科捜研の女11 2015.11.02


(パトカーのサイレン)ちょっと下がって!そこそっち下がって!危ないから…!
(パトカーのサイレン)
(シャッター音)
(土門薫)神崎英雄教授。
特殊ガラスの研究者でこの部屋の責任者だ。
今朝になって助手の2人が遺体を発見した。
(榊マリコ)打撲痕は1つだけで出血は少量。
脳内に血がたまっている可能性が高いわね。
死亡推定時刻は?角膜は少し混濁。
硬直もかなり進んでいる。
死後8時間から10時間といったところ。
殺害されたのは午前1時から3時か。
(権藤克利)土門さん。
うん。
(権藤)昨日教授と最後までいたのは第一助手の倉田さんです。
夜10時過ぎまで論文の校正を手伝って帰ったそうです。
その時教授は今夜も泊まりになると言っていた。
大体週の後半はここに泊まり込んでいたそうです。
教授が深夜ここにいる事は大学の関係者には知られていたわけか。
破片を慎重に採取しましょう。
わずかな痕跡も見落とさないように。
(吉崎泰乃)お願いします。

(倉田保則)あの…神崎教授の奥様がいらっしゃいました。
ご遺体を確認されますか?大丈夫ですか?どこか休む場所は?
(倉田)こちらへ。

(風丘早月)マリコさんの検視どおり。
(早月)出血はほとんど脳内にたまってる。
ええ。
現場に血痕はありませんでした。
この挫創から凶器を割り出すのは難しいかも…。
先生。
ここ炎症を起こしてますよね?おそらく薬品か何か吹きかけられたんじゃないかしら。
では始めます。
お願いします。
おい。
これって…。
うん…。
ご主人が脅迫されていた事を奥さんはご存じなかったんですね?
(神崎早季子)…はい。
この10年前の出来事について何かわかりませんか?
(早季子)いいえ。
あの…この写真は?
(早季子)父の研究室が賞を取った時のものです。
父はもう亡くなりましたが洛南工大の教授で主人の指導教官でした。
この人は?麻生慶一さんです。
主人の同期だった方です。
今でも大学にいらっしゃいますか?いいえ。
そういえば…10年ぐらい前にお辞めになりました。
ほう…。
死亡推定時刻は昨日の午前1時から3時の間。
死因は頭部打撲による脳内出血。
被害者の目と鼻の粘膜からクロロアセトフェノンカプサイシンスチルベンなどが検出されました。
実験室の床からも同じ成分が出ました。
(日野和正)着衣からも出たよ。
催涙スプレーだね。
(宇佐見裕也)ええ。
でも市販品のリストに成分構成が一致するものはありませんでした。
それなりの知識を持った人物が独自に調合したものだと思われます。
(相馬涼)犯人も科学者って事ですかね?そういう憶測は禁物。
凶器のほうは特定できたの?残念ながら挫創の形状からは凶器を特定できませんでした。
でもきっと実験室にあったガラスのどれかが凶器だと思います。
(日野)じゃあ引き続きガラス片の鑑定を頼むよ。
君細かい作業好きだろう。
ええ?
(相馬)了解。
早速始めます。
まいっか。
ええ他に室内からの手がかりは?あっ…床からごく少量ですがサザンカの花粉が見つかりました。
比較的新しいものです。
(日野)サザンカ…。
ちょっといいですか?これを鑑定してください。

