「アートシーン」です。
あの印象派の巨匠モネが晩年「ああもっと若い頃に来ればよかった」と悔やんだある街があります。
そこで育まれた美の数々を紹介する展覧会からです。
これがモネが描いたその街の情景。
そう水の都として知られるヴェネツィアです。
きらめく水と光にあふれたこの街。
多くの画家が愛してきました。
500年にわたり培われてきたヴェネツィアの美のハイライトを紹介する展覧会です。
ヨーロッパと中東アジアを結ぶ東西貿易の一大拠点。
街の繁栄は芸術の世界にも黄金時代をもたらしました。
16世紀に花開いたヴェネツィア・ルネサンスです。
代表的画家の一人ロットの聖母子像。
ひときわ目を引く鮮やかな色彩。
当時の新しい技法油彩によるものです。
水の都ヴェネツィアでは湿気に強い油絵がいち早く取り入れられました。
ヴェネツィア・ルネサンス最大の巨匠ティツィアーノの作品。
迫害の中信仰に身をささげた聖女の姿です。
揺れ動く筆あと。
ティツィアーノは油絵の具特有のタッチを生かし人物の内面にまで迫る表現を生み出しました。
絶えず運河の水が揺れ動いていて光を反射してキラキラキラキラしてるわけですよね。
定まった形に何かが見えるというよりは常に揺れ動いているそしてきらめいているという事に対してヴェネツィア人は他の土地で暮らしている人より感受性が高かったのではないかとは言われますね。
豊かな富がもたらされたヴェネツィアでは人々の暮らしを彩る優れた工芸品も生まれます。
17世紀ごろに流行した婦人用の靴。
ヴェネツィア産の絹織物と金糸のレースをふんだんにあしらった豪華なつくり。
この地の工芸の粋を集めた一品です。
「ヴェネツィアの魔術師」と呼ばれたデザイナーフォルトゥーニのドレス。
シルクに特殊な技術で一面細かなプリーツが施されています。
光を反射するひだが運河の水のきらめきを思わせます。
忘れてはならないのがヴェネツィア・ガラス。
独自の高度な技が1,000年以上にわたり守り続けられてきました。
ガラス職人一族の14代目タリアピエトラのエレガントな瓶。
色ガラスと透明ガラスのしま模様は伝統技法によるもの。
卓越した技と現代の感覚が融合したヴェネツィア工芸の一つの到達点です。
実際絵画だけでももう十分楽しめるのでしょうけれどそこにガラスや衣類などの工芸品500年にわたる美のハイライトが集結してるっていう展覧会ですからきっと随分見応えのある展覧会になっているんでしょうね。
モネが惹かれた理由も分かる気がしますよね。
ではその他の展覧会をご覧下さい。
激しく地を踏み踊る人々。
唱えるのは「南無阿弥陀仏」。
鎌倉時代日本中を席巻した「踊り念仏」です。
その中心には一人の男の姿がありました。
時宗の開祖一遍上人。
その生涯を描いた国宝「一遍聖絵」が公開されています。
この聖絵は絹地に彩色を施した絵巻としては日本最古のもの。
全12巻が同時に展示されるのは初めてです。
絵は母を亡くした一遍が修行に出るシーンから始まります。
やがて念仏を布教する旅遊行を始めました。
これは遊行を始めた年に大阪の四天王寺に参った時の情景です。
一遍が手渡しているのは念仏札。
この札を胸に「南無阿弥陀仏」と唱えれば極楽往生できると説いたのです。
その熱心さに打たれ帰依する人々。
一人一人の表情まで丁寧に描かれています。
絵巻に臨場感を与えているもう一つの特徴が当時の建築や風俗の正確な描写です。
主人公としての一遍上人を描いているわけなんですが鎌倉時代におけるリアルな生活がここに非常にまるでにおいまで伝わってきそうな形で描かれているわけなんですね。
例えばこちらに第四巻の第三段「備前福岡の市」という市場のシーンが描かれております。
お金を持っている男性が女性から布を買おうとしているシーン。
貨幣経済。
13世紀に銭貨が流通をし始めて当時生活をするために市場が開かれそしてものの流通をしていたという事が非常に事細かく描いてあるんですね。
鎌倉に程近い片瀬の浜辺。
鎌倉入りを幕府の一行に遮られた一遍は浜にしつらえた舞台の上で踊り念仏を行います。
舞台を見上げ熱狂する人々。
この後踊り念仏は各地で一大ブームを巻き起こします。
16年にわたる遊行の旅は一遍の死によって終止符が打たれます。
51年の生涯でした。
その死を悼み集まってきた人々。
念仏によって分け隔てなく人々を救おうとした一遍。
その教えは多くの人の心に刻まれました。
その後3つの会場に分けて展示されます。
韓国の近海。
海底の古い沈没船から貴重な積み荷が見つかりました。
大量の「高麗青磁」です。
近年進められている海底調査の成果を日本で初めて紹介する展覧会です。
高麗青磁は10世紀から14世紀にかけ朝鮮半島南部で作られた磁器です。
その生産や流通の実態は長年不明でしたが調査から税や貢ぎ物としても使われていた事が分かってきました。
象嵌の高度な技法で花や鳥の絵柄が施された器。
献上品のごま油や蜂蜜を入れる器として使われていた事が分かりました。
「シルクロード」をテーマに創作活動を行う99歳の洋画家入江一子。
朝焼けに染まるイスタンブール。
シルクロードの鮮烈な色彩に魅せられた入江は50代の頃から写生旅行を始めました。
ぶどう棚の下で踊るトルファンの人々。
豊かな色彩が祭りの熱気や音楽まで感じさせます。
京都・東山仁王門にある信行寺。
貴重な文化財が初めて公開されています。
本堂を飾る天井画。
「奇想の絵師」と言われる伊藤若冲最晩年の作品です。
格天井に描かれているのは167枚の多種多様な花々。
ボタンだけでも30種類。
若冲の徹底した観察による自然描写が光ります。
さて今年度の文化勲章受章者と文化功労者が発表されました。
ここで美術分野の方々をご紹介しましょう。
文化勲章を受章したのは…草や木から引き出した自然の色調を生かし芸術性の高い紬織の作品を作り続けてきました。
(2人)おめでとうございます。
2015/11/01(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“ボストン美術館 ヴェネツィア”展 ほか[字]
「ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年」(名古屋ボストン美術館 9月19日〜2016年2月21日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年」(名古屋ボストン美術館 9月19日〜2016年2月21日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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