昔おじいさんとおばあさんがおりました。
(牛の鳴き声)おばあさんや山へ薪拾いに行くでおむすびを作ってくれろ。
はい今すぐ作りますよ。
はいおじいさんできました。
大きなおむすびありがとう。
はいいってらっしゃい。
さあアカ行くぞ。
(鳴き声)「あぁ〜今日も天気は上々じゃ」「薪拾いはいつものことよ」「いつものことよ」ハハハ仲のよいことじゃ。
ばあさんいただきますよ。
おぉうまそうなおむすび。
いただきま〜す。
おっあっあぁ〜。
あ〜こら待ておむすび!おむすびはコロコロ転がって穴にポトンと入ってしまいました。
あっばあさんが作ってくれたおむすびが…。
あ〜なんてこっちゃもったいない。
おじいさんは両手で穴を広げました。
ダ…ダメじゃ。
おじいさんただいまはおいしいおむすびをありがとうございました。
お礼のかわりにごちそうしますからどうぞ家に来てください。
シッポにつかまって目をつぶっていてくださいね。
そんな小さな穴に入れないよ。
さあ早くつかまって。
こんな小さな穴に無理じゃって。
うっあぁ〜。
おじいさんは言われたとおりにシッポにつかまりしっかり目を閉じました。
もう目を開けていいですよ。
(ネズミたち)「や〜れほいよいしょのほい」「百になっても二百になってもにゃんごの声は聞きたくないぞ」「とんとんかんかんとんかんかん」おじいさんが目を開けてみるとそこはネズミの屋敷で大勢のネズミたちが餅をついていました。
ネズミたちは歌いながら餅つきをし小豆餅や麦こがしなどを作っていました。
おじいさんどうか大嫌いな猫の鳴き声だけはマネしないでくださいね。
うん猫の鳴き声などマネするもんか。
おじいさんを座敷に上げるとネズミたちはつきたてのお餅やお酒をたくさんごちそうしました。
さあどうぞこちらのお酒も召し上がれ。
おぉこれはこれはいただきます。
おじいさんこっちも。
つきたての小豆餅ですどうぞ召し上がれ。
おぉこれはうまそうだ。
うんうまいうまいハハハハ。
そうしてそろそろ帰ろうとおじいさんが立ち上がると…。
おじいさんお好きなつづらをどうぞ。
えっ!すまんのう。
じゃあこれをいただくよ。
おじいさんそんな小さなつづらでいいのですか?ハハハこれで十分じゃよ。
ネズミはおじいさんを穴の出口まで連れてきました。
さぁおじいさん。
やぁ〜ありがとう。
おじいさんは家に帰るとおばあさんにネズミの屋敷に行ったことを話しました。
そしてネズミからもらった小さなつづらを開けてみました。
すると大判小判がザックザックと湧き出てきました。
それを見た欲の深い隣のおじいさんは…。
見たぞ聞いたぞよいこと聞いたぞ。
ばあさん山へ行くぞ。
でっかいおむすび作れ〜。
はいよ。
できたよじいさん。
ガハハハハ。
クロ行くぞ。
ガハハハハハ!おむすびじゃほれほれほれ〜。
大きなおむすびを無理やり穴に押し込むとネズミの出てくるのを待ちました。
そしてしばらくすると…。
おぉ〜早くごちそうしてくれ。
隣の欲深なおじいさんはネズミのシッポにつかまってネズミの屋敷へ行きました。
(ネズミたち)「や〜れほいよいしょのほい」「百になっても二百になってもにゃんごの声は聞きたくないぞ」これじゃこれじゃネズミの餅つきじゃ。
絶対猫の鳴きマネはしないでね。
「百になっても二百になっても」あれじゃあれじゃ。
大判小判がザックザクのつづらじゃ!座敷にいくつも積んであるつづらのうちどれが良いかと考えましたがそのうちみんな欲しくなってしまいました。
そこで猫の鳴き声をマネたらネズミがみんな逃げていくだろうその隙につづらをみんないただこうと…。
ニャオ〜!そのとたん辺りは真っ暗になりネズミたちは1匹もいなくなりました。
ウヒヒつづらはどこじゃ?イテッ!必死になってつづらを探しましたがどこにもありませんでした。
つづらはどこ…イテッ!つづらは…イテッ!つづ…イテッ!イテッ!それどころか帰り道もわからなくなって真っ暗な穴の中をあっちへぶつかりこっちへぶつかりして…。
つづらどこ…つづらどこ…。
ようやく穴から這い出ることができました。
痛い痛い…。
隣のおじいさんは家に帰ると布団をかぶって寝てしまいました。
欲をかいて人のマネをすると大変なことになるということです。
昔むかし甲州の山の中を旅の侍が通りかかったときのこと…。
こらそこな侍!うっ!えいっ!