(泰乃)殺された神崎教授って脅迫されてたんですか?脅迫状の送り主が殺人事件にも関与してる可能性がある。
この10年前の出来事というのは?殺された神崎さんは10年前にこの麻生という男と教授選を争っています。
その最中に麻生による研究費の不正使用が発覚し麻生は大学を追われています。
(権藤)教授になった神崎さんは前任教授の娘と結婚。
研究室も引き継いで成功を収めました。
麻生のほうは最近まで民間の研究所にいましたがそこが閉鎖になり現在は無職です。
ん…?どうした?犯行に使われた催涙スプレー化学の専門知識を持った人物が独自に配合したものなの。
えっ…?ここだな。
(チャイム)どうした?あれサザンカ。
えっ…?
(麻生慶一)何してるんですか?すいません。
一輪だけいただけないかと思って。
ああ…いいですよ。
今ちょうど庭の手入れしてたとこで…。
サザンカです。
亡くなった母が植えたんです。
きれいでしょう?ええ…。
麻生慶一さんですね?お伺いしたい事があります。
警察…?あ…あなたは?科学捜査研究所の榊マリコです。
あ…科捜研の方?あっどうぞ。
そこでいいですか?いろいろと作られているんですね。
がらくたばかりですよ。
神崎英雄教授が亡くなったのはご存じですか?ニュースで見て驚きました。
あなたと神崎教授は長年同じ研究室にいらっしゃったそうですね。
ええ学生時代からよく東先生の研究室に2人で泊まり込んでました。
はぁ…神崎は素晴らしい研究者でした。
失礼ですが昨日の午前1時から3時どちらにいらっしゃいました?ここです。
いつも朝までなんかしらやってますから。
ほう。
それを証明できる人はいますか?いません。
これってもしかしてアリバイ確認ってやつですか?神崎教授は何者かの脅迫を受けていました。
ご存じでしたか?いいえ。
10年前あなたは神崎教授と教授選を争っていますね。
その最中に研究費の使い込みを告発されあなたは大学を去った。
それは誤解ですよ。
(学部長)これはなんだね?失礼します。
(麻生の声)身に覚えのないものでした。
でも私の関与を示すのに十分な内容だった。
これは私の責任でやったものではないです。
これから理事会にかける。
(麻生)学部長。
責任は取ってもらう。
使い込みが事実でないならなぜ抗議しなかったんですか?無駄ですよ。
大学という組織の中では真実が通らない事もある。
しかしあなたの失脚と同時に神崎さんは教授に昇進し早季子さんとも結婚し成功を収めた。
だから逆恨みしたとでも言うんですか?10年前の事をなんで今さら蒸し返す必要があるんですか?麻生さん。
最近神崎教授の研究室を訪ねた事はありますか?いいえ。
どうも。
榊さん。
科捜研の仕事って面白いですか?面白いとかそういうふうには言えません。
鑑定結果がつらい現実を突きつける事もありますし。
でも科学捜査は真実解明の大きな力になります。
真実…。
何が出てくるか楽しみにしてます。
実験室の床に落ちていた花粉は麻生家のもので間違いないですね。
うん。

(宇佐見)カプサイシンクロロアセトフェノンスチルベン。
神崎教授を襲った催涙スプレーの原料すべてそろってるんですね。
(日野)ああ…これやっと全部鑑定が終わったよ。
何かわかりましたか?紙もインクも大手メーカーの量産品でここからたどるのは難しいな。
便箋についた指紋はすべて神崎教授のものだった。
封筒の指紋は複数あるけどね麻生さんの指紋は1つもなかった。
そうですか…。
うん。
ただ1つ!これは手がかりって言えるかなぁ。
ここ何かの跡があるでしょう?上に重ねた紙に何か書いたペン跡ですね?図形の一部みたいだけど。
印刷の具合を調べてみたらこのペン跡がついたあとで脅迫状が印刷されてるんだ。
つまり脅迫状の差出人自身がこのペン跡をつけた可能性が高いって事ですね。
じゃあ麻生家から押収した資料の中にこれと同じメモ書きが見つかれば…。
簡単に言うけどさあの人の家から押収した資料こんなにあるんだよ…?それでもやるしかありませんよ。
みんなで手分けしてやりましょう。
あっそういえば相馬君がいませんけど…。
あっちは相馬君に任せて僕たちはペン跡の原本探そう。
(3人)はい。

(泰乃)これじゃないですか!?はぁ…近かったけどなぁ。
また頑張ろう。
はい。
ああーっ…!うぅっ…。

(殴る音)
(シャッター音)
(泰乃)マリコさん!これ線路脇に落ちてました。
(権藤)ご苦労さまです。
あっ早季子さんは?近くの病院に搬送しました。
早季子さん大丈夫ですか?襲われた時に手で防いだそうだ。
犯人の特徴を何か覚えてませんか?どんな小さな事でも構いません。
思い出してください。
暗がりでいきなりスプレーを吹きかけられたので何も見えなくて…。
すいません。
心配しないでゆっくり休んでください。
すいません。
(看護師)はい。
顔に付着したスプレーの洗浄をされましたよね?
(看護師)はい。
その時に使用したガーゼは?ああありますよ。
(看護師)これです。
やっぱり早季子さんはこのスプレーで襲われたんですね。
(宇佐見)神崎教授が襲われたスプレーと比較してみましょう。

