組長がトップ。売れない芸人も関与
トップに位置するのは4次団体の組長である。その下に配下がいて、それぞれが医師・柔道整復師をかかえる。暴力団構成員と医師・柔道整体師をつなぐのは金融ブローカーなどの仲介者。高利金融を営む彼らの耳には、窮乏した医院のニュースが入ってくる。
医師・柔道整復師を囲い込むと、今度は患者を用意しなければならず、そこに登場するのは、暴力団構成員の妻や愛人、友人知人、仲間の半グレなどの仲介役であり、彼らがアルバイト感覚の被保険者を見つけ、医師・柔道整復師につなぐ。
組長以下の暴力団構成員は10名を超え、医師の数も同程度、仲介役を経てアルバイト感覚で詐欺に加担した被保険者の数は、延べ人数で数百名に達する。被保険者には、多数の「食えないお笑い芸人」が含まれていた。
関係者の数が多いだけに、組対4課は粘り強く捜査している。事件は一度の逮捕だけでは終わらず、何度も繰り返しながら暴力団と医師・柔道整復師が組んだ新種の診療報酬詐欺事件を立件する。
今回、詐取した給付金額が医師とほぼ同額になるのが柔道整復師。彼らは、都内の商業地や住宅地で接骨院を営んでいるが、医師と同様、健康保険の適用を受けている。戦前からの既得権益で、今のように医療機関が発達していない時、骨折、脱臼などを接骨院で対処していた歴史からだ。
今は、そうした大きなケガは整形外科で対応する。接骨院では肩こりや腰痛などの慣習化した症状の患者が多いが、それでは健康保険の対象にならないと、捻挫や肉離れに変えて治療している。それも診療報酬不正請求だが、今回は、患者に仕立て上げるというもっと悪質な不正請求だった。
レセプトを不正請求して診療給付金をだまし取る今回の手口は、振り込め詐欺や野球賭博の犯罪構図に似る。
振り込め詐欺の場合、活動資金を用意、元締めとなるのは暴力団幹部で、その配下が幾つもの会社を使って、パンフレットなどを作成、電話で勧誘する「掛け子」と呼ばれる人間を雇い、引っかかった老人がいれば、末端の「受け子」がカネの受け取り役になる。
犯罪最前線にいるのは、「掛け子」であり「受け子」だが、こうした末端は、元締めの正体を知らされておらず、摘発しても暴力団に行き着けないことが多い。元締めが暴力団ではなく半グレの場合も、ケツ持ちという形で必ず暴力団が関与しているのだが、犯罪収益の解明までには至らない。
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