(うめき声)これは…。
落ちてきたのは8尺ほどの片翼である。
侍は江戸にも名の知れた湯村温泉にやってきました。
ほう江戸から?さよう。
いろいろ温泉地を巡ってきたがこれほど癒やされる湯はござらんかった。
それはようございました。
この奥深い山に噂にたがわぬ立派な温泉地じゃ。
次の日侍が風呂で会ったのは薬を売りながら諸国を旅してまわっているという男でした。
立派な刀を片ときも離さないとは用心深いことですなお侍さん。
いやいや心配性でなハハハハ。
まあこの辺りじゃ時々もののけが出るらしいから用心に越したことはありませんや。
もののけとは物騒じゃのう。
へぇ腕に自信のありそうな武者を狙っては勝負を挑むとか。
そして戦利品のつもりか倒した相手の持ち物を奪っていくという話だ。
ほぉ。
雲行きが怪しくなってきた。
明日は嵐になりそうですね。
へぇ腕に自信のありそうな武者を狙っては勝負を挑むとか。
倒した相手の持ち物を奪っていくという話だ《奪うつもりが奪われてもののけは怒り心頭じゃろうな》あっ…。
次の日嵐の中を見上げるばかりの法師がやってきました。
こりゃ坊さん嵐の中山道を旅してきなすったか。
こんな日に山奥で温泉宿にたどり着くのは地獄で仏に会うようなものですな。
ハハハハ。
時に坊さんは武芸のほうも相当の使い手と見たが。
修行のために諸国をまわっている。
いまだ勝負に負けたことはない。
やはり。
さすればぜひお伝えしたいことがある。
うむ。
この付近の山奥には使い手と見れば勝負を挑んでくるたちの悪いもののけがおるそうじゃ。
うむ。
たちが悪いとな。
勝負に勝つと戦利品に相手の持ち物を持ち去るとか。
まるで盗っ人じゃな。
かく申す拙者も実はここへたどり着く前にもののけらしきものと出会ったのじゃ。
ほう。
しかしこいつは拙者が刀を振り回すと翼のようなものを残して消えてしまった。
一度も負けたことがないというがその刀傷を負わせた相手はどうなりましたか?勝負はまだ終わっていないのじゃ。
そこへたまたま通りかかった昨日の薬売りが岩陰から見ていました。
うわ〜。
〜うわ〜!ハァハァハァ…。
その後山にもののけが現れることはありませんでした。
侍ともののけの勝負は後にこの地の語りぐさとなりました。
以来湯治場は鬼の湯と呼ばれるようになりました。
侍は持ち帰った翼を天狗の翅と呼び家宝にしたということです。
昔むかしあるところにたいそう酒好きな男がおりました。
男は仕事もなく昼間から酒を飲んでは酔っ払って道で寝てしまうのんびりやでした。
うん?うん?ほお。
うっ抜けない何じゃこりゃ?突然頭から生えてきた草はみるみるうちに成長してあっという間に立派な大木になりました。
は!柿じゃ。
ハハハハたまげたのう。
こりゃなかなかいい柿じゃな。
そうじゃ。
女将さんよ。
オラの頭から柿をとってそれで1杯飲ませてくれ。
ああ立派な柿だねいいよ。
うまいな。
ひっく。
いっぱい飲んでいいよ。
まいどあり。
アハハハ。
男は店先で眠ってしまいました。
そこへきこりが通りかかりました。
ややこんな道の真ん中に怪しい柿の木あり。
よしわしが切っちゃろう。
きこりは大きなのこぎりを楽器のようにして男の頭の柿の木を切っていきました。
この柿はな…。
そうしてきこりは森の住みかへと去っていきました。
ところが…。
あ〜また寝ちゃったあれ?オラの柿は?女将さんよオラの頭からキノコをとってそれで1杯飲ませてくれ。
ああこりゃ珍しいキノコだよ。
たんと飲んでいきな。
うまい。
自分の頭に生えたキノコを自分で焼いて食う。
なかなか粋なことをするのうわしも。
アハハハ。
わ〜いわしゃいっぱい飲めて楽しいんじゃ。
よっとウフフフ。
(いびき)男はまた店先で眠ってしまいました。
(3人)イヒヒヒ。
イヒヒヒしめしめこんなうまそうなキノコ。
わしらのような悪いキノコ泥棒が。
放っておくわきゃないもんね。
(3人)イヒヒヒ。
(3人)せ〜のよいしょよいしょよいしょよいしょ。
(3人)よいしょよいしょ!
(3人)もう少しじゃ。
(3人)抜けたぞ〜。
(3人)わっしょいわっしょい。
悪いキノコ泥棒たちは大きな切り株を担いでねぐらへと帰っていきました。
ムニャムニャ…ありゃ?オラのキノコが。
うん?雨じゃあっ。
ゲロゲ〜ロ。
虹じゃ。
あ?うわ〜オラの頭に雨水が!あっウナギじゃ。
ドジョウです。
そうかたまげた。
こんなところにドジョウがすみついてやがる。
女将さんやオラの頭っからウナギをとってそれで1杯飲ませてくれ。
なんだってウナギ?そりゃすごいじゃないか。
ドジョウですけど。
そして男の頭のドジョウが評判となり村中の噂になりました。
(みんな)何じゃ何じゃ?男の頭の池に村人たちが集まりました。
ほれ〜見てみぃいっぱいおるじゃろう。
〜ハハハハ村のみんなが集まって楽しそうじゃのう。
そいじゃわしも。
わ〜い!アハハハ。
酒じゃ。
おじさんが釣れた。
楽しそうじゃのう。
うまそうじゃのう。
気持よさそうじゃのう。
眠そうじゃのう。
は〜感激じゃ。
わしの池でみんなが笑顔になっとるんじゃ。
これ以上の幸せはない。
あっ!池の水はすべてこぼれてしまいました。
干からびた池には誰ひとりとして寄りつきませんでした。
そして。
おじちゃんそのお花ちょうだい。
はいよお嬢ちゃんかわいいからおまけしちゃう。
男はぽっかり開いた穴を埋めるように花の種を植えて育てました。
わ〜。
ありがとう。
あ〜一生懸命働いたあとの酒は格別にうまいんじゃ。
それから男は花畑を村の人々に見せて楽しませたり自分の頭にごろんと寝転んだりしていつまでものんびり暮らしましたとさ。
2015/11/01(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字]
「おむすびころりん」
「鬼の湯」
「頭が池」
の3本です。お楽しみに!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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