(泰乃)宇佐見さん!早季子さんが襲われた現場に残されていたスプレー缶の成分は神崎教授を襲った時のものと同一でした。
その缶から麻生さんの指紋が検出されました。
襲撃現場に残っていた繊維片からも同じスプレーの成分が検出されました。
その表面に草木灰が付着していました。
草木灰?あの園芸の肥料に使う…?麻生さんの家にも草木灰があったんです。
これってもしかしてアリバイ確認ってやつですか?同じものを取り寄せて鑑定したら繊維の表面に付着していた草木灰と一致しました。
これで材料がそろったね。
土門さんに報告。
これに見覚えがありますね?これ…僕が作りました。
認めるんですね?ずっと前に試しに作ってみて家のどこかにあったはずなんですけど…。
なんでここにあるんですか?とぼけるのもいい加減にしてください。
あなたが催涙スプレーを作って神崎教授と早季子夫人を襲ったんでしょう。
とんでもない。
「早季子夫人が襲われた現場には…」犯人のものと思われる衣服の一部が残されていた。
そこからあなたの所持しているものと同じ草木灰が検出された。
だからなんです?草木灰なんて園芸やる人には珍しくもないでしょう。
トイレにも行かせてもらえないんですか?どうぞ。
すべて状況証拠ですよね?これで犯人だって決めつけるんですか?それが科学者としてのあなたの真実なんですか?科学者は森の中の1本の木を見つけるように真実を見つめなければいけないんじゃないでしょうか。
サザンカです。
これ…僕が作りました。

(ため息)
(葉山恵)草木灰…?ええおたくの研究室で使っていませんか?ガラスはもともと植物の灰を集めて炭酸カリウムを抽出して作っていたんですよね?でもこれは大昔の話で今は…。
ああ!使いましたよ。
ほら科学実験教室。
あのそれはどういう?3か月前近所の小学校に頼まれて子供向けの科学実験講座をやったんです。
その時使った草木灰のメーカーや製品名はわかりますか?ええ学生に準備させたんで聞いてみます。
お願いします。
それからその講座を担当した方のお名前を教えてください。
うちの研究室のメンバー5〜6人でやりました。
あっ君もやったよな?
(恵)あっはい。
倉田さん!あっすいません。
ちょっと失礼します。
はい。
ではお名前のリストもください。
わかりました。
少々お待ちください。
(倉田)よーし点灯してみて。
はい。
すごい祭壇ですね…。
(倉田)神崎教授がこれまでに研究された特殊ガラスを集めて1つの作品にしたんです。
教授の功績をたたえるオブジェとして…。
それじゃあ教授と早季子夫人を襲ったのは研究室のメンバーという事か。
まだわからない。
ただ肥料として使われる事の多い草木灰が神崎教授の実験室では別の目的で使われていた。
だから今の段階で麻生さんだけを疑う事はできない。
わかった。
研究室のメンバーの人間関係をもう一度洗い直してみる。
ただいま。
(宇佐見)あっおかえりなさい!お茶どうですか?うん。
(泰乃)マリコさん!例の繊維を使った既製服のカタログアパレルメーカーから届きました。
ずいぶんありますねぇ。
それでも大きな手がかりになるわ。
麻生さんか研究室のメンバーの中に該当する服を持っている人がいれば…。
(早月)毎度〜!
(宇佐見・泰乃)お疲れさまです!はい。
あら?甘党の新入り君は?相馬涼だっけ?あらお茶タイム?ああおいしいお茶いれますよ。
(相馬)やりました!
(泰乃)相馬君!?
(早月)どうしたの?大きな声出して。
僕…またまた手柄あげちゃいました。
おっ…。
これが実験室に残っていた破片と教授の頭部に付着していた破片を分類したものです。
ほとんどこの5種類に分類できました。
ガラスの成分から実験室で扱っている特殊ガラスだと確認が取れたんですが…。
これは?
(相馬)5つの分類どれにも属さない破片です。
すべて被害者の挫創周辺に付着していたものであちらのように実験室の床からこの破片は一切出ませんでした。
教授の頭部にだけこの破片が残っていて実験室にはなかったって事は…。
神崎教授は実験室とは別の場所で殺された。
その後運び込まれて実験室で殺されたように偽装された。
凶器はこの第6のガラス。
調べてみたら実験室で扱ってるものじゃありませんでした。
珪砂カリウムソーダ灰というガラスの主成分に酸化鉛が30パーセント含まれたクリスタルガラスです。
それなら一般家庭や企業店舗なんかでも広く使われてますね。
(早月)お手柄!なんだみんなここにいたの。
(早月)あっ…。
見せたいものがあるんだ。
よく見つけましたね。
お手柄…?これで脅迫状を出したのが麻生さんだと特定できますね。
いやそれがさ…。
このメモ麻生さんの家から押収したものじゃなくて神崎教授のデスクの引き出しにあったものなんだよなぁ。
じゃあ神崎教授が書いたメモっていう事ですか?あ…筆跡は?神崎教授に間違いない。
どういう事ですか?考えられるのは…脅迫状は神崎教授自身が実験室で作成した。
自作自演って事ね。
えっ…どうしてそんな事する必要があるの?神崎教授は自分やその家族が麻生さんに命を狙われていたという証拠を残したかったんじゃないかしら。
実際に誰かが命を落とした時みんなが麻生さんの仕業だと思うように…。
神崎教授は自分の死を予感していたって事ですか?それならこんな手の込んだ事をしなくても警察に相談するとか警護を頼むとか身を守る方法はいくらでもあるはずよ。
教授の思惑では…死ぬのは自分ではなかった。

