。

公私両面でもう下り坂に入った人間で、こんなに私自身こんなに美しく退いて行く余裕もなくてもっとじたばたするだろうと思うんですが。


前提

まず本題に入る前の前提として、2年半近く前に書いたこんな文章があります。

日本からはクラブカルチャーはなくなります

ここで書いたのは、だいたい以下のような内容でした。
・クラブカルチャーが規制されるのは身から出た錆
・表現の自由がどうとか言って納得してくれる人は逆サイドにはいない
・昼夜の別や場所の特性、騒音問題や近隣への配慮等も含めて
 政治的な立ち回りができないともうダメ
そしてこの「場を維持するための立ち回り」について先進的な取り組みを続けていたRe:animationについて取り上げています。この辺のことがずっと頭にあって気になっていてようやく今年、いろいろタイミングも合ったので第8回、中野では4回目の現場に潜入できました。

前フリが随分長くなりましたが、先日11/1に中野で大々的に執り行われたこの Re:animation 8 について思ったところや思い残したところ等について書きつけておこうというのが本記事の趣旨です。

それはそれとしてまずは、当日の演者各位、そして2フロアで回転する3400人を見事に無事故でさばききったスッタフ各位、そのスッタフ各位の熱意に答え続けた参加各位、お疲れ様でした。ありがとうございました。私自身は途中で退散せざるをえなかったのですが、勉強になりましたほんとに。全員が参加者であるという意識統一のもとで都心の駅前でクリーンなイベントを実現するばかりか今年は救護を要する方も0だったということで、これはアニクラの歴史、クラブカルチャーの歴史に残る偉業であると思います。

正直なところ、関係者に知人、友人もいて5日経過したいまもすごく「エモい」のは伝わってくるところなんですが、ここではあくまで外から観察した感じを書きます。悪しからず。

さて、以下本題です。


WIREとは根っこが違う

何を今更というのもあるかもしれませんが、やっぱり00年代のWIRE行ってた人間としてはやはり、現地に行ってみていろいろ勝手が違うなと感じるところがありました。

「都市型音楽フェス」という形で想像するのはいろいろ人によってあるとは思いますが、私の場合は自分で行った経験があるWIREを例にとると、あのへんは「都市」とは言っても都会のど真ん中ではなくてちょっと離れた広いスタジアム級の会場を使っていました。加えて、流れてるのは古今東西のクラブミュージックでした。

対してRe:animationは始まった経緯からしても志向してるサイズはもっと小さいところからで、文字通りに街中に入り込む形で行われておりかつクラブミュージックのモチーフを多用したエウレカセブンという特異なアニメ作品をベースとしたイベントを前身に持つとはいえ、あくまでもこれはアニメカルチャーの文脈に入るものでした。

というかね、DJ以外のクルーがステージに上がって煽りに来るというだけでも実は結構びっくりしてたんですよ、そうかこういうもんなのか……!って。

どちらがいいとか悪いとかではなくて、とにかく別のものであるという確信をあの日改めて強めることになりました。

このあたりについては過去の別のところの記事でちょうどちへ=サンの言葉が正鵠を射ていました。
例えばテクノやハウスのイベントで、かかっている曲を全部知っていますって人は普通はいないと思うんですね。そこで出会う音を楽しむというスタンス。アニクラ(アニソンのクラブイベント)はその反対で、知っている曲を聴きに来る雰囲気がある。
「いつか都庁前で」 アニソン×ダンスDJイベント「リアニ」ができるまで


クラブカルチャーとアニメカルチャーはクロスオーバーしていたか?

「してたのだろう」とは思います。クラブカルチャー寄りにRemixされたアニソンもかかってましたし、完全にクラブカルチャーをベースに持つアクトも複数いました、確かにいました。その意味ではきっとクロスオーバーしてたんだと思います。
とはいえしばらくどうも釈然とはしなくてこれをどう言葉に落としたものかと思案していました。開催が決まって陣容についての情報がちらちらと出てき始めていた頃、それを見て私は「アニクラにだいぶ寄せてきていたRe:animationに新たな転換点が来るかもしれない」と思っていました。終わってみて、その転換点を確かめられたかというと、私にはわかりませんでした。

