同日の韓民求長官の演説は、ASEAN諸国のほかに米国・中国・日本の国防相たちも聞いていた。ある外交消息筋は「演説自体は韓国政府の従来の見解を繰り返したものだったが、この問題について第3国が関与するのを嫌がる中国が聞いていたことは意味深長だ。結局、(韓国は)米国の味方に付いたということだ」と言った。この演説後に行われた韓中国防相会談について、韓民求長官は「中国の常万全国防相は南シナ海問題について何も言及もしなかった」と明らかにした。
この会議では当初、18カ国の国防相が南シナ海問題について話し合った後、昼ごろに共同宣言を発表する予定だった。前日からの高官級実務接触で文言も調整していた。ところが、参加国はとうとう共同宣言を出せずに終わった。米国と中国が南シナ海の人工島をめぐり、激しく衝突したためだ。
同会議にはASEAN加盟10カ国と韓国・米国・中国・日本など8カ国が出席した。会議開始前から参加国が南シナ海問題について合意を見いだせるかどうかが注目されていた。現在フィリピン・ベトナム・マレーシア・ブルネイの4カ国が南シナ海で中国と領有権を争っている。この4カ国と米国・日本・オーストラリアなどは同日、「航行・飛行の自由を保障し、紛争が起きた際は武力や威嚇で解決しないという行動規範を作らなければならない」と主張、同様の内容を共同宣言にも反映させようとした。中国を取り囲む「1対多数」で圧力を加える構図を作ったのだ。韓民求長官もこれに加わったことになる。