(泰乃・早月)えっ?あっ!私たちはもう少しで大きな間違いを犯すところだったのかもしれない。
(権藤)お願いです。
捜査の一環でぜひお宅の中を調べさせていただきたいんです。
でも今日はこれから主人の大学葬の準備をしなくてはいけないですし…。
ご主人の無念を晴らすためです。
どうかご協力ください。
失礼します。
ちょっとこちらに。
失礼します。
お願いします。

(シャッター音)なぜ寝室まで調べる必要があるんですか?捜査に必要だからとしか申し上げられません。
(相馬)おっ…!
(シャッター音)すぐに鑑定して。
はい。
(宇佐見)あとは凶器が見つかれば完璧なんですけどね。
(相馬)さすがにもう処分してるんじゃないですか。
科学者は森の中の1本の木を見つけるように真実を見つめなければいけないんじゃないでしょうか。
ああっちょっと…どこ行くんですか?マリコさんって結構自分勝手ですよね。
榊さん…?大学の皆さんはどうなさったんですか?私たちは危うく神崎教授の計画に惑わされるところでした。
脅迫状は教授の自作自演だった。
彼の本当の目的は自分やその家族が麻生さんに命を狙われているように装いながらあなたを殺害する事だったんです。
何をおっしゃってるの?どうして主人が私を殺さなきゃいけないんです?神崎教授は研究室のある女性と不倫関係にありました。
あなたの存在が邪魔になり殺害を計画したが反撃され逆に殺されてしまった。
いい加減にしてください!なんの根拠があってそんな事を…。
神崎教授に向けて放たれた催涙スプレーの痕跡です。
教授が殺されたのは実験室ではなくあなたの寝室。
麻生さんの家からスプレーを持ち出したのもあなたですね?知りません。
麻生さんの家なんか行った事ありません。
そんなはずはありません。
クローゼットの奥にしまってあったあなたのコートには麻生さんの家のサザンカと同じDNAの花粉がついていました。
事件の夜神崎教授は実験室に泊まると見せかけてあなたを殺害しに家へ戻ってきた。

(早季子)ああ…いやっ!あなたは用意していた催涙スプレーを吹きかけた。
(神崎英雄)うっあっ…!ああ…。
ああ…!早季子…!ああっ…!そんな…まったく身に覚えのない事です。
おい。
あなた…!何しに来たのよ。
神崎教授を殺害したあとあなたは葉山さんを呼び出した。

(早季子)私は正当防衛になる。
でもねあなたは妻殺しをたくらんだ神崎の共犯とみなされるわね。
お許しください。
どうか…どうか!その時あなたのコートについていたサザンカの花粉が実験室に落ちた。
(早季子)嘘です!その女は平気で他人の夫を取るようなそういう女なんです!そんな人の事を信じるんですか?それに私犯人に襲われたんです。
早くその犯人を見つけてください!葉山さんあなたはこの奥さんに自分を襲うようにと命じられたんですね?…はい。
襲撃現場に葉山さんの衣服の繊維が残っていました。
(早季子)ああーっ…!
(殴る音)
(早季子)あーっ…!
(恵)すいません大丈夫ですか…?2015/11/02(月) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
科捜研の女11[再][字]

「10年目の殺人脅迫状 復讐の葬儀!暴かれた最期の罠!!」
大学の研究室で教授が死体で発見された。マリコはかつて大学を解雇された元准教授と会うが・・・

詳細情報
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、風間トオル、斉藤暁、奥田恵梨華、高橋光臣、長田成哉、若村麻由美
【ゲスト】
村田雄浩、笛木優子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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