先ほど挙げた同じ記事の中でちへ=サンはこんなことも仰ってます。
でもそれらが混じっていったら、アニソンだけ好きだった人が段々とキックの音が気持ちいいと思うかもしれないし、クラブに通っているけど恥ずかしくてアニメの話ができなかったという人も、ここで爆発してヲタ芸を打つのが楽しくなるかもしれない。その楽しみ方は自由にしてくれればいいかなと。
「いつか都庁前で」 アニソン×ダンスDJイベント「リアニ」ができるまで

ここには入ってない人種がいます。「クラブカルチャーに接してきていてアニメには今までそんなに接してなかった人」です。アニメ属性だけある人とアニメ・クラブ両方の属性がある人は入ってますが、クラブ属性だけある人は入ってません。

どちらのフロアで何が流れていても、両方のフロアを支配してるのはアニクラの空気であって、クラブカルチャーのそれではない。ただその中に、クラブカルチャーの雲がちらちら点在してるイメージ。このイメージが固まったときに、あーこれはもうきっと時代が変わったんだなと。

古いクラブカルチャーはもう都会で独力では陽の光を浴びられないものになったのかもしれません。

とはいえ室内や夜ではしぶとくまだまだ命脈を保っていて、それが今後どのように他のカルチャーやあるいはそもそも音楽に興味がない人々と折り合っていくのかというのも見ていきたいところです。


クラブカルチャーの未来は

冒頭で前提として2年半弱前に書いた文章を挙げました。あのへんについて何か印象の変化があったかなという点についてなんですが……やはり政治的な立ち回りの巧拙は生き残りのためのより大きなファクターになっていくだろうという確信は強まりました。Re:animationについては、あれだけ中野区サイドをしっかり味方に引き込んだ手腕たるや舌を巻くものがあります。リアニほどに運営をきちんとやれるところがもっと増えれば、よさこいに続く街にうまく溶け込んだイベントジャンルとして力を持っていくかもしれないなとも思いました。

ただ、いまはその前提としてやはりアニメカルチャーの占めるウェイトは大きく、アニメと直接関係ないジャンルに同じ方法論が使えるかというとそのへんは多分まだ誰もやってなくて未知数なんじゃないかなと思います。全国的に良きにつけ悪しきにつけアニメカルチャーが行政に流入しているところでもあり、流入が各地で同時多発している理由は経済的な期待感なのでしょうし、そういう意味ではすごくうまく時流に乗ってるわけです。

そんなこんなで昼間の野外フェスが生き残る道筋は見えてきてるように思います。Re:animationは道筋を見せてくれたと思います。これを手かがりにできるならして、室内や夜の世界も命脈を、それを保ち伸ばす道筋もついていけば寂しい思いはしなくて済むかもしれないと古い側の人間としては思っています。
それに際して私の微力が役立てられることがありそうなら関わっていきたいですね。できるだけ背後から。


Re:animation 8 の思い出と心残り

参加各位の思い出は #reani_dj タグTLに溢れるほど流れているのでそちらを。

これから書くことは各位が意識的に話題にしないようにしてたのかなと思ってますが、かといって誰も言わないのもまずいだろうと思って悪役になるつもりでいます。
#reani_dj タグTL、ちらちらっとやはりトラブルの火種めいたものはよく見るとありました。残念ながらルールを守れないクズがフロアで暴れて周囲ドン引きとか嫌な思いをした方がフロアを離れちゃった例と思われるものもありましたし、同じ場所で立て続けに数回突き飛ばされてその度に転倒してその度に助け起こされた、というのも見かけました。祝祭的な雰囲気の中で、自分が受けた被害がなかったことにされることに不快感をあらわにしておられる方もあったようでした。要救護者0は間違いなく歴史に残る快挙ですが、さらに上を見るならこうした未遂の事案についてのケアをどうするか、もうそろそろテーブルにのせられるのかもしれません。スタッフでもねーのにというスタッフ各位からの苦情があればそれは甘んじて受けますが(それ以外の奴に言われてもねぇ)

……個人的な思い出はやはり私のようなテクノおじさんの夢を乗せて大暴れしてくれたREV-TUNE=サンがあの場で存在感を出してくれたこと。都市型フェスで Techno の灯火が次々に弱まっていく中で、あの「俺がテクノだ!!!」は輝いてました、ほんとに。

Re:animation 9 かあるいは何か別の企画がどこかであるか、今後も動向を注視していきたいと思っています。

改めまして、いろんな形で関わった皆々様、どちら様も大変お疲れ様でした。ありがとうございました。