財務省:「外来時定額負担」導入など社会保障制度改革案

毎日新聞 2015年10月09日 20時45分

 財務省は9日、2020年度までの財政健全化計画の期間中に実施すべき社会保障制度改革案を固めた。症状が軽い患者の過剰受診を減らすため、かかりつけ医以外の診察を受ける場合、定額の上乗せ負担を求める「外来時定額負担」の導入などを提唱した。

 経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)が年末までにまとめる改革工程表に反映させ、必要な法改正を進めたい考え。だが、外来時定額負担は過去にも検討されたが、日本医師会などが「本来必要な受診まで妨げてしまう」と反対し、断念した経緯がある。今回も難航が予想される。

 財務省は9日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会に改革案を提案し、大筋で了承を得た。

 外来時定額負担は、財政難の中、限られた財源を症状が重い患者に振り向けるため、市販薬で対応できるような初期の風邪で受診したり、日常的に複数の医師を受診したりする行為を抑制するもの。医療保険に基づく定率の負担に加え、少額の定額負担を求める。

 負担額は「日常生活で負担できる少額」とし、16年末までに詳細を決定。17年通常国会までに関連法改正案を提出すべきだとした。

 また、毎月の医療費負担に上限を設ける高額療養費制度について、同じ所得でも70歳以上の高齢者は上限が低くなっていることを問題視。16年末までに改革案の詳細を固めるべきだとした。

 介護保険を巡っては原則1割となっている利用者負担の2割への引き上げや、軽度者に対する掃除などの生活援助の原則自己負担化も求める。現役世代並みの所得がある高齢者には、基礎年金のうち国庫負担分(税金で賄われている部分)の給付を停止することも求めた。

 社会保障制度改革案を策定する背景には、高齢化に伴う社会保障費の急増がある。社会保障関係費は1990年度に11.6兆円で歳出全体の17.5%だったが、15年度は31.5兆円に達し、歳出の32.7%を占める。

 このため、政府は6月に閣議決定した財政健全化計画に「年金・医療等」の伸びを今後3年で1.5兆円に抑える「目安」を盛り込んだ。改革案はその達成に向けた具体策作りのたたき台となる見通しだ。【宮島寛】

 ◇財務省の社会保障制度改革案

 外来時定額負担の実現に向けた検討開始

 高額療養費制度での高齢者の外来特例措置を廃止

 介護保険の利用者負担を原則1割から2割に引き上げ

 介護保険軽度者の生活援助や福祉用具貸与を原則自己負担化

 市販品類似薬の保険給付見直し

 年金支給開始年齢の更なる引き上げ

 理由なく就労などを拒む生活保護受給者に対し保護停止などを可能に

 マイナンバー活用による金融資産保有状況も踏まえた医療保険、介護保険の負担のあり方を検討

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