エジプトで墜落のロシア民間機、機内の爆発物が原因か 米英当局
- 2015年11月5日
ロシアのコガリムアビア(メトロジェット)航空9268便がエジプト・シナイ半島で墜落した問題で、米英政府関係者は4日、原因は機内の爆発物だった可能性があるとの見解を示した。米政府筋は過激派勢力「イスラム国」(IS)系組織が、機内の爆弾を仕掛けた可能性があると話している。英政府はこれに先立ち、墜落機が出発したシャルムエルシェイク空港と英国間のフライトを全便運航中止にしている。
英政府は緊急事態対応委員会を4日夜に開催。ハモンド外相はこの後、報道陣に対して、「墜落は、機内にあった爆発物によるものというかなりの可能性があるという結論に達した」と述べた。
外相は、シャルムエルシェイク空港―英国間を当面、全便中止するとして、有名なリゾート地でもある現地周辺で足止めされた英国人については、追加の安全対策を導入し次第、帰国の手助けをすると説明した。
英首相はこれに先立ち、安全状況確認のため航空専門家たちをシャルムエルシェイクに派遣したと発表していた。
また匿名の米政府筋はAP通信に対して、通信を傍受した結果、シナイ半島で活動するIS系組織が爆発物を機内に仕掛けたという「仮の結論」に達したと話した。
別の米政府筋はAFP通信に「爆発物だったというのが、かなりあり得るシナリオだ」と述べている。
一方でどちらの政府筋も、フライトレコーダーを含む鑑識証拠を分析している段階だと慎重を促した。
一部の米メディアは3日、墜落当時に軍事衛星が「熱の噴出」を探知したが、原因は爆発物、あるいは燃料タンクやエンジンの爆発などいろいろ考えられると伝えていた。
米英政府の発表に、エジプト政府やロシア政府は時期尚早だと反発している。エジプトのシュクリ外相はBBCに対して、英政府の対応は時期尚早で根拠にかけていると批判。エジプトはシャルムエルシェイク空港の警備を強化するため「異例の対策」を実施していると強調した。
ロシア旅客機墜落については、過激派勢力「イスラム国」(IS)系組織が、自分たちが撃墜したと声明を出しているが、エジプトのシシ大統領はこれを「プロパガンダだ」だと一蹴していた。シシ大統領は現在、英国を訪問中。
コガリムアビア航空の幹部は2日に会見し、墜落について「外からの影響が原因というのが唯一の合理的な説明だ」と述べていた。
コガリムアビア航空(KGL)9268便墜落の時系列
10月31日午前5時58分(エジプト時間、日本時間同日午後12時58分) エジプト内閣によると、飛行機はこの時間にシャルムエルシェイクを出発
同6時14分(同、日本時間同1時14分) ロシア航空運輸当局者によると、キプロス・ラルナカの管制塔と予定の交信が行われなかった
同6時17分(同、日本時間同1時17分)エアバス社によると、シナイ半島に墜落
同11時12分(同、日本時間同6時12分)ロシア・サンクトペテルブルクのプルコボ空港に到着予定だった
(英語記事 Sinai plane crash: Bomb may have downed airliner, US and